1.当四半期決算に関する定性的情報 ……………………………………………………………………………2
(1)経営成績に関する説明 ……………………………………………………………………………………2
(2)財政状態に関する説明 ……………………………………………………………………………………4
(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明 ……………………………………………………………4
2.中間財務諸表及び主な注記 ……………………………………………………………………………………5
(1)中間貸借対照表 ……………………………………………………………………………………………5
(2)中間損益計算書 ……………………………………………………………………………………………6
(3)中間キャッシュ・フロー計算書 …………………………………………………………………………7
(4)中間財務諸表に関する注記事項 …………………………………………………………………………8
(継続企業の前提に関する注記) ……………………………………………………………………………8
(株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記) ……………………………………………………8
(重要な後発事象) ……………………………………………………………………………………………8
3.その他 ……………………………………………………………………………………………9
(継続企業の前提に関する重要事象等) ……………………………………………………………………9
1.当四半期決算に関する定性的情報
当中間会計期間において当社は、新規がん免疫治療薬の創出を目指して研究開発を推進いたしました。
細胞医薬
〔iPS細胞由来再生NKT細胞療法:BP2201〕
BP2201(iPS-NKT)は、がん細胞の殺傷を含め多面的な抗腫瘍効果をもつナチュラル・キラーT(NKT)細胞*1を、iPS細胞技術を使って大量製造し、がん治療に用いる新規の他家細胞医薬品候補です。
これまでに当社は、開発元の国立研究開発法人理化学研究所(以下「理研」)から、iPS細胞由来NKT細胞(iPS-NKT)のCAR-T(キメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞療法)をはじめとする他家細胞療法使用を広範かつ排他的に保護する特許(日米欧で登録済み)の独占使用権を取得し、マスターiPSセルバンクからNKT細胞へ高純度で大量に分化誘導させる製造法の構築や、遺伝子編集技術の導入等を進めてまいりました。一方で、2000年代初期より自家NKT細胞療法の臨床研究を進めてきた国立大学法人千葉大学において、世界初のiPS-NKTを用いた頭頸部がん患者を対象とする医師主導の第Ⅰ相臨床試験(2020年6月開始)が実施され、2024年1月に終了しました。本治験について、2024年2月に学会で発表されたトップライン・データでは、主要評価項目である忍容性および安全性に問題がないこと、並びに初期的な臨床活性の確認が示されました。
本治験で用いられた非遺伝子改変iPS-NKT細胞は、いろいろながん種のがん抗原に対するCAR(キメラ抗原受容体)遺伝子を導入した、新たな遺伝子改変iPS-NKT細胞医薬へ展開する土台/プラットフォームとなり、幅広いがん種と世界の幅広い地域への展開を可能にします。
〔iPS細胞由来BCMA CAR-NKT細胞療法:BP2202〕
BP2202(BCMA CAR-ipsNKT)は、非遺伝子改変iPS-NKT細胞に多発性骨髄腫の目印(抗原)となるBCMA(B細胞成熟抗原)を認識するキメラ抗原受容体(CAR: Chimeric Antigen Receptor)を付加し、がん細胞殺傷能を高めた新規のCAR-T細胞療法*2です。これまで承認されている自家CAR-T細胞に用いられている患者自身のT細胞の代わりに、健常人ドナーから作製した他家のiPS細胞由来NKT細胞を用いることを特徴とします。医薬品として承認されている、すなわち臨床試験を通して検証されている作用メカニズムを有する細胞医薬のパーツをより利便性の高いものに切り替えていくという考え方で開発を進めています。
当社が試作したHER2またはBCMAを標的抗原とする CAR iPS-NKTは、非遺伝子改変iPS-NKTと比較して抗腫瘍効果が高まることをマウスモデルで確認しています。
また、当社は2023年5月にSTAR-CRISPRTM遺伝子編集技術をライセンス導入し、固形がんを含む様々な適応症に対して高度な遺伝子組換型CAR-ipsNKT細胞療法プログラムを創出することが可能となりました。現在そのプロトタイプ製品として、多発性骨髄腫治療薬候補となるBCMA CAR-ipsNKT (BP2202)の研究開発を進めています。
BP2202は、2026年3月末の米国臨床試験開始申請を目指し、マスターiPSセルバンクの構築と、マスターiPSセルバンクからNKT細胞への分化誘導を行う治験薬製造の準備を進めています。後者については、当社で確立した高純度かつ高増殖の製造工程を、iPS細胞治療薬製造の先進企業で3Dバイオリアクターを用いる製造プラットフォームを有するCellistic社に移管し、より優れた製造工程を確立するための戦略的提携を2024年12月に行っています。同プログラムは、2025年7月に米国食品医薬品局(FDA)より多発性骨髄腫を対象疾患とする希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されました。
〔HER2 CAR-T細胞療法:BP2301〕
BP2301は、様々な固形がんで高発現するHER2を標的抗原とするCAR-T細胞療法です。これまで血液がんを標的とするCAR-T細胞療法は、優れた臨床効果が臨床試験で示され、グローバルで承認されてきました。しかし、より多くの方が罹患される固形がんへの展開においては、投与されたCAR-T細胞が、免疫抑制的な腫瘍微小環境において疲弊して機能を喪失し、十分に臨床効果を発揮できないという課題が明らかになってきました。
この課題を解決するために、BP2301では、体内での優れた複製能と長期生存能を特徴とし、それによって腫瘍微小環境における疲弊抵抗性と持続的抗腫瘍効果が期待される幹細胞様免疫記憶型(ステムセル・メモリー・フェノタイプ)細胞を多く含むCAR-T細胞を用いる技術の開発に成功しました。
これは、国立大学法人信州大学の中沢洋三教授の非ウイルス遺伝子導入法に基づき、中沢教授及び同大学柳生茂希教授と新規の細胞培養法を共同開発したことによって可能になりました。BP2301の製造方法は、2024年10月に特許査定を受けています。
2022年5月より国立大学法人信州大学においてHER2陽性の再発・進行骨・軟部肉腫及び婦人科悪性腫瘍を対象とする遺伝子改変HER2 CAR-T細胞の臨床第Ⅰ相医師主導治験が行われています。
抗体医薬
抗体医薬では、腫瘍組織においてがん細胞を排除する免疫の働きを抑制する免疫チェックポイント分子*3もしくは免疫調整分子に結合し、その機能を阻害する抗体の開発を進めています。がん免疫を抑制するアデノシン産生に介入するCD73分子とCD39分子をそれぞれ標的とするBP1200とBP1202、免疫細胞に発現し、その抑制に関わるTIM-3分子を標的とするBP1210のほかに、CD39分子とTIM-3分子を双方発現する免疫細胞においてこれらを同時に阻害する抗CD39×抗TIM-3二重特異性抗体BP1212、がん細胞上に発現するCD39分子とT細胞上に発現するCD3分子双方を標的とするT細胞エンゲージャーBP1223を開発パイプラインとして有します。BP1223については、急性骨髄性白血病を対象とする薬効薬理試験及び作用機序解析を国立がん研究センター東病院と共同で進めており、研究成果の一部を2024年12月開催の米国血液学会にて発表しました。またBP1212については、免疫抑制状態にある固形がんにおいて樹状細胞を活性化しT細胞免疫を誘導する作用メカニズムを裏付ける非臨床試験データを、2025年6月に開催された学会Immune Response in Cancer and Infection(IRCI)2025において発表しました。
がんワクチン
〔免疫チェックポイント抗体連結個別化ネオアンチゲン・ワクチン:BP1209〕
BP1209は、がん細胞由来の遺伝子変異に由来しヒトの免疫システムが高い反応性を示すネオアンチゲンを標的とするがん免疫を、患者1人ひとりに対応して誘導するのに最適化された、完全個別化ネオアンチゲン・ワクチン*4・プラットフォームです。ワクチンとなるネオアンチゲン・ペプチドを、T細胞へ標的情報を伝える樹状細胞へ送達するのに免疫チェックポイント抗体を用います。同抗体への結合が可能となるよう当社オリジナルのリンカー技術が組み込まれています。抗腫瘍免疫を指令する樹状細胞に効率よくワクチン抗原を送達することによって、ネオアンチゲンを目印にがん細胞を殺傷するT細胞をペプチド単体よりもはるかに多く誘導することを、担がんマウスモデルで証明しました。
これらの結果、当中間会計期間におきましては、営業損失は464,575千円(前年同期の営業損失は542,559千円)、経常損失は460,935千円(前年同期の経常損失は537,786千円)、中間純損失は462,737千円(前年同期の中間純損失は538,736千円)となりました。
なお、当社は単一事業であり、セグメントは「医薬品開発事業」でありますので、セグメントごとの記載はしておりません。
*1(NKT細胞)
ナチュラル・キラー(NK)細胞とT細胞の特徴を併せもち、自然免疫と獲得免疫の橋渡しをする役割をもつ免疫細胞。がん細胞をT細胞受容体やNK細胞受容体を通して直接殺傷する能力をもつと同時に、T細胞受容体を通して樹状細胞など他の免疫細胞を活性化させる作用をもつ。活性化すると、多様なサイトカインを産生し、自然免疫系に属するNK細胞の活性化と樹状細胞の成熟化を促す。成熟した樹状細胞は、さらに獲得免疫系に属するキラーT細胞を増殖・活性化させることで、相乗的に抗腫瘍効果が高まる。
*2(CAR-T細胞療法)
Chimeric Antigen Receptor T-cell Therapy:キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞療法。がん細胞が発現する抗原を認識するキメラ抗原受容体を、T細胞(抗腫瘍免疫をもつリンパ球の一種)に遺伝子導入し、培養で増殖させて投与する治療法。
*3(免疫チェックポイント分子)
免疫恒常性を保つために自己に対する免疫応答を抑制するとともに、過剰な免疫反応を抑制する分子群のこと。がん免疫においては、過剰な活性化によって自己を攻撃するのを防ぐために存在しているが、発がん過程では、がん細胞が免疫系からの攻撃を回避し増殖するために利用される。
*4(完全個別化ネオアンチゲン・ワクチン)
個々の患者のがん細胞にあるネオアンチゲンを探索し、これに対するオーダーメイドのがんワクチン。海外ではアカデミアや先行開発企業による臨床試験が行われており、そのなかにはネオアンチゲンをコードするmRNAを脂質名ナノパーティクル(LNP)に格納したmRNAワクチンも含まれる。
(資産)
当中間会計期間末における総資産は前事業年度末より577,280千円増加し1,697,893千円となりました。これは、現金及び預金が株式の発行による収入等で442,121千円増加したことが主な要因であります。
(負債)
当中間会計期間末における負債は前事業年度末より24,187千円減少し171,436千円となりました。これは、1年内償還予定の社債を25,000千円償還したことが主な要因であります。
(純資産)
当中間会計期間末における純資産は前事業年度末より601,468千円増加し1,526,456千円となりました。これは、株式の発行により資本金及び資本剰余金の合計が1,065,520千円増加し、中間純損失により462,737千円減少したことが要因であります。
以上の結果、自己資本比率は前事業年度末の80.6%から88.7%となりました。
(キャッシュ・フローの状況)
当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比べて442,121千円増加し、1,252,592千円となりました。当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動の結果使用した資金は591,231千円(前年同期は520,584千円の支出)となりました。これは、主に税引前中間純損失461,527千円を計上したことによるものであります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動の結果使用した資金は1,928千円(前年同期は資金の変動はありません。)となりました。これは主に保証金の差入1,337千円によるものであります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動の結果得られた資金は1,035,282千円(前年同期は1,002,619千円の収入)となりました。これは、主に新株予約権の行使による株式の発行に伴う収入1,060,284千円と、1年内償還予定社債を25,000千円償還したことによるものであります。
現時点での業績予想につきましては、2025年5月9日に公表した業績予想から変更はありません。
2.中間財務諸表及び主な注記
(1)中間貸借対照表
(2)中間損益計算書
(3)中間キャッシュ・フロー計算書
該当事項はありません。
当中間会計期間において、第18回、第19回新株予約権の権利行使があり、普通株式20,900,000株を発行総額1,064,208千円で発行し、新株予約権の振替額1,312千円も含め、資本金が532,760千円、資本準備金が532,760千円それぞれ増加しました。
この結果、当中間会計期間末において、資本金が1,732,629千円、資本剰余金が4,041,164千円となっております。
(重要な後発事象)
該当事項はありません。
3.その他
当社は、研究開発費用が先行する事業モデルであるため、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなり、
営業損失を計上する状況が継続していることから、前事業年度末において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりました。
上記の状況に対し、当社は新規がん免疫治療薬の創出を目指して研究開発を推進し、資金調達を進めてまいりました。その結果、第18回新株予約権は2025年7月3日に、第19回新株予約権は2025年7月9日に全ての権利行使が完了し、一定の資金を確保できたことから、当社は、当中間会計期間において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は解消したと判断しております。
なお、当社の手掛ける創薬事業では、一つひとつの新規医薬品候補物質の研究開発が、シーズの創製から規制当局の承認を得て医薬品として製造販売に至るまで、薬事規制等に則って探索的研究から第Ⅲ相臨床試験まで段階を踏みながら進められ、全体として長期間に及ぶため、多額の資金を必要とします。今後も、適切なタイミングで資金調達ができなかった場合には、当社の事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があるため、資金の残高を注視しつつ、公的補助金の活用や日本国内のみならず海外企業・機関を含めた新規提携契約の締結、新株発行等により資金需要に対応していく予定であります。