1.経営成績等の概況 ………………………………………………………………………………………………2
(1)当期の経営成績の概況 ……………………………………………………………………………………2
(2)当期の財政状態の概況 ……………………………………………………………………………………4
(3)当期のキャッシュ・フローの概況 ………………………………………………………………………5
(4)今後の見通し ………………………………………………………………………………………………6
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方 ……………………………………………………………………7
3.連結財務諸表及び主な注記 ……………………………………………………………………………………8
(1)連結損益計算書及び連結包括利益計算書 ………………………………………………………………8
(2)連結財政状態計算書 ………………………………………………………………………………………10
(3)連結持分変動計算書 ………………………………………………………………………………………12
(4)連結キャッシュ・フロー計算書 …………………………………………………………………………13
(5)連結財務諸表に関する注記事項 …………………………………………………………………………15
(継続企業の前提に関する注記) ……………………………………………………………………………15
(セグメント情報) ……………………………………………………………………………………………15
(1株当たり情報) ……………………………………………………………………………………………16
(重要な後発事象) ……………………………………………………………………………………………17
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)の業績は、以下の通りであります。
※1 コア営業利益:営業利益から非経常的な項目(減損損失、有形固定資産売却益など)を調整した利益
※2 Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization:コア営業利益に減価償却費を加えた利益
売上収益(ライセンス移管に伴う利益を含む)につきましては4,383億円(前期比0.7%増)となりました。前連結会計年度はADHD治療薬のライセンス移管に伴う一時金250億円が計上されていましたが、海外事業およびロイヤリティー収入の増加を中心に、各事業が伸展した結果、当連結会計年度の売上収益は前連結会計年度を上回り、3年連続で過去最高の売上収益を更新する結果となりました。
利益面につきまして、売上収益に占める製品構成の変化に伴う売上原価の増加に加え、主要な開発プロジェクトへの積極的な投資や為替の影響による研究開発費の増加、さらにはグローバル展開に伴う販売費および一般管理費の増加等により、費用は前連結会計年度に比べて増加しました。一方で、前連結会計年度は特別早期退職プログラムの実施による一過的な費用が発生したこともあり、費用全体の増加幅は限定的となりました。結果として費用は増加したものの、各事業の伸展により売上収益が増加したことで、営業利益は1,566億円(同2.1%増)となりました。また、税引前利益につきましては2,008億円(同1.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益につきましては1,704億円(同5.2%増)、EBITDAにつきましては1,793億円(同5.0%減)となりました。
当連結会計年度は、グローバル展開や中長期の成長に向けた新規事業ならびに成長ドライバーに対する積極投資を行ったことで、売上収益と営業利益について3年連続で過去最高業績を更新する結果となりました。
国内の医療用医薬品の売上収益は988億円(前期比34.6%減)となりました。これは、前連結会計年度に計上されたADHD治療薬のライセンス移管に伴う一時金250億円の影響に加え、感染症薬の売上が減少したことが主な要因です。前連結会計年度と比較して、 COVID-19の流行が極めて低調に推移したことで、ゾコーバの売上は減少しました。一方で、COVID-19治療薬市場におけるゾコーバのシェアは、前連結会計年度と比較して大きく拡大しました。また、インフルエンザ治療薬のゾフルーザについても高い市場シェアを獲得し、今冬のインフルエンザの流行拡大時には着実に売上を計上しました。
各製品はそれぞれの治療薬市場において、計画通りのシェアを獲得しており、今後も流行が拡大した際には安定して業績に貢献することが期待されます。当連結会計年度のCOVID-19関連製品およびインフルエンザ関連製品(ゾフルーザ、ラピアクタ)の売上収益の合計は518億円となりました。また、当連結会計年度においては2024年12月より不眠症治療薬クービビックの販売を新たに開始しました。
海外事業における売上収益は591億円(前期比18.4%増)となりました。欧米市場ではセフィデロコル(米国の製品名:Fetroja、欧州の製品名:Fetcroja)の販売が好調に推移し、米国事業は234億円(同30.6%増)、欧州事業は168億円(同24.0%増)の売上収益となりました。セフィデロコルの成長の要因としては、既上市国における臨床エビデンスの蓄積による市場浸透が挙げられます。引き続き、セフィデロコルの販売国の拡大や既上市国でのさらなる浸透、サブスクリプション型償還モデル※の採用国の拡大を通じ、欧米事業の成長を促進してまいります。中国における売上収益は、87億円(同18.3%減)と対前年で減収となりましたが、一方でセフィデロコルの承認申請の実施や、ナルデメジンの第3相臨床試験での主要評価項目の達成など、新薬ビジネスへの転換に向けて着実に事業を進展させることができました。
※ 抗菌薬の処方量と切り離し、国が開発企業に対して固定報酬を支払う代わりに、必要なときに抗菌薬を受け取ることができるモデル
ヴィーブ社からのロイヤリティー収入は、 経口2剤合剤や長時間作用型製剤(Long Acting製剤:LA製剤)の力強い成長に加え、為替の影響もあり、2,404億円(前期比22.8%増)となりました。その他のロイヤリティー収入は、43億円(同6.8%減)となりました。
ヴィーブ社からの配当金は、ヴィーブ社のビジネスが順調に進捗したことで、 403億円(同18.8%増)となりました。
以上の結果から、当連結会計年度のロイヤリティー収入およびヴィーブ社からの配当金収入の合計は、2,850億円(同21.6%増)となり、過去最高の金額を更新しました。
2024年度は、COVID-19関連プロジェクトや注力プロジェクトを中心に積極的に研究開発活動を推進し、進展させました。
次世代3CLプロテアーゼ阻害剤であるS-892216について、COVID-19の治療および予防を目的として、長時間作用型製剤と経口剤の2種類の製剤で開発が進行中です。2024年度は長時間作用型製剤における曝露前予防の適応について、研究を進展させるとともに、米国BARDAから開発支援として、375百万ドル(約585億円※)の助成金を受領する契約を締結しました。 ※1ドル=156円換算、契約締結時の為替レート水準
2024/2025シーズンの予防接種における推奨株であるJN.1系統に対応したCOVID-19予防ワクチンのS-268024については、今後の推奨株に対応したワクチン開発に向けて、研究を進展させ、2024年度は第3相臨床試験を開始しました。
S-567123(ユニバーサルワクチン)は、単剤で幅広い変異に対して予防効果を発揮することが期待される次世代型ワクチンです。まずは、COVID-19に対するユニバーサルワクチンの開発を目指しており、2024年度は非臨床試験や治験薬製造に向けた検討を進展させました。
S-917091は、インテグラーゼ阻害薬とは異なる作用機序の抗HIV薬候補です。インテグラーゼ阻害薬と併用することで、超長時間作用型(3ヵ月以上に1回投与)のHIV治療を可能とすることを目指し、2024年度は各種の研究を進展させました。
S-898270は、学習記憶を始めとする認知機能を向上させることが期待される認知症治療薬候補です。2025年度上期中の第1相臨床試験の開始を目指し、研究を進展させました。
COVID-19の経口抗ウイルス薬エンシトレルビル(日本での製品名:ゾコーバ)については、COVID-19患者の同居家族または共同生活者を対象に実施した、グローバル第3相曝露後発症予防試験(SCORPIO-PEP試験)にて、主要評価項目を達成しました。経口抗ウイルス薬がCOVID-19の発症抑制効果を示した世界初の臨床試験であり、この結果に基づき、日本ではCOVID-19の予防に関する効能・効果追加申請を行いました。グローバルでの申請については、本試験結果と、これまでに実施した臨床試験の結果を踏まえて、各規制当局と協議を進めています。なお、米国においては、先行してCOVID-19の予防を適応として、ローリング・サブミッション(段階的申請)を開始しました。
COVID-19予防ワクチン(起源株1価)であるコブゴーズ筋注は、これまで主に使用されてきたmRNAワクチンとは異なり、長年にわたり国内外で広く使用され、その有効性と長期的な安全性が実証された技術を基盤とする組み換えタンパクワクチンです。2024年度は、SHIONOGI初のワクチンとして、初回免疫における国内製造販売承認を取得しました。
S-337395は、経口の新規RSウイルス感染症治療薬です。現時点ではRSウイルスに対する有効な抗ウイルス薬が存在しないため、新たな治療選択肢として期待されています。2024年度は、第2相臨床試験(ヒトチャレンジ試験)において、主要評価項目を達成し、後期臨床試験の開始に向け進展させることができました。
ズラノロンは既存薬とは異なる新規の作用機序を有する抗うつ薬で、1日1回14日間の経口投与により、効果を発揮する薬剤です。2024年度は、第3相臨床試験において、プラセボ群に対して、統計学的に有意なうつ症状の改善や即効性、良好な忍容性を確認し、国内での製造販売承認申請を実施しました。
S-606001は、低分子の経口ポンペ病治療薬候補です。ポンペ病は世界での患者数が5万人ほどと推定されている希少疾患で、既存治療では満たすことができないアンメットニーズが残されていることから、本剤は、新たな治療選択肢として期待されています。2024年度は、国内第1相臨床試験を進展させました。
SASS-001は、睡眠障害に卓越した専門性を持つApnimed社と共同で開発を進める、経口の睡眠時無呼吸症候群を対象とした治療薬候補です。2024年度は第2相臨床試験を開始しました。
エンデバーライドは、小児のADHD患者を対象とした治療用アプリです。2024年度は、国内第3相臨床試験の良好な結果に基づき、国内での製造販売承認を取得しました。
当連結会計年度末の資産合計は1兆5,353億49百万円で、前連結会計年度末に比べて1,184億31百万円増加しました。
非流動資産は、6,768億44百万円で、仕掛研究開発資産等の無形資産や使用権資産、その他の金融資産の増加等により前連結会計年度末に比べて441億32百万円増加となりました。流動資産は8,585億4百万円で、3ヶ月超の定期預金および債券(流動資産のその他の金融資産に含みます)の増減、現金及び現金同等物やその他の流動資産の増加等の結果、前連結会計年度末に比べて742億98百万円増加しました。
資本については1兆3,624億97百万円となりました。配当金の支払があった一方で、当期利益の計上により、前連結会計年度末に比べて1,099億34百万円増加しました。
負債については1,728億52百万円で、前連結会計年度末に比べて84億96百万円増加しました。
非流動負債は434億59百万円で、リース負債の増加等により前連結会計年度末に比べて130億10百万円増加しました。流動負債は1,293億92百万円で、その他の金融負債の減少等により、前連結会計年度末に比べて45億14百万円減少しました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益の増加、営業債権の減少、法人所得税の支払額の減少等により、前連結会計年度に比べて411億76百万円多い1,954億60百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、無形資産の取得による支出の増加や定期預金の増減等により、前連結会計年度に比べて1,220億2百万円多い1,160億80百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いが増加した一方で、自己株式の取得による支出が前連結会計年度に比べて減少したことにより、前連結会計年度に比べて619億44百万円少ない649億8百万円の支出となりました。
これらを合わせた当連結会計年度の現金及び現金同等物の増減額は167億4百万円の増加となり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、3,747億95百万円となりました。
(注) 親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/資産合計
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
1.指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
4.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を払っている全ての負債を対象としております。
2026年3月期の業績につきましては、以下の通り見込んでおります。
■売上収益
売上収益について、国内事業は、COVID-19の治療率向上やゾコーバのシェア拡大による急性呼吸器感染症薬の伸長に加え、クービビックをはじめとする新製品の貢献により、増収を見込んでいます。一方、海外事業においては、セフィデロコルの堅調な販売により現地通貨ベースでは拡大を想定しているものの、為替影響により減収となる見込みです。また、ヴィーブ社からのHIV関連製品に関するロイヤリティー収入については、2024年度に引き続き、Dovatoや長時間作用型治療薬Cabenuva、予防薬Apretudeの売上増加により、増収を見込んでいます。さらに、JTグループ医薬事業のM&Aによる売上収益の拡大を見込んでおります。これらの結果より、売上収益全体としては増収となる見通しです。
■利益
利益面については、国内注力品の増加による情報提供活動の拡大に加え、エンシトレルビルの欧米展開に向けた販売体制の構築や、コーポレート機能のグローバル化、DX推進に伴う販売費および一般管理費の増加を見込んでいます。研究開発費については、グローバル市場で成長ドライバーとなりうる製品の開発を一層加速させるため、創業以来最大規模となる投資を予定しています。これらにより費用全体は増加する見込みですが、それを上回る売上収益の増加を見込んでおり、営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益のすべての利益項目で増益の見通しです。
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社グループは財務諸表の国際的な比較可能性の向上や、グループ内の会計基準統一によるビジネスオペレーションの改善を目的に、国際財務報告基準(IFRS会計基準)を任意適用しております。
該当する事項はありません。
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)および当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
当社グループは、医療用医薬品の研究開発、仕入、製造、販売並びにこれらの付随業務を事業内容とする単一事業であります。製品別の販売状況、会社別の利益などの分析は行っておりますが、事業戦略の意思決定、研究開発費を中心とした経営資源の配分は当社グループ全体で行っており、従って、セグメント情報の開示は省略しております。
基本的1株当たり当期利益および希薄化後1株当たり当期利益の算定上の基礎は、以下の通りであります。
(注)1.逆希薄化効果を有するため、希薄化後1株当たり当期利益の算定から除外した金融商品はありません。
2.2022年9月に当社はシオノギ感染症研究振興財団に係る三井住友信託銀行株式会社の信託(再信託受託者:株式会社日本カストディ銀行(信託口))に当社株式9百万株(株式分割前は3百万株)を処分しておりますが、当該当社株式を自己株式として処理しています。そのため、基本的1株当たり当期利益及び希薄化後1株当たり当期利益の算定において、期中平均普通株式数から当該株式数を控除しております。
3.当社は、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合をもって株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、基本的1株当たり当期利益及び希薄化後1株当たり当期利益を算定しております。
(日本たばこ産業株式会社の医薬事業の譲受、鳥居薬品株式会社の完全子会社化を目的とした株式公開買付けの開始)
塩野義製薬株式会社(以下、当社)は、2025年5月7日開催の取締役会において、日本たばこ産業株式会社(本社:東京都港区、 代表取締役社長:寺畠 正道、以下、日本たばこ産業)の医薬事業を会社分割(簡易吸収分割)により当社へ承継すること)及び米国の当社グループ会社Shionogi Inc.によるAkros Pharma Inc.(日本たばこ産業の100%孫会社、本社:米国ニュージャージー州)の発行済株式全部の譲受に関する合意書(以下、本合意)を締結することを決議しました。 なお、本合意に関連して、当社は、2025 年5月7日開催の取締役会において、日本たばこ産業の連結子会社である鳥居薬品株式会社(以下、鳥居薬品)を当社の完全子会社とすることを目的として、鳥居薬品の普通株式に関する公開買付け(以下、本公開買付け)を実施することを決議しております。 本公開買付けに関する詳細は、当社が2025年5月7日付で公表した「鳥居薬品株式会社(証券コード 4551)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」をご参照ください。
(重要な会社分割)
2025年4月1日を効力発生日として、当社の完全子会社である株式会社UMNファーマ(以下、UMNファーマ)を吸収分割会社とし、当社の完全子会社であるシオノギファーマ株式会社(以下、シオノギファーマ)を吸収分割承継会社とする吸収分割(以下、本吸収分割)を行いました。
1.本吸収分割の目的
当社は中期経営計画STS2030 Revisionにて、ワクチン事業を感染症のトータルケアの一環として強化することを掲げ、本年度よりワクチン事業本部を新設し、研究開発から生産、販売までを一貫して統括することで、迅速かつ柔軟に、ワクチンの創製から供給に対応できる体制を整えました。このたび、ワクチン生産機能の強化および効率化を図ることを目的に、シオノギファーマがUMNファーマのワクチン生産機能を吸収分割により承継することといたしました。
2.吸収分割する事業の内容、分割する資産及び負債の帳簿価額
3.本吸収分割の形態
当社の完全子会社であるUMNファーマを吸収分割会社とし、当社の完全子会社であるシオノギファーマを吸収分割承継会社とする吸収分割。
4.本吸収分割の時期
2025年4月1日
5.その他の重要な事項
本吸収分割による当事会社の名称、所在地、事業内容、資本金に変更はありません。本吸収分割により、UMNファーマの生産機能はシオノギファーマに承継され、のれんや無形資産などの一部資産は当社に承継されます。なお、UMNファーマは2025年3月31日にUMNファーマ臨時株主総会にて解散を決議し、同年6月上旬に清算結了を予定しています。また、本吸収分割が当社の連結業績に与える影響は軽微です。