1.経営成績等の概況 ………………………………………………………………………………………………2
(1)当期の経営成績の概況 ……………………………………………………………………………………2
(2)当期の財政状態の概況 ……………………………………………………………………………………2
(3)当期のキャッシュ・フローの概況 ………………………………………………………………………3
(4)今後の見通し ………………………………………………………………………………………………4
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方 ……………………………………………………………………4
3.連結財務諸表及び主な注記 ……………………………………………………………………………………5
(1)連結貸借対照表 ……………………………………………………………………………………………5
(2)連結損益及び包括利益計算書 ……………………………………………………………………………7
(3)連結株主資本等変動計算書 ………………………………………………………………………………9
(4)連結キャッシュ・フロー計算書 …………………………………………………………………………11
(5)連結財務諸表に関する注記事項 …………………………………………………………………………13
(継続企業の前提に関する注記) ………………………………………………………………………………13
(期中における連結範囲の重要な変更) ………………………………………………………………………13
(重要な会計上の見積り) ………………………………………………………………………………………13
(セグメント情報等) ……………………………………………………………………………………………13
(1株当たり情報) ………………………………………………………………………………………………14
(重要な後発事象) ………………………………………………………………………………………………14
4.その他 ……………………………………………………………………………………………………………14
役員の異動 ………………………………………………………………………………………………………14
昨今の世界経済は、米国をはじめとした各国の関税政策の影響が懸念される中、不確実性が一層高まっています。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊迫化といった地政学的リスクに加え、世界的なインフレ圧力の高まりにより世界経済の先行きが一層不透明となっております。日本経済は緩やかな回復基調を維持しているものの、世界経済の減速懸念や原材料価格の上昇といった要因が景気の下振れリスクとして依然存在しております。
また、為替市場では、各国の金融政策の違いが影響し、当年度前半は円安基調が続いていました。しかし、円高が急速に進む場面もあり、為替相場は激しい変動を繰り返しています。そのため、今後の動向を予測することが極めて困難な状況となっています。
このような市況の中で、当社の主力であるASIC(顧客専用LSI)においては、需要減少による一時的な在庫調整局面にあるものの、引き続きAIやIoT技術の進展によって産業機器分野や通信分野の半導体需要の拡大が進展しております。このような状況の下、当社はアミューズメント分野向けにおいて顧客密着型の提案活動とサポート活動に注力するとともに、これまで培ってきた上流設計やアナログ技術、特に当社が得意とする通信インターフェース技術、セキュリティ技術や画像処理技術などを活用し、画像関連機器や成長市場である産業機器分野や通信インフラ分野向けの製品開発を進め、事業の基盤強化による収益拡大を図っております。
ASSP(特定用途向けLSI)においては、AIやIoT、5Gによる情報通信技術の革新が進展している状況の下、今後の成長が見込める通信分野・産業機器分野などをターゲットとした新規LSI事業の立ち上げに経営資源を集中しております。アナログ・デジタル回路の開発・設計技術の競争力強化を図るとともに、通信分野においては、Morse Micro PTY. LTD.(以下、Morse Micro社という)との資本提携及び戦略的パートナーシップによる事業化を進めており、長距離の無線通信技術を活用したLSIやモジュールを提供し、顧客のニーズに応じた幅広い通信ソリューションによる事業展開を図っております。
引き続き、当社グループは安定した収益基盤を維持しつつ、事業ポートフォリオの強化による収益拡大を図ってまいります。また、次世代を担う新たな事業の育成のため、新市場の開拓や新製品開発に取り組み、独自性のあるビジネス創出と事業化を図ってまいります。これらの取り組みを通じて、中長期の持続的な成長を目指してまいります。
当連結会計年度の経営成績につきましては、アミューズメント事業においてLSIの需要が減少したこと、ASIC事業において受託開発売上(NRE売上)が堅調に推移したものの、顧客の在庫調整によりLSIの需要が減少したことにより、売上高は42,326百万円(前年同期比27.0%減)、営業利益は2,190百万円(前年同期比60.1%減)となりました。
経常利益は受取利息が275百万円発生したこと、投資事業組合に係る投資有価証券評価益が206百万円発生したこと等により2,608百万円(前年同期比24.5%減)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、SiTime Corporation株式の一部売却による投資有価証券売却益が7,705百万円あった一方で、固定資産除却損が1,326百万円、投資有価証券評価損が919百万円それぞれ発生したこと等により5,371百万円(前年同期比19.7%増)となりました。
なお、当社グループは単一の事業セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
<資産>
当連結会計年度末における総資産は149,940百万円(前連結会計年度末に比べ23,329百万円の増加)となりました。
主要な項目を前連結会計年度末と比較すると、受取手形、売掛金及び契約資産が5,080百万円、主にSiTime Corporation株式の時価評価により投資有価証券が26,012百万円それぞれ増加した一方で、現金及び預金が7,229百万円減少しております。
<負債>
当連結会計年度末における負債は31,699百万円(前連結会計年度末に比べ7,762百万円の増加)となりました。
主要な項目を前連結会計年度末と比較すると、繰延税金負債が9,171百万円増加した一方で、未払法人税等が1,408百万円減少しております。
<純資産>
当連結会計年度末における純資産は118,241百万円(前連結会計年度末に比べ15,567百万円の増加)となりました。
主要な項目を前連結会計年度末と比較すると、その他有価証券評価差額金が17,416百万円増加した一方で、自己株式の取得等により自己株式が3,922百万円減少しております。
(投資有価証券 SiTime Corporation株式の時価評価による影響について)
当社が保有するSiTime Corporation(以下「SiTime社」という)株式について、前連結会計年度末に持分法適用の関連会社から除外したことに伴い、関連会社株式から投資有価証券へ科目が変更となり、各決算期末に時価評価を行っております。この影響により、連結貸借対照表においては、投資有価証券の額が1千億円を超える水準となり、総資産に占める投資有価証券の割合が高い状況で推移しております。あわせて、負債・純資産の部においても、相手科目となる繰延税金負債及びその他有価証券評価差額金の占める割合が高い状況となりました。
当社として、SiTime社株式については、当社の中長期における持続的成長に向けた事業構造改革を含む成長投資及び株主還元に活用する方針です。
今後においても、SiTime社株式の売却によって得られる資金は、事業の成長投資及び株主還元に充当し、最適な経営資源の配分により中長期における持続的成長に向けた事業構造改革を推進する考えであります。既存事業の強化に加え、産業機器や通信インフラ等の成長分野をターゲットとして新規事業の立ち上げを推進することで、企業価値の向上を目指してまいります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、17,547百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,612百万円の減少(前連結会計年度末は4,442百万円の増加)となりました。
また、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、136百万円の支出(前連結会計年度末に対し8,511百万円のマイナス)となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度末における営業活動によるキャッシュ・フローは、3,726百万円の支出(前連結会計年度末に対し11,887百万円のマイナス)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が8,067百万円あった一方で、投資有価証券売却益が7,705百万円、売上債権の増加が5,080百万円、法人税等の支払額が4,169百万円あったことによるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度末における投資活動によるキャッシュ・フローは、3,590百万円の収入(前連結会計年度末に対し3,376百万円のプラス)となりました。
これは主に、投資有価証券の売却による収入が8,708百万円あった一方で、有形固定資産の取得による支出が2,299百万円あったことによるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度末における財務活動によるキャッシュ・フローは、7,511百万円の支出(前連結会計年度末に対し2,119百万円のマイナス)となりました。
これは主に、自己株式の取得による支出が5,621百万円、配当金の支払額が1,994百万円あったことによるものです。
〔中長期の取り組み〕
今後の中長期においては、主力のアミューズメント事業と、ビジネスモデルの異なるASIC事業、ASSP事業の三つの事業を柱として事業ポートフォリオを強化するとともに、次世代を担う新たな事業の育成にも注力し、さらなる成長力と収益構造の強化を図っていく考えです。
各事業においては、国内はもとより、北米、アジアを中心とした海外展開を推進するとともに、新技術の獲得、当社技術との融合、最先端技術によるソリューションの創造、新市場・顧客の開拓などを狙いとして、国内外の大学との共同研究開発や、最先端の技術やアイデアを持つスタートアップ企業に対しての事業投資や戦略的提携を推進し、独自性のあるビジネスの創出と事業化につなげていく考えです。
また、投資家との対話を重視するとともに、安定配当と自己株式取得を中心に株主還元の強化を図り、経営基盤の磐石化を図ります。
中長期で目指す姿としては、収益力と資本効率性の目標としてROE8%以上を達成し、企業価値の向上を図ることで、市場評価の目標としてPBR1倍以上を達成できるよう取り組んでまいります。
① アミューズメント事業
主力事業であるアミューズメント事業においては、引き続き顧客密着型の提案活動とサポート体制を強化することで、さらなるサービスの向上に努めるとともに、シェア獲得や製品の安定供給のため、パートナー企業や製造委託先等との情報連携や生産体制の強化を図り、サプライチェーン全体が盤石なものとなるように取り組むことで、これまで以上に主要なサプライヤーとしての地位を確実なものとし、安定した売上と収益の確保を目指します。
② ASIC事業
ASIC事業については、これまでの主力であったコンシューマ機器分野やOA機器分野等を中心とした事業展開に、産業機器分野と通信インフラ分野を新たな成長ターゲットとして加え、引き続き事業の拡大に取り組みます。今後は、これまで培ってきた上流設計やアナログ技術、特に当社が得意とする通信インターフェース技術、セキュリティ技術や画像処理技術などを活用し、画像関連機器・FA機器・通信インフラ機器向けの製品開発を進め、順次量産化してまいります。あわせて、国内に加え海外(北米・アジア地域)における市場開拓とビジネス獲得にも注力し、中長期における継続的な増収増益を目指します。
③ ASSP事業
ASSP事業においては、オーストラリアのMorse Micro社との戦略的提携による通信ビジネスの本格量産化を進めております。この通信ビジネスにおいては、当社がこれまで培ってきた有線通信技術と、約1kmの非常に長い通信距離と低消費電力を実現したMorse Micro社の無線通信技術によって、LSIやモジュールを提供し顧客のニーズに応じた幅広い通信ソリューションによる事業展開を進めております。
あわせて、最先端の技術やアイデアを持つスタートアップ企業に対しての事業投資や戦略的提携を推進し、日本国内及び海外(北米・アジア地域)において、新市場の開拓や新製品の開発を積極的に推進することで、新規事業の事業化を目指します。
2026年3月期の連結業績予想につきましては、売上高は420億円(前年同期比0.8%減)、営業利益は30億円(前年同期比37.0%増)、経常利益は27億円(前年同期比3.5%増)、SiTime Corporation株式の一部売却による投資有価証券売却益を35億円見込んだことにより親会社株主に帰属する当期純利益は40億円(前年同期比25.5%減)を見込んでおります。
2026年3月期の配当予想につきましては、上記の2026年3月期の連結業績予想値と中長期の経営状況の見通し等から、2025年3月期と同額の1株当たり年間140円の配当を予想しております。
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社は、日本基準に基づき連結財務諸表及び財務諸表を作成しております。国際会計基準の適用については、国内外の会計基準制定や適用動向等について常時情報を収集しておりますが、当面は日本基準に基づき連結財務諸表及び財務諸表を作成いたします。
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
該当事項はありません。
LDVP MCC Co-Investment Fund II, L.P.及びLDV Partners Fund III, L.P.は、当連結会計年度において新たに出資したため連結の範囲に含めております。
(重要な会計上の見積り)
(非上場株式等の評価)
(1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
当社及び連結子会社は、中長期における持続的成長に向けて、最先端の技術やアイデアを持つ複数の海外スタートアップ企業への投資を行っております。当該投資は、当連結会計年度の連結貸借対照表において投資有価証券12,153,163千円として計上されております。
(2) 会計上の見積りの内容について連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報
当社が保有している投資は、市場価格のない株式等として取得原価をもって貸借対照表価額としておりますが、実質価額が著しく低下したときには、実質価額の回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除き評価損を認識いたします。連結子会社が保有している投資は、米国会計基準に基づき、容易に決定可能な公正価値を持たない投資として、該当する場合には減損損失を控除のうえ、観察可能な価格の変動を加減した原価をもって貸借対照表価額とする方法を選択しています。したがって、投資先の経営状況や将来見通しの著しい悪化を含む定性的要因を考慮して、公正価値が取得原価を下回ることを示唆する状況が識別された場合には、評価損を認識いたします。
当該投資の評価においては、当該スタートアップ企業に対する投資に係る実質価額に含まれる超過収益力の算定を行った結果、当社が保有している投資については実質価額の著しい低下が認められるものについて157,099千円、連結子会社が保有している投資については公正価値が取得原価を下回ることを示唆する状況が認められるものについて762,551千円の評価損をそれぞれ認識しております。
当社グループは、独自のアナログ・デジタル技術をベースとしたLSIの設計、開発から生産までのトータルソリューションの提供を主たる業務とする単一の事業セグメントであるため、記載を省略しております。
(注)1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益については潜在株式が存在しないため記載しておりません。
2.1株当たり当期純利益の算定上の基礎は、以下のとおりであります。
該当事項はありません。
(1) 退任予定取締役
岩間 郁夫(いわま いくお)
倉本 雅史(くらもと まさし)
(2) 退任予定監査役
松島 昭(まつしま あきら)
(3) 異動予定日
2025年6月20日