1.経営成績等の概況 ………………………………………………………………………………………………2
(1)当期の経営成績の概況 ……………………………………………………………………………………2
(2)当期の財政状態の概況 ……………………………………………………………………………………9
(3)当期のキャッシュ・フローの概況 ………………………………………………………………………11
(4)その他 ………………………………………………………………………………………………………12
(5)今後の見通し ………………………………………………………………………………………………13
(6)資本配分に関する基本方針及び当期・次期の配当 ……………………………………………………15
2.経営方針 …………………………………………………………………………………………………………16
(1)経営の基本方針 ……………………………………………………………………………………………16
(2)経営環境、中長期的な経営戦略及び対処すべき課題等 ………………………………………………17
3.会計基準の選択に関する基本的な考え方 ……………………………………………………………………20
4.連結財務諸表[IFRS]及び主な注記 ……………………………………………………………………………21
(1)連結損益計算書 ……………………………………………………………………………………………21
(2)連結包括利益計算書 ………………………………………………………………………………………22
(3)連結財政状態計算書 ………………………………………………………………………………………23
(4)連結持分変動計算書 ………………………………………………………………………………………25
(5)連結キャッシュ・フロー計算書 …………………………………………………………………………27
(6)連結財務諸表に関する注記事項 …………………………………………………………………………29
(継続企業の前提に関する注記) ………………………………………………………………………………29
(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) ………………………………………………………29
(セグメント情報) ………………………………………………………………………………………………29
(1株当たり情報) ………………………………………………………………………………………………30
(重要な後発事象) ………………………………………………………………………………………………30
【財務補足資料】
① 事業の概況
当社は、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。当社は、幅広い医薬品のポートフォリオを有し、研究、開発、製造、およびグローバルでの販売を行っています。主要ビジネスエリアは、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ワクチン、およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の6つに分けられています。研究開発においては、消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、およびオンコロジーの3つの重点疾患領域に取り組むとともに、血漿分画製剤にも注力しています。当社は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。当社は、患者さんやコミュニティに高品質の医薬品をできる限り早くお届けするために、希少疾患および有病率がより高い疾患のいずれにおいても、未だ有効な治療法が確立されていない疾患に対する高い医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)に集中して取り組んでいます。当社は、約80の国と地域で医薬品を販売しており、世界中に製造拠点を有するとともに、日本および米国に主要な研究拠点を有しています。販売においては、米国、日本および欧州において非常に高いプレゼンスを有しており、中国においては急成長している事業を展開しています。また、当社は事業運営をより効果的かつ効率的に行うため、データ、デジタルおよびテクノロジーの活用を促進し、イノベーションの創出の増進およびステークホルダーへの価値提供に取り組んでいます。
② 当年度における業績の概要
当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。
本項において、前年度に対する、国際会計基準(IFRS)に準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減額および増減率は「AER」の表記で示し、国際会計基準(IFRS)に準拠しない恒常為替レート(Constant Exchange Rate)ベースの増減率は「CER」の表記で示しています。「CERベースの増減率」の定義については、財務補足資料の「国際会計基準に準拠しない財務指標、便宜的な米ドル換算の定義および説明」をご参照ください。
〔売上収益〕
売上収益は、4兆5,816億円(+3,178億円および+7.5% AER、+2.9% CER)となりました。これは主に、為替相場が円安に推移したこと、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)およびワクチンにおいて事業が好調に推移したことによるものです。当社の6つの主要なビジネスエリアのうち、ニューロサイエンス(神経精神疾患)については減収となり、これらのビジネスエリアの増収を一部相殺しました。ニューロサイエンスは、円安による増収影響があったものの、米国における注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤VYVANSEの独占販売期間満了に伴い、2023年8月以降、後発品が参入したことによる影響を引き続き大きく受けて減収となりました。加えて、当社の6つの主要なビジネスエリア以外における減収は、主に日本において高血圧症治療剤アジルバの減収によるものです。アジルバの売上は、118億円(△218億円および△64.9% AER、△64.9% CER)となり、日本において2023年6月以降の後発品の参入による影響を受け減収となりました。
地域別売上収益
各地域の売上収益は以下のとおりです。
(注) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。
ビジネスエリア別売上収益
各ビジネスエリアの売上収益は以下のとおりです。
各ビジネスエリアにおける売上収益の前年度からの増減は、主に以下の製品によるものです。
・消化器系疾患
消化器系疾患の売上収益は、1兆3,570億円(+1,408億円および+11.6% AER、+6.8% CER)となりました。
当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)の売上は、9,141億円(+1,132億円および+14.1% AER、+8.5% CER)となりました。米国における売上は、6,192億円(+731億円および+13.4% AER)となりました。この増収は、炎症性腸疾患に対する生物学的製剤の新規投与の堅調な需要の維持および皮下注射製剤の上市以降、継続的に投与患者が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。欧州およびカナダにおける売上は、2,274億円(+316億円および+16.1% AER)となりました。この増収は、皮下注射製剤の継続的な使用拡大に伴い患者が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。
短腸症候群治療剤GATTEX/レベスティブの売上は、1,463億円(+270億円および+22.7% AER、+17.2% CER)となりました。この増収は、主に米国における需要増加、処方拡大(小児適応拡大)、および円安による増収影響によるものです。
・希少疾患
希少疾患の売上収益は、7,528億円(+644億円および+9.4% AER、+4.6% CER)となりました。
遺伝性血管性浮腫治療剤タクザイロの売上は、2,232億円(+445億円および+24.9% AER、+18.9% CER)となりました。この増収は、主に米国、欧州およびカナダにおける高い治療継続率および予防市場の成長により需要が増加していること、および円安による増収影響によるものです。
移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療剤リブテンシティの売上は、330億円(+139億円および+72.9% AER、+64.5% CER)となりました。この増収は、主に米国において市場浸透が継続して好調に進んだことに加え、欧州および成長新興国において引き続き販売エリアが拡大したことによるものです。
酵素補充療法のハンター症候群治療剤エラプレースの売上は、972億円(+57億円および+6.2% AER、+2.1% CER)となりました。この増収は、主に円安による増収影響、および成長新興国における堅調な需要によるものです。
酵素補充療法のファブリー病治療剤リプレガルの売上は、779億円(+43億円および+5.8% AER、+2.1% CER)となりました。この増収は、主に円安による増収影響、および成長新興国での需要の増加によるものです。
血友病A治療剤アドベイトの売上は1,118億円(△112億円および△9.1% AER、△13.4% CER)となりました。この減収は、主に米国における競争激化、および中国における需要減少によるものです。この減収は、円安による増収影響により一部相殺されました。
・血漿分画製剤
血漿分画製剤の売上収益は、1兆327億円(+1,290億円および+14.3% AER、+8.6% CER)となりました。
免疫グロブリン製剤の売上合計は、7,578億円(+1,132億円および+17.6% AER、+11.5% CER)となりました。3つのグローバル製品の売上は、引き続きグローバルに需要が堅調に推移し供給量が増加したこと、および円安による増収影響により、2桁台の売上増加率となりました。これら3製品には、原発性免疫不全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に用いられる静注製剤GAMMAGARD LIQUID/KIOVIGのほか、静注製剤に比べ投薬の利便性が高く、速いペースで成長している皮下注射製剤のキュービトルとハイキュービアが含まれます。
主に血液量減少症と低アルブミン血症の治療に用いられるHUMAN ALBUMINとFLEXBUMINを含むアルブミン製剤の売上合計は、1,414億円(+74億円および+5.5% AER、+1.1% CER)となりました。この増収は、主に円安による増収影響によるものです。
・オンコロジー
オンコロジーの売上収益は、5,604億円(+981億円および+21.2% AER、+17.2% CER)となりました。
大腸がん治療剤FRUZAQLA(国内製品名:フリュザクラ)の売上は、480億円(+379億円および+375.7% AER、+351.3% CER)となりました。この増収は、本剤が転移性大腸がんにおける新たな治療選択肢として、2023年11月に米国で最初に上市して以降、その他の国々でも上市されたことによるものです。
悪性リンパ腫治療剤アドセトリスの売上は、1,290億円(+196億円および+17.9% AER、+14.8% CER)となりました。この増収は、成長新興国および欧州において、主にホジキンリンパ腫の一次治療の使用が増加し堅調な需要となったこと、および円安による増収影響によるものです。
白血病治療剤アイクルシグの売上は、707億円(+160億円および+29.3% AER、+23.0% CER)となりました。この増収は、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)と新たに診断された患者さんの化学療法併用下での治療剤としての追加効能が2024年3月に米国において承認されたこと、および円安による増収影響によるものです。
子宮内膜症・子宮筋腫・閉経前乳がん・前立腺がん等の治療に用いられるリュープリン/ENANTONEの売上は、1,193億円(+119億円および+11.1% AER、+8.2% CER)となりました。この増収は、主に米国および成長新興国における売上が増加したこと、および円安による増収影響によるものです。
・ワクチン
ワクチンの売上収益は、554億円(+51億円および+10.0% AER、+7.5% CER)となりました。
デング熱ワクチンQDENGAの売上は、356億円(+260億円および+272.3% AER、+259.0% CER)となりました。この増収は、デング熱流行国においてQDENGAのアクセスが拡大したことによるものであり、非流行国も含め、約30ヶ国で利用可能となっています。
その他のワクチンの売上合計は、減収となりました。この減収は、主に新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンであるスパイクバックスの日本における流通契約が2024年3月に終了したことによるものです。
・ニューロサイエンス
ニューロサイエンスの売上収益は、5,658億円(△612億円および△9.8% AER、△14.1% CER)となりました。
ADHD治療剤VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)の売上は、3,506億円(△726億円および△17.2% AER、△21.6% CER)となりました。この減収は、米国において2023年8月から複数の後発品が参入したことによるものです。この減収影響は、円安による増収影響により一部相殺されました。
ADHD治療剤ADDERALL XRの売上は、284億円(△133億円および△31.9% AER、△35.3% CER)となりました。この減収は、主に米国における後発品である競合他社の即放性製剤が増加したことによるものであり、本剤に対してはマイナスの影響となりました。
大うつ病(MDD)治療剤トリンテリックスの売上は、1,257億円(+209億円および+20.0% AER、+14.2% CER)となりました。この増収は、主に米国における価格に関する取引条件の改善、および円安による増収影響によるものです。
〔売上原価〕
売上原価は、1兆5,802億円(+1,535億円および+10.8% AER、+6.5% CER)となりました。この増加は主に、製品構成の変動を含む主要なビジネスエリアの好調な売上の増加および円安による為替影響によるものです。
〔販売費及び一般管理費〕
販売費及び一般管理費は、1兆1,048億円(+509億円および+4.8% AER、+0.6% CER)となりました。この増加は主に、円安による為替影響によるものです。また、効率化の取り組みにより、データ、デジタルおよびテクノロジーへの追加投資ならびにインフレの影響による費用の増加は大部分が相殺されております。
〔研究開発費〕
研究開発費は、7,302億円(+3億円および+0.0% AER、△4.5% CER)となりました。効率化の取り組み、およびmodakafusp alfa (TAK-573)や非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYなどの開発プログラムが前年度に終了したことに伴う費用の減少があったものの、円安による為替影響に伴う費用が増加したことにより、前年度と比べ微増となりました。
〔製品に係る無形資産償却費及び減損損失〕
製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、6,432億円(△89億円および△1.4% AER、△6.0% CER)となりました。この減少は、円安による為替影響により無形資産償却費は増加(+267億円)したものの、仕掛研究開発品および上市後製品に係る減損損失が減少(△355億円)したことによるものです。減損損失の減少は、前年度の計上額が当年度よりも大きかったことによるものです。前年度の減損損失には、主にクローン病に伴う複雑痔瘻治療剤アロフィセルに係る減損損失740億円、非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYの減損損失285億円、およびオンコロジーの仕掛研究開発品の開発中止の決定に伴い計上した減損損失が含まれておりますが、好酸球性食道炎治療剤EOHILIAの減損損失の戻し入れ357億円を計上したことにより一部相殺されております。当年度の計上額には、Maverick Therapeutics Inc.の買収により獲得したTAK-186およびTAK-280の開発中止の決定に伴い計上した減損損失278億円、およびソチクレスタット(TAK-935)の臨床第3相試験において主要評価項目を達成できなかったことにより計上した減損損失215億円が含まれます。
〔その他の営業収益〕
その他の営業収益は、262億円(+68億円および+35.3% AER、+30.8% CER)となりました。この増加は主に、TACHOSIL(フィブリノゲン配合組織接着・閉鎖パッチ剤)の製造施設を含む事業売却が完了したことにより当年度に計上した売却益61億円によるものです。
〔その他の営業費用〕
その他の営業費用は、2,067億円(+2億円および+0.1% AER、△3.6% CER)となりました。当年度において、主に全社的な効率化プログラムにより事業構造再編費用が増加(+468億円)したものの、前年度にAbbVie, Inc.(「AbbVie社」)との供給契約に関する訴訟引当金繰入額およびXIIDRA、EOHILIAに係る条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正価値変動による評価損を計上したこと、および当年度に承認前在庫に係る評価損の戻し入れを計上したことにより相殺され、前年度と比べ微増となりました。
〔営業利益〕
営業利益は、上記の要因を反映し、3,426億円(+1,285億円および+60.0% AER、+51.2% CER)となりました。
〔金融損益〕
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は1,635億円の損失(△42億円および△2.5% AER、△5.7% CER)となりました。この減少は主に、為替差損益および為替取引に係るデリバティブ評価損益をあわせた損失が減少したことによるものですが、武田テバファーマ株式会社の株式の売却に係る減損損失189億円を当年度に計上したことにより大部分が相殺されております。
〔持分法による投資損益〕
当年度の持分法による投資損益は、40億円の損失(△105億円)となりました。前年度の持分法による投資損益は、65億円の利益でした。
〔法人所得税費用〕
法人所得税費用は、669億円(+1,583億円、前年度は914億円の便益)となりました。この増加は主に、前年度において、2014年にShire社がAbbVie社から受領した買収違約金の取り扱いに係る税務評価について、アイルランド歳入庁と和解したことに伴い和解金を超える部分の未払法人所得税を振り戻したことによる税金費用の減額635億円を認識したこと、当年度における繰延税金資産の回収可能性の評価の見直しによる税金費用の増加、および税引前当期利益の増加によるものです。
〔当期利益〕
当期利益は、上記の要因を反映し、1,081億円(△361億円および△25.0% AER、△33.1% CER)、当期利益(親会社の所有者帰属分)は、1,079億円(△361億円および△25.1% AER、△33.2% CER)となりました。
③ 当年度におけるCore業績の概要
Core財務指標とCERベースの増減の定義および説明
当社は、国際会計基準(IFRS)に準拠した財務諸表に加え、業績評価において「Core財務指標」の概念を採用しています。本指標は、IFRSに準拠したものではありません。追加的な情報については、財務補足資料の「国際会計基準に準拠しない財務指標、便宜的な米ドル換算の定義および説明」をご参照ください。
Core業績
〔Core売上収益〕
Core売上収益は、4兆5,798億円(+3,161億円および+7.4% AER、+2.8% CER)となりました。この増加は主に、為替相場が円安に推移したこと、および売上収益の合計が2兆2,019億円(+3,759億円および+20.6% AER、+14.7% CER)となったタケダの成長製品・新製品(注)が当社の事業を好調に牽引したことによるものです。これらの増加は、米国におけるVYVANSEおよび日本におけるアジルバの独占販売期間満了後の後発品の参入による売上の減少により一部相殺されました。
(注)当年度のタケダの成長製品・新製品
消化器系疾患:ENTYVIO、EOHILIA
希少疾患:タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ
血漿分画製剤(免疫疾患):GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤、
HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤
オンコロジー:アルンブリグ、FRUZAQLA
ワクチン:QDENGA
〔Core営業利益〕
Core営業利益は、1兆1,626億円(+1,078億円および+10.2% AER、+4.9% CER)となりました。Core営業利益の内訳は以下の通りです。
報告期間における上記項目の増減は以下の通りです。
〔Core売上原価〕
Core売上原価は、1兆5,818億円(+1,555億円および+10.9% AER、+6.6% CER)となりました。この増加は主に、製品構成の変動を伴う主要なビジネスエリアの好調な売上の増加および円安による為替影響によるものです。
〔Core販売費及び一般管理費〕
Core販売費及び一般管理費は、1兆1,050億円(+521億円および+4.9% AER、+0.7% CER)となりました。この増加は主に、円安による為替影響によるものです。また、効率化の取り組みにより、データ、デジタルおよびテクノロジーへの追加投資ならびにインフレの影響による費用の増加は大部分が相殺されております。
〔Core研究開発費〕
Core研究開発費は、7,304億円(+7億円および+0.1% AER、△4.4% CER)となりました。効率化の取り組み、およびmodakafusp alfa (TAK-573)や非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYなどの開発プログラムが前年度に終了したことに伴う費用の減少があったものの、円安による為替影響に伴う費用が増加したことにより、前年度と比べ微増となりました。
〔Core当期利益〕
Core当期利益は、7,758億円(+189億円および+2.5% AER、△3.4% CER)、Core当期利益(親会社の所有者帰属分)は、7,756億円(+188億円および+2.5% AER、△3.4% CER)となりました。Core当期利益は、Core営業利益に基づき、以下の通り算出されます。
報告期間における上記項目の増減は以下の通りです。
〔Core金融損益〕
Core金融収益とCore金融費用をあわせた金融損益は、1,407億円の損失(△13億円および△0.9% AER、△4.5% CER)となりました。
〔Core持分法による投資損益〕
Core持分法による投資損益は、11億円の利益(△48億円および△81.2% AER、△82.2% CER)となりました。
〔Core税引前当期利益〕
Core税引前当期利益は、1兆231億円(+1,043億円および+11.3% AER、+5.8% CER)となりました。
〔Core法人所得税費用〕
Core法人所得税費用は、2,473億円(+854億円および+52.7% AER、+48.7% CER)となりました。この増加は主に、Core税引前当期利益の増加、当年度における繰延税金資産の回収可能性の評価の見直しによるCore税金費用の増加、および前年度において税務上の不確実事項が有利に解決されたことによる税金費用の減少があったことによるものです。
〔Core EPS〕
当年度のCore EPSは、491円(+7円および+1.5% AER、△4.3% CER)となりました。
〔資産〕
当年度末における資産合計は、14兆2,483億円(△8,604億円)となりました。この減少は、特定の無形資産の取得により一部相殺されたものの、償却、減損損失および為替換算の影響により、無形資産が減少(△6,431億円)したこと、主に為替換算の影響により、のれんが減少(△856億円)したこと、主に武田テバファーマ株式会社の株式の売却により、持分法で会計処理されている投資が減少(△790億円)したことによるものです。
〔負債〕
当年度末における負債合計は、7兆3,124億円(△5,224億円)となりました。社債及び借入金合計は、米ドル建無担保普通社債の発行により一部相殺されたものの、主にシンジケートローンの事前返済および無担保普通社債の償還により減少し、4兆5,153億円(注)(△3,285億円)となりました。また主に米国における無形資産の償却により、繰延税金負債が減少(△786億円)しております。加えて、主にProtagonist Therapeutics, Inc.への支払いを含む、契約一時金に係る前年度の債務が大きかったことにより、当年度の仕入債務及びその他の債務は減少(△720億円)しております。
(注)当年度末における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ4兆1,906億円および3,246億円です。なお、社債及び借入金の内訳は以下の通りです。
社債:
借入金:
当社グループは、2024年4月25日に、バイラテラルローン500億円を満期返済するとともに、同日に、2031年4月25日満期のバイラテラルローン500億円の借入を実行しました。その後、2024年6月25日には、発行総額4,600億円、償還期日2084年6月25日の60年無担保ハイブリッド社債を発行しました。
2024年7月5日には、発行総額3,000百万米ドル、償還期日2034年7月5日から2064年7月5日の米ドル建無担保普通社債(以下、本社債)を発行しました。本社債の発行により調達した資金を充当することにより、2024年7月12日に2026年9月満期の無担保普通社債1,500百万米ドルを公開買付で繰上償還するとともに、同年7月にコマーシャル・ペーパーを償還しました。
2024年10月3日には、2084年10月3日満期のシンジケート ハイブリッド ローン400億円の借入を実行しました。2024年10月6日には、2024年6月25日に発行したハイブリッド社債により調達した資金とともに、シンジケート ハイブリッド ローンにより調達した資金を充当することにより、2019年6月に発行したハイブリッド社債5,000億円を2079年6月6日の償還期日に先立ち繰上償還しました。
2025年3月31日には、シンジケートローン3,135億円および1,500百万米ドルを2026年4月27日から2030年4月26日の満期に先立ち期限前弁済しました。この期限前弁済のため、手元現金、2025年3月31日に借入れた短期ローン500百万米ドル、および短期コマーシャル・ペーパーにより調達した資金を充当しました。なお、当年度末におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は2,700億円となりました。
〔資本〕
当年度末における資本合計は、6兆9,360億円(△3,380億円)となりました。利益剰余金の減少(△2,036億円)は、当期利益1,081億円の計上により一部相殺されたものの、主に配当金の支払いに伴う3,032億円の減少によるものです。その他の資本の構成要素の減少(△1,574億円)は、主に円安の影響による為替換算調整勘定の変動によるものです。
(単位:億円)
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
営業活動によるキャッシュ・フローは、1兆572億円(+3,408億円)となりました。この増加は主に、引当金および棚卸資産の変動により資産及び負債の増減額が増加したことによるものです。この増加は、非資金項目およびその他の調整項目を調整した後の当期利益の減少により一部相殺されております。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
投資活動によるキャッシュ・フローは、△3,671億円(+968億円)となりました。この増加は主に、無形資産の取得による支出の減少、および武田テバファーマ株式会社の株式の売却を含む関連会社株式の売却による収入によるものです。この増加は、米国債の取得による支出、AC Immune SAへの契約一時金の支払いおよびAscentage Pharma Group Internationalへのマイノリティ出資およびライセンスオプションの取得による支出を含む、他の投資活動により一部相殺されております。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
財務活動によるキャッシュ・フローは、△7,514億円(△3,970億円)となりました。この減少は主に、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの純増加額の減少、シンジケートローンおよびハイブリッド社債の返済・償還、ならびに自己株式の取得によるものです。この減少は、ハイブリッド社債および米ドル建無担保普通社債等の社債の発行による収入により一部相殺されております。
プロトンポンプ阻害薬製造物責任訴訟
当社グループは、2024年3月31日時点において、米国連邦裁判所および州裁判所において、6,100件を上回るPREVACIDおよびDEXILANTの使用に関連した製造物責任訴訟を提起されていました。これらの訴訟の大多数は、米国連邦裁判所に係属され、広域係属訴訟(MDL)制度に係る公判前整理手続のため、ニュージャージー州の連邦裁判所に統合されました。当該訴訟の原告側は、PREVACIDおよび(または)DEXILANTの使用により腎臓障害、または一部の訴訟においては胃がんを発症し、当社グループが潜在的な危険性についての適切な警告を怠ったと主張していました。 AstraZeneca plc、Procter & Gamble CompanyおよびPfizer Inc.等の、当社グループ製品と同じプロトンポンプ阻害薬クラスに属する製品を製造している他の製薬会社に対しても、類似の訴訟が提起されました。米国外では、カナダのサスカチェワン州において、1件の集団訴訟が提起されています。
2024年4月、当社グループと原告は、少額の和解金をもって米国でのこれらの訴訟を解決することで概ね合意し、これに伴い当社グループは、当該訴訟に係る引当金を計上しました。2024年11月、引当金と同額の和解金にて、書面による最終的な和解契約を原告代表の弁護士と締結しました。本和解の条件は秘密とされています。なお、この和解は当社グループの当年度の連結損益計算書に重大な影響を及ぼすものではありません。
関税措置による当社事業および業績への潜在的な影響
当社のグローバル製造拠点の中心は、米国、欧州、日本およびシンガポールに位置しています。また、委託製造業者(CMO)を米国、欧州および日本に戦略的に分散させており、委託製造費用の約70%は米国に拠点を置くCMOに対するものです。
関税措置による影響度は、輸入品の売上収益への貢献度、製造地・原産国、および移転価格政策によって決定されます。当社は、現在(2025年4月)の想定に基づくと、米国および中国の関税措置による潜在的な影響は限定的であると考えています。米国における売上収益は、全社の売上収益の約50%であり、主に欧州、日本およびシンガポールからの輸入課税価額は米国における売上収益の約8~10%となっています。また、中国における売上収益は、全社の売上収益の約4%であり、米国からの輸入課税価額は中国における売上収益の約12~15%となっています。
また、関税措置の影響を受ける可能性のある当社の輸入品については、在庫およびサプライチェーンの管理を含めた緩和策を実施しています。
自己株式の取得
当社は、2025年1月30日開催の取締役会における自己株式の取得に係る事項の決議に基づき、2025年3月期において、普通株式11,544千株、500億円の自己株式を取得しました。なお、2025年4月に取得した自己株式と合わせ、普通株式合計23,367千株、1,000億円の自己株式を取得し、同月をもちまして当該決議に基づく取得は終了しております。
翌年度(2025年度)の連結業績予想は以下のとおりです。
2025年度の業績予想
(注1)Core財務指標とCERベースの増減の定義については、財務補足資料の「国際会計基準に準拠しない財務指標、便宜的な米ドル換算の定義および説明」をご参照ください。
[売上収益]
売上収益は、当年度(2024年度)から516億円減収(△1.1%)の4兆5,300億円を見込んでいます。成長製品・新製品が引き続き伸長し、当年度から持ち越しとなる米国のVYVANSEをはじめとする独占販売期間が満了した製品に係る減収影響および薬価規制による減収影響を相殺して、概ね横ばいとなる見込みです。通期の前提為替レートは、当年度の実勢レートに対して円高に設定しています。
Core売上収益は、調整を必要とする重要性のある非中核の事象を見込んでいないことから財務ベースの売上収益と同額になります。
[営業利益]
営業利益は、当年度から1,324億円増益(+38.7%)の4,750億円を見込んでいます。全社的な効率化プログラムによる費用の節減効果を見込んでいるものの、後期開発パイプラインの上市に向けた投資を中心に引き続き積極的な研究開発投資を行うこと、データ、デジタルおよびテクノロジーへの投資も継続していくことから営業費用は増加する見込みです。一方、営業利益の増益要因としては、当年度から開始した全社的な効率化プログラムに係る費用を中心に事業構造再編費用が大幅に減少する見込みであること、VYVANSEに係る無形資産償却費が翌年度(2025年度)中に終了することがあります。また、製品に係る無形資産減損損失は当年度計上した950億円から翌年度は500億円に減少することも、営業利益の増益要因となります。
Core営業利益は、当年度から226億円減益(△1.9%)の1兆1,400億円を見込んでいます。
[当期利益(親会社の所有者帰属分)]
当期利益(親会社の所有者帰属分)は、当年度から1,201億円増益(+111.3%)の2,280億円を見込んでいます。税引前当期利益は、営業利益の増益により、1,319億円増益(+75.3%)の、3,070億円を見込んでいます。実効税率は、主に繰越欠損金の取崩額の減少により、約26%を前提としています。
財務ベースのEPSは、76円45銭増加(+111.8%)の144円81銭、Core EPSは、6円減少(△1.2%)の485円を見込んでいます。
2025年度の業績予想の主な前提条件
(注2)仕掛研究開発品を含む。
(注3)主に全社的な効率化プログラムに係る費用を含む事業構造再編費用が、2024年度実績には1,281億円、2025年度業績予想には480億円それぞれ含まれています。
目標とする経営指標(マネジメントガイダンス)
当社は、Core売上収益、Core営業利益、Core EPSのCER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減率をマネジメントガイダンスとしております。
2025年度の業績予想およびマネジメントガイダンスのその他の前提条件
・当社の2025年度業績予想およびマネジメントガイダンスには、米国政府による医薬品への関税導入および米国の関税措置に対する他国の対抗措置を想定した影響は含めておりません。
・当社の2025年度業績予想およびマネジメントガイダンスにおいて、VYVANSEのグローバル売上は2,410億円、前年度から1,096億円の減収(CERベースでは30%減収)を見込んでいます。
見通しに関する注意事項
本資料に記載の「業績予想」は、現時点で入手可能な情報と前提条件に基づく見込みであり、その実現を約束する趣旨ではございません。実際の業績は事業環境の変化や為替変動など様々な要因により変動し、異なる結果を招きうる不確実性を含んでいます。業績予想を修正すべき重大な要因が発生した場合には、速やかにご報告いたします。
① 資本配分に関する基本方針
当社は、革新的な医薬品を創出し続けるという「私たちが目指す未来」(ビジョン)のもと、健全な財務基盤を維持しながら(堅実な投資適格格付を維持し、調整後純有利子負債/調整後EBITDA 倍率2倍を目指す)、患者さんに持続的な価値を、株主には魅力的なリターンを提供できるよう資本を配分してまいります。
当社の資本配分に関する基本方針は次の通りです。
・ 成長ドライバーへの投資
・ 株主還元
「成長ドライバーへの投資」では、パイプライン拡充のための社内外の機会や新製品の上市、血漿分画製剤事業に対して戦略的な投資を行ってまいります。また、「株主還元」においては、毎年の1株当たり年間配当金を増額または維持する累進配当の方針を採用し、自己株式の取得については適切な場合に取り組んでまいります。
②当期・次期の配当
当社は株主還元を重視し、配当を重要な還元策として位置付けております。
〔2024年度〕1株当たり年間配当金:196円
当期の期末配当金は、1株当たり98円を予定しております。
この結果、当期の年間配当金は中間配当金 (1株当たり98円) と合わせ、196円となる予定です。
〔2025年度(予定)〕1株当たり年間配当金:200円
当社の企業理念は、当社が誰であるか、何を行うか、どのように行うか、なぜそれが重要なのかというタケダのストーリーを伝えています。私たちの存在意義は、世界中の人々の健康と輝かしい未来に貢献することにあります。このため私たちは、「Patient」(すべての患者さんのために)、「People」(ともに働く仲間のために)、「Planet」(いのちを育む地球のために)の約束のもとに、データとテクノロジーの力を活用しながら、革新的な医薬品を創出し続けるという「私たちが目指す未来」(ビジョン)を追求しています。当社は、「私たちの価値観」(バリュー)に従い、あらゆるステークホルダーのことを考慮した上で意思決定を行っており、患者さん、株主、社会に対する長期的な価値を創造し、従業員、関わる地域コミュニティ、私たちが暮らす地球に対して良い影響を提供し続けることができるよう努めています。
私たちの存在意義(パーパス)
「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献する」
私たちが目指す未来(ビジョン)
当社のビジョンは、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために。私たちはこの約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続けること」です。
私たちの価値観(バリュー):タケダイズム
タケダイズムとは、まず誠実であること。それは公正・正直・不屈の精神で支えられた、当社が大切にしている価値観です。当社は、これを道しるべとしながら「1.患者さんに寄り添い(Patient)、2.人々と信頼関係を築き(Trust)、3.社会的評価を向上させ(Reputation)、4.事業を発展させる(Business)」を日々の行動指針とします。
私たちの約束(インペラティブ)
当社には、患者さん、ともに働く仲間、そして地域社会に対して果たすべき責任があります。この「私たちの約束」は「私たちの存在意義」と「私たちが目指す未来」を実現するために欠かせない要素です。
すべての患者さんのために
・私たちは、倫理観をもってサイエンスの革新性を追求します。そして、人々の暮らしを豊かにする医薬品の創出に取り組みます。また、私たちの医薬品を、より多くの人々に迅速にお届けします。
ともに働く仲間のために
・私たちは、理想的な働き方を実現します。
いのちを育む地球のために
・私たちは、自然環境の保全に寄与します。
データとデジタルの力で、イノベーションを起こします
・データを活用して導き出された成果をもとに、もっとも信頼されるバイオ医薬品企業として、これからも変革し続けます。
事業環境
現在の地政学的な環境は、世界的な緊張の高まりと分極化が進む状態にあります。このような状況を背景に、保護主義や貿易紛争が拡大し、世界貿易に圧力をかけるとともに、供給網に影響を及ぼし、世界経済の先行きに不確実性をもたらしています。当社のバリューチェーンは米国、欧州、日本およびシンガポールを中心に構築されており、特に米中間の貿易摩擦の影響を抑える役割を果たしています。また、当社は、患者さんに悪影響を与える懸念がある貿易障壁について、ヘルスケア製品を対象から除外するよう提言しています。
現在、バイオ医薬品業界が直面している最大の課題は、増大する需要に対して医療財源が不足していることにあります。この課題は、欧州や日本において価格圧力を増大させるだけでなく、市場成長を抑制する要因ともなっています。
米国のインフレ抑制法の導入は、医療費の個人負担の予測可能性の向上など、メディケア受給者に利点をもたらした一方、政府によるかつてない薬価交渉制度の設立は、製薬企業による米国内における研究開発投資を減速させる可能性があります。
当社では、がん免疫療法や細胞療法、遺伝子治療などの医療技術の探求に加え、近年急速に普及しているテクノロジーや人工知能(AI)の活用を通じて、イノベーションのスピードをさらに加速させています。また、これらのテクノロジーとAIは、将来的に当社の生産性を向上させるだけでなく、今後も続くと想定される価格圧力に対処する手段としても大きな役割を果たすと考えています。
このように困難で急速に変化する外部環境の中において、当社の患者さんへのコミットメントと、患者さんをサポートするための取り組みは、これまで以上に重要になっています。
Patient(すべての患者さんのために)
当社の研究開発は、3つの重点疾患領域(消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、およびオンコロジー)における希少疾患とより有病率が高い疾患において、サイエンスにより、患者さんの人生を根本的に変え得るような非常に革新性が高い医薬品を創製することに注力しています。研究開発プログラムの優先順位付けは、アンメット・メディカル・ニーズ、科学的なバリデーション、開発プロセスの迅速化、および市場機会に基づいて行っています。また、パイプラインの開発加速から、製造工程における品質と効率性の向上、医療従事者や患者さんの対応に至るまで、データ、デジタルおよびテクノロジー(「DD&T」)とAIをバリューチェーンにわたって活用しています。
当社の2030年以降の持続的な成長は、後期開発段階のパイプラインに支えられる見込みです。2026年3月期(2025年度)の開始時点で、6つの臨床第3相開発プログラムを有しています。そのうちの最初のプログラムであるrusfertideは、2025年3月に良好な臨床第3相試験のデータを得ました。また、oveporextonのナルコレプシータイプ1、zasocitinibの乾癬に対する臨床第3相試験のデータ読み出しも、2025年末までに予定しています。これら3つのプログラムの承認申請は、2025年度から2026年度に実施できる見込みです。また、2027年度から2029年度にかけて、後期開発プログラムに係る追加の5つの承認申請も見込まれています。2024年4月から現在までの主要な研究開発活動の内容および進捗の詳細については、2025年3月期の四半期フィナンシャルレポートの「パイプラインおよび研究開発活動」をご参照ください。
DD&Tは、医薬品開発のプロセスにおいて、ますます重要な役割を担っています。例えば、現在では、匿名化された大規模な患者データベースに照合することで、臨床試験プロトコルを検証し、より効果的な被験者募集方法を評価することが可能となりました。
タケダの成長製品・新製品は、患者さんやコミュニティに価値を提供し続けています。当社の売上高トップの製品であるENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)の成長は、米国における皮下注射製剤の上市が寄与しています。ENTYVIO Penは中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病を対象としており、世界50カ国以上において患者さんに治療の柔軟性や選択肢を提供しています。
当社は患者さんを最優先に考え、医薬品の研究開発から製造、販売に至るまで、医療アクセスと公平性の観点を事業に取り入れており、価値に基づいた段階的な価格設定や患者さんのための支援プログラムを提供しています。また、世界中の地域コミュニティや政府と協力し、地域の医療システムの強化にも取り組んでいます。
また、デング熱ワクチンQDENGAのグローバル展開にも注力しています。QDENGAは、本ワクチンの需要が最も高い多くの流行国を含め、今や世界30カ国で接種できるようになりました。特に低所得国や中所得国でのアクセス向上を重視しており、これらの地域での普及促進に力を入れています。
当社は、2030年までに年間1億回接種分のQDENGAの供給目標を達成するため、インドのBiological E社と提携契約を締結しました。ドイツのジンゲンにある当社工場のワクチン製造能力を補完する本契約により、同社は、年間最大5,000万回接種分を製造する予定です。
People(ともに働く仲間のために)
当社は、科学技術がどれほど進歩しても、知識を核とした「人」の力が会社を支えることを認識しています。当社は、あらゆる種類の差別を排除し、多様性と包括性を推進する職場環境を整備しています。また、従業員の生涯学習とキャリア成長を支援し、心身の健康維持(ウェルビーイング)を推進しています。このようなアプローチが、人々の暮らしを豊かにする治療法を創出する能力の向上につながると考えています。
生涯学習とキャリア成長は従業員のやる気や専門性を高め、新しい発想につながり、結果的に患者さんへの価値創造につながります。当社は、従業員のスキルアップやケイパビリティを開発し、持続的な成長に向けて、機動的で柔軟な組織を構築しています。
また、AIは、人材開発へのアプローチをも変革しています。Career Navigatorのプラットフォームは、従業員が個々のキャリアパスを描くことを可能とし、AIを活用して社内の募集職種やメンターシップ、学習機会に関する情報を個別化することで、従業員が可能性を最大限に発揮できるよう支援しています。さらに、AIによるコーチングやロールプレイを通じて、従業員がリスクのない環境下で新しいスキルを実践できるよう支援しています。
当社は、事業の将来性をより確かなものとするため、従業員のデジタル活用能力をさらに向上させる必要があると考えています。2024年7月には、新たなデジタルデクステリティ(デジタル技術を迅速に習得し、効果的に活用する能力)の最初の重要なステップとして、当社の学習プラットフォームにおいてEveryday AI Learningを立ち上げました。Everyday AI Learningは、AIおよび生成AIに必要なスキルを育成するためのプラットフォームです。
また、当社では、生涯学習への取り組みを全社的に推進しています。例えば、製造部門および品質部門においては、従業員は毎月3時間をスキルの向上やスキルの再習得のために利用することができます。この時間は、必須のトレーニングや業務に関連したトレーニングの時間とは別に提供されています。
当社は、グローバルなバイオ医薬品企業として、世界中の従業員と患者さんの多様性を認識し受け入れるとともに、この強みを活かしてイノベーションを推進し続けています。
当社は、従業員が目標に向かって前進、成長し、可能性を最大限に発揮できるようウェルビーイングの向上に取り組んでいます。当社のグローバルなウェルビーイングプログラムは、精神的、身体的、社会的、経済的な側面を取り入れています。当社の全従業員はThrive Globalプログラムにアクセスし、睡眠、栄養、運動といったウェルビーイングの要素を管理することができます。また、この1年間において、ウェルビーイングの取り組みを強化するためにさらなる施策を講じました。この一環として、従業員支援プログラムをより多くの国に拡大させ、全ての従業員が同じ福利厚生や支援を利用できるようになりました。
当社は、職場における安全確保に取り組んでおり、製造拠点においては重大な傷害や死亡事故防止に焦点を当てた安全文化を醸成しています。リスク評価プロセスでは、事案につながる可能性のあった活動や体系的な安全プログラムの課題を特定しています。また、四半期毎に製造ネットワーク全体で「Lessons Learned(教訓)」イベントを開催し、発生した可能性のあった事案を紹介し、再発防止策について議論しています。
Planet(いのちを育む地球のために)
当社は、「私たちの存在意義」(パーパス)に基づき、地球環境を損なうことのないよう事業を展開しています。公衆衛生は地球環境と密接に関連しており、気温の上昇に伴い、感染症は増加し、影響を受ける地域の患者さんの医療アクセスに係る困難な課題も増加する可能性があります。
当社は、環境課題に対する高い意識を持って積極的に取り組んでいます。「私たちの存在意義」(パーパス)を実現するためには、人々の健康には健全な地球環境が必要であり、人々の健康に貢献するだけでは充分ではないと考えています。当社では、環境負荷を低減するためにクリーンエネルギーを優先的に使用するだけでなく、ネットゼロの達成およびバリューチェーン全体で温室効果ガス排出を無くすべく、ネットゼロのロードマップを進めるための取り組みに注力するとともに、バリューチェーンを超えた自然の力を活かした炭素除去プロジェクトへの投資を継続しています。当社は、2035年までに当社の事業活動における温室効果ガス排出量を、2040年までにバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量をネットゼロにすることを目指しており、短期、長期を含めた目標について、SBTi(科学的根拠に基づく目標イニシアチブ)の認証を取得しました。
当社は、温室効果ガス排出量削減の目標に向けて、着実に進展を続けています。例えば、最近、デング熱ワクチンを製造するドイツのジンゲンにある製造施設でバイオマス熱プラントの稼働を成功裏に開始したことを発表しました。この新しいバイオマスボイラーは、現在使用されているガスの多くを廃木材に置き換えることを目指しており、CO2排出量を最大80%削減することが期待されています。
また、当社は製品の設計や開発にライフサイクルの視点を取り入れることで、バリューチェーン全体で環境負荷を最小限に抑えることを目指しています。さらに、天然資源保全プログラムにおいては、気候変動以外の環境負荷の低減を目指す活動として水の保全、責任ある廃棄物処理、生物多様性保全などに取り組んでいます。
DD&Tは、当社の環境への取り組みを支える重要な要素でもあります。大阪工場では、水使用の各箇所にセンサーやモニターを設置、データを解析して水の使用量を最適化する方法を検討、成功事例を標準化することで、年間45万リットルの蒸留水の使用量を削減し、年間200万リットル以上の水道水の使用量を削減しました。同様のプロジェクトとして、電力消費量の削減や太陽光やその他のグリーンエネルギーの利用拡大にも取り組んでいます。
財務展望
当社は、持続的な成長と長期的な価値創造を支える確固たる財務基盤を有しており、強固な枠組みのもと、戦略的な取り組みを柔軟に推進し、価値ある成果を生み出すことが可能となっています。
タケダの成長製品・新製品*は、中長期的に売上成長を牽引していく上で非常に重要であり、人々の暮らしを豊かにする治療法の発見や開発へのさらなる投資を支える役割を果たすものと期待しています。これら製品の力強い持続的な売上成長は、差し迫る医療課題に対応し、世界中の患者さんに深い恩恵をもたらす革新的な治療法を推進させることを可能にします。当社は、このようなビジョンを実現するため、組織の機動性を向上させるとともに、DD&TやAIを活用しながら全社的な効率化プログラムにも取り組んでいます。中長期的には、当社はCore営業利益率を30%台前半から半ばまでに引き上げることを目指しており、潤沢なキャッシュ・フローを維持してまいります。
また、当社は、売上成長を実現し事業運営の卓越性をさらに強化するため取り組むとともに、人生を変え得る治療法の発見や開発に対する長期的なコミットメントを堅持しています。研究開発投資は、価値創造を追求する上で重要な投資であり、6つの後期開発パイプラインはグローバルで、合計100億~200億米ドルのピーク時売上収益に達する可能性**を秘めています。これら後期開発プログラムを2030年までに上市し成功を収めることは、持続的な成長と現金の創出に大きく貢献することにつながります。
当社は、重要なフェーズにある開発を着実に進め、これらのプログラムを市場に投入してまいりますが、投資資本に対する魅力的なリターンを実現することについても引き続き注力してまいります。当社は、革新的な治療法の発見と開発に対する戦略的かつ規律ある投資を通じて、社会やすべてのステークホルダーに対して価値を創出していくことを目指しています。後期開発パイプラインを成功裏に上市させることとあわせ、事業運営の卓越性を引き続き高めることで、株主資本利益率やその他の財務指標、さらには企業価値の向上につなげてまいります。
* タケダの成長製品・新製品(2025年度)
消化器系疾患:ENTYVIO、EOHILIA
希少疾患:タクザイロ、リブテンシティ、アジンマ
血漿分画製剤:GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤、
HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤
オンコロジー:アルンブリグ、FRUZAQLA
ワクチン:QDENGA
** ピーク時売上収益の範囲は、技術的及び規制上の成功確率を考慮して調整されていない推定値であり、予想または目標とみなされるべきではありません。ピーク時売上収益の範囲は、将来起こりうるとは限らないさまざまな商業的シナリオについての当社の評価に基づきます。
3.会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社は、グローバル製薬企業との財務情報の比較可能性の向上、資金調達の選択肢の拡大、およびグループ内での会計処理の統一等を目的とし、2014年3月期末より国際会計基準(IFRS)を適用しております。
前年度(自2023年4月1日 至2024年3月31日)
当年度(自2024年4月1日 至2025年3月31日)
該当事項はありません。
1.作成の基礎
(1)準拠する会計基準
当社グループの連結財務諸表は「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。以下、「連結財務諸表規則」)第1条の2第1号に規定する「特定会社」の要件をすべて満たすことから、連結財務諸表規則第312条の規定により、国際会計基準(以下、「IFRS」)に準拠して作成しております。
(2)測定の基礎
連結財務諸表は、資本性金融商品、デリバティブおよび条件付対価契約に関する金融資産および金融負債等の公正価値で測定される特定の資産および負債、並びに子会社における超インフレ会計の適用を除き、取得原価を基礎として作成しております。
(3)機能通貨および表示通貨
当社グループの連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、特に記載のない限り、百万円未満を四捨五入して表示しております。四捨五入された数値を含む表の合計は必ずしも各項目の合算値と一致しない場合があります。
2.重要性がある会計方針
当社グループが連結財務諸表において適用する重要性がある会計方針は、前年度に係る連結財務諸表において適用した会計方針と同一であります。
当社グループは、医薬品の研究開発、製造、販売およびライセンス供与に従事しており、単一の事業セグメントから構成されております。これは、資源配分、業績評価、および将来予測において最高経営意思決定者であるCEOの財務情報に対する視点と整合しております。
当社の普通株主に帰属する基本的1株当たり当期利益および希薄化後1株当たり当期利益の算定基礎は以下のとおりであります。
該当事項はありません。