○添付資料の目次

 

1.経営成績等の概況 ………………………………………………………………………………………………………

(1)当期の経営成績の概況 ……………………………………………………………………………………………

(2)当期の財政状態の概況 ……………………………………………………………………………………………

(3)当期のキャッシュ・フローの概況 ………………………………………………………………………………

(4)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当 ……………………………………………………………

(5)戦略的現状と見通し ………………………………………………………………………………………………

(6)事業等のリスク ……………………………………………………………………………………………………

2.企業集団の状況 …………………………………………………………………………………………………………

20

3.経営方針 …………………………………………………………………………………………………………………

21

(1)グループ理念 ………………………………………………………………………………………………………

21

(2)中長期経営方針 ……………………………………………………………………………………………………

22

(3)中期的なガイドライン ……………………………………………………………………………………………

37

(4)対処すべき課題 ……………………………………………………………………………………………………

38

4.会計基準の選択に関する基本的な考え方 ……………………………………………………………………………

39

5.連結財務諸表及び主な注記 ……………………………………………………………………………………………

40

(1)連結財政状態計算書 ………………………………………………………………………………………………

40

(2)連結損益計算書及び連結包括利益計算書 ………………………………………………………………………

42

(3)連結持分変動計算書 ………………………………………………………………………………………………

44

(4)連結キャッシュ・フロー計算書 …………………………………………………………………………………

46

(5)連結財務諸表注記 …………………………………………………………………………………………………

48

(継続企業の前提に関する注記) …………………………………………………………………………………

48

(報告企業) …………………………………………………………………………………………………………

48

(作成の基礎) ………………………………………………………………………………………………………

48

(重要性がある会計方針) …………………………………………………………………………………………

49

(連結損益計算書関係) ……………………………………………………………………………………………

56

(連結キャッシュ・フロー計算書関係) …………………………………………………………………………

56

(セグメント情報等) ………………………………………………………………………………………………

57

(1株当たり情報) …………………………………………………………………………………………………

60

(重要な後発事象) …………………………………………………………………………………………………

60

6.その他 ……………………………………………………………………………………………………………………

61

 

1.経営成績等の概況

 文中には、経営方針等に関する様々な業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報が開示されています。これらの業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報は、将来の事象についての現時点における仮定及び予想、並びにアサヒグループが現在入手可能な情報や一定の前提に基づいているため、今後様々な要因により変化を余儀なくされるものであり、これらの予想や目標の達成及び将来の業績を保証するものではありません。

 

(1)当期の経営成績の概況

(当期の経営成績)

 当期における世界経済は、米国においては、底堅い個人消費を背景に景気は堅調に推移し、欧州においては、インフレ圧力の緩和とともに、景気の持ち直しが見られました。また、日本においても、物価高騰の影響を受けつつも、雇用・所得環境の改善に伴う個人消費の増加により、景気は緩やかな回復の兆しが見られました。

 こうした状況のなかアサヒグループは、『中長期経営方針』に基づき、各地域におけるプレミアム戦略の推進などによる事業ポートフォリオの強靭化に取り組みました。また、サステナビリティと経営の統合をはじめとしたコア戦略の一層の推進に加えて、真のグローバル化に向けた人的資本の高度化やグループガバナンスの強化により、長期戦略を支える経営基盤を強化しました。

 その結果、アサヒグループの売上収益は2兆9,394億2千2百万円(前期比6.2%増)となりました。また、利益については、事業利益※1は2,851億2千1百万円(前期比8.1%増)、営業利益は2,690億5千2百万円(前期比9.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,920億8千万円(前期比17.1%増)、調整後親会社の所有者に帰属する当期利益※2は1,829億7千7百万円(前期比10.5%増)となりました。

 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比2.1%の増収、事業利益は前期比3.7%の増益となりました。※3

※1 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。

※2 調整後親会社の所有者に帰属する当期利益とは、親会社の所有者に帰属する当期利益から事業ポートフォリオ再構築及び減損損失など一時的な特殊要因を控除したものです。

※3 2024年の外貨金額を、2023年の為替レートで円換算して比較しています。

 

アサヒグループの実績         (単位:百万円)

 

 

実績

前期比

売上収益

2,939,422

6.2%

事業利益

285,121

8.1%

営業利益

269,052

9.8%

親会社の所有者に

帰属する当期利益

192,080

17.1%

調整後親会社の所有者

に帰属する当期利益

182,977

10.5%

 

 セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。

 

事業セグメント別の実績                                  (単位:百万円)

 

 

売上収益

前期比

事業利益

前期比

売上収益

事業利益率

営業利益

前期比

 

為替一定

 

為替一定

日本

1,362,874

0.0%

0.0%

134,903

12.9%

12.9%

9.9%

136,272

22.5%

欧州

781,005

13.4%

4.6%

101,140

18.9%

11.1%

13.0%

65,822

10.7%

オセアニア

715,394

9.7%

2.4%

108,798

△1.7%

△8.2%

15.2%

81,844

△8.7%

東南アジア

66,138

14.4%

6.9%

1,862

33.2%

23.9%

2.8%

1,783

76.6%

その他

26,470

22.9%

19.0%

4,179

△21.5%

△22.4%

15.8%

3,844

△25.7%

調整額計

△12,459

△26,333

△20,516

無形資産

償却費

△39,430

合計

2,939,422

6.2%

2.1%

285,121

8.1%

3.7%

9.7%

269,052

9.8%

※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。

 

[日本]

 日本においては、酒類、飲料、食品事業の主力ブランドに経営資源を投下するとともに、新たな価値提案の強化などにより、成長基盤の拡大に取り組みました。また、各事業の枠を超えたシナジー創出に加えて、人的資本や組織機能の高度化、サステナビリティへの取り組み推進などにより、日本全体の経営基盤を強化しました。

 酒類事業では、ビール類において、「スーパードライ」の世界観に没入できるコンセプトショップを期間限定でオープンするなど広告・販売促進活動の強化に加え、『アサヒスーパードライ ドライクリスタル』をリニューアルするなど、「スーパードライ」ブランドの価値向上に取り組みました。また、『アサヒ生ビール』の世界観を体験できる「出張マルエフ横丁」を展開するなど、ビールカテゴリーの更なる強化を図りました。洋酒においては、ニッカウヰスキー創業90周年の取り組みとして、マスターブランドの活性化や期間限定バー「THE NIKKA WHISKY TOKYO」の展開に加え、10月に『ニッカ フロンティア』を全国発売するなど、新たなユーザーの獲得に取り組みました。RTD※1においては、『アサヒGINON(ジノン)』の全国発売に加え、『未来のレモンサワー』をエリア・数量限定で発売するなど、新価値創造を推進しました。アルコールテイスト飲料においては、『アサヒゼロ』の全国発売に加え、お酒を飲む人と飲まない人が共に楽しめる生活文化の創造を目指し、「スマートドリンキング」の推進に取り組みました。

 飲料事業では、生誕140周年の「三ツ矢サイダー」や生誕120周年の「ウィルキンソン」ブランドにおいて、広告・販促活動の強化によるブランド価値向上や炭酸飲用者の拡大の取り組みに加え、緑茶ブランド『アサヒ 颯(そう)』のパッケージをリニューアルし香り高い味わいを訴求するなど、市場の活性化を図りました。また、健康な人の免疫機能の維持に役立つ機能が報告されている「L-92乳酸菌」を配合した機能性表示食品『三ツ矢免疫サポート』を発売するなど、健康志向を踏まえた価値提案に取り組みました。

 食品事業では、「ミンティア」において、人気アニメとコラボレーションしたパッケージ商品の発売に加え、強いミントの清涼感が楽しめる『ミンティアブリーズ ウルトラブラック』をリニューアルするなど、ユーザー層の拡大を図りました。また、月経に関する機能性を訴求したフェムケア※2商品『わたしプロローグ』を発売するなど、女性の健康課題解決への貢献にも取り組みました。

 以上の結果、売上収益は、外食事業からの撤退による減収影響などはありましたが、酒類事業、飲料事業、食品事業が増収となり、1兆3,628億7千4百万円(前期比0.0%増)となりました。

 事業利益は、原材料関連費用の増加などの影響はあったものの、価格改定の効果や各種コストの効率化などにより、1,349億3百万円(前期比12.9%増)となりました。

※1 RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。

※2 フェムケアとは、女性の体や健康をケアすることです。

 

[欧州]

 欧州においては、各国のプレミアム戦略に基づく競争優位性の向上に加えて、『Asahi Super Dry』や『Peroni Nastro Azzurro』を軸とした世界的なパートナーシップの活用などにより、グローバルブランドの認知度向上を図りました。また、「環境」や「コミュニティ」を中心としたサステナビリティへの取り組みを強化することなどにより、成長基盤を更に拡大しました。

 欧州の主要地域では、チェコにおいて、『Pilsner Urquell』や『Radegast』などの主力ブランドにおけるプロモーションを強化したことに加えて、新たな消費者の開拓に向けて、苦みとアルコール度数を抑えたラガービール『Proud』を発売しました。また、イタリアでのプレミアムラガービール『Raffo Lavorazione Grezza』の発売に加えて、ルーマニアでの『Kozel』や『Ciucas』におけるフェスティバルへの協賛や参加などにより、ブランド価値の向上に取り組みました。さらに、ノンアルコールビールにおいて、チェコの『Birell』からカフェインなどを加えた新たなシリーズの発売や、ポーランドの『Lech Free』や『Tyskie 0.0%』、ルーマニアの『Ursus Cooler』などを積極的に展開し、新たな飲用機会の創出に向けた取り組みを強化しました。

 グローバルブランドの拡大展開では、『Asahi Super Dry』において、ラグビーワールドカップのパートナーシップを2029年大会まで延長したほか、「City Football Group」とのパートナーシップを活かしたマーケティング活動に取り組みました。『Peroni Nastro Azzurro』においては、プレミアムな世界観を演出するためのプロモーションを展開したほか、F1チーム「Scuderia Ferrari」と新たなパートナーシップを開始したノンアルコールビール『Peroni Nastro Azzurro 0.0%』において、F1のイタリアグランプリを記念して、ブランド体験型の施設「The House of Peroni Nastro Azzurro 0.0%」をミラノに期間限定で展開するなど、グローバルでのブランド認知度の向上に努めました。

 以上の結果、売上収益は、各国のプレミアムビールやノンアルコールビール、グローバルブランドなどが好調に推移したことで、7,810億5百万円(前期比13.4%増)となりました。

 事業利益は、人件費などは増加しましたが、増収効果や各種コストの効率化を推進したことにより、1,011億4千万円(前期比18.9%増)となりました。

 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比4.6%の増収、事業利益は前期比11.1%の増益となりました。

 

[オセアニア]

 オセアニアにおいては、『Great Northern』など主力ブランドを中心とした持続的な成長に加え、酒類と飲料事業の強みを活かしたマルチビバレッジ戦略により、商品ポートフォリオの強化を図りました。また、各種オペレーションの最適化などによる収益構造改革やサステナビリティを重視した新価値提案などにより、事業基盤を一層強化しました。

 酒類事業では、主力ブランドの『Victoria Bitter』において、高まる健康需要に応えるべく低糖質のビールを新たに発売しました。また、『Peroni Nastro Azzurro』や『Somersby』ブランドにおいて全豪オープンテニストーナメントとのスポンサーシップを継続したほか、RTDブランド『Hard Rated』の新たなフレーバーの発売や、「Nikka」ブランドの拡販を加速しました。さらに、プレミアムスピリッツ製造販売企業であるNever Never社を買収するなど、ブランド力の強化とさまざまなニーズに対応した酒類事業全体のポートフォリオ拡充を図りました。

 飲料事業では、「Pepsi」ブランドにおいてリニューアルを行い伝統的な価値観と最新のトレンドを融合させたほか、「Schweppes」ブランドにおいて国立美術館とのパートナーシップを強化するなど、主力ブランドの価値向上に取り組みました。

 さらに、豪州では、先住民社会との協調活動を通じて、コミュニティのウエルビーイングを尊重するなど、展開地域との「つながり」を強化するとともに、ニューサウスウェールズ州最大の太陽光発電プロジェクトから電力調達を開始するなど、サステナビリティの取り組みを推進しました。

 以上の結果、売上収益は、酒類事業の主力ブランドの販売減少はあったものの、飲料事業の好調などにより、7,153億9千4百万円(前期比9.7%増)となりました。

 事業利益は、原材料関連の費用増加などの影響により、1,087億9千8百万円(前期比1.7%減)となりました。

 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比2.4%の増収、事業利益は前期比8.2%の減益となりました。

 

[東南アジア]

 東南アジアにおいては、自社ブランドを中心とした主力ブランドへの投資強化や販売チャネルの最適化を推進し、マレーシアなど展開国における収益性向上の取り組みを推進しました。また、健康需要の取り込みやDX投資、人材育成などの強化を通じて、成長基盤の拡大を図りました。

 マレーシアでは、「WONDA」において地元の人気キャラクターとのコラボ商品である『Wonda Kluang Coffee』を新発売し、地域に即した価値提案を消費者へ訴求することでブランド力を強化しました。また、『Goodday』では、eスポーツ向けのマーケティングを積極的に展開することで、幅広い年齢層のユーザーに対して、革新的な価値提案を図りました。

 以上の結果、売上収益は、主力ブランドの販売が好調に推移したことに加え、価格改定の効果や為替変動の影響などにより、661億3千8百万円(前期比14.4%増)となりました。

 事業利益は、固定費全般の効率化などを推進したことにより、18億6千2百万円(前期比33.2%増)となりました。

 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比6.9%の増収、事業利益は前期比23.9%の増益となりました。

 

[その他]

 その他については、売上収益は264億7千万円(前期比22.9%増)、事業利益は41億7千9百万円(前期比21.5%減)となりました。

 

[『中長期経営方針』の中期的なガイドラインの進捗]

 「主要指標のガイドライン」については、各地域におけるプレミアム戦略の推進や適切な価格戦略による売上単価の向上に取り組みましたが、インフレの進行や原材料価格の上昇に加えて、将来を見据えたブランド投資の拡大などにより、事業利益(為替一定ベース)及びEPS(調整後)はガイドラインを下回りました。フリー・キャッシュ・フロー(FCF)については、有形固定資産の売却や運転資本の圧縮などのキャッシュ創出により、ガイドラインを上回りました。

 「財務方針のガイドライン」については、FCFを金融債務の削減に充当したことなどにより、Net Debt/EBITDA※1はガイドライン以上に低下させることができました。また、株主還元については、当期は1株当たりの配当額を49円※2に増額することにより、配当性向のガイドラインを上回る予定です。

※1 Net Debt/EBITDA(EBITDA純有利子負債倍率)=(金融債務-現預金)/EBITDA

※2 2024年10月1日を効力発生日とする株式分割(1株につき3株の割合)を考慮し、当該効力発生日以前の1株当たりの配当金を調整のうえ、記載しております。

 

■主要指標のガイドライン

 

3年程度を想定したガイドライン

2022-24年進捗

事業利益

・CAGR(年平均成長率):一桁台後半※1

CAGR:4.7%

EPS(調整後※2

・CAGR(年平均成長率):一桁台後半

CAGR:5.9%

FCF※3

・年平均2,000億円以上

年平均:2,530億円

※1 為替一定ベース

※2 調整後とは、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を除いたものです。

※3 FCF=営業CF-投資CF (M&A等の事業再構築を除く)

(注)「主要指標のガイドライン」におけるFCFの金額は、表示単位未満を四捨五入して表示しております。

 

■財務方針のガイドライン

 

2022年以降のガイドライン

2024年実績

成長投資・債務削減

・FCFは債務削減へ優先的に充当し、成長投資への余力を高める

・Net Debt/EBITDAは2024年に3倍程度を目指す

(劣後債の50%はNet Debtから除いて算出)

2.49倍

株主還元

・配当性向35%程度を目途とした安定的な増配

(配当性向は2025年までに40%を目指す)

40.6%

※ 配当性向は、親会社の所有者に帰属する当期利益から事業ポートフォリオ再構築及び減損損失などに係る一時的な損益(税金費用控除後)を控除して算出しております。

(2)当期の財政状態の概況

(資産、負債及び資本の状況)

 当年度の連結総資産は、為替相場の変動によるのれん及び無形資産を含む外貨建資産の増加等により、総資産は前年度末と比較して1,174億9千1百万円増加し、5兆4,034億5百万円となりました。

 負債は、社債及び借入金の減少等により、前年度末と比較して907億7千8百万円減少し、2兆7,293億5千3百万円となりました。

 資本は、前年度末に比べ2,082億7千万円増加し、2兆6,740億5千1百万円となりました。これは、配当金支出により利益剰余金が減少したものの、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により利益剰余金が増加したこと及び為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が増加したこと等によるものです。

 この結果、親会社所有者帰属持分比率は49.4%となりました。

 

(3)当期のキャッシュ・フローの概況

 当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益が2,669億9千万円となりましたが、法人所得税等の支払による減少があった一方で、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加や運転資本の効率化により、4,037億2千3百万円(前期比:561億7千5百万円の収入増)の収入となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、1,186億6千5百万円(前期比:9億5千2百万円の支出増)の支出となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入があった一方で、社債の償還や借入金の返済による支出などがあり、2,727億8千4百万円(前期比:460億3千8百万円の支出増)の支出となりました。

 以上の結果、当年度末では、前年度末と比較して現金及び現金同等物の残高は240億1千6百万円増加し、839億6千1百万円となりました。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2023年12月期

2024年12月期

親会社所有者帰属持分比率(%)

46.5

49.4

時価ベースの親会社所有者帰属

持分比率(%)

50.4

46.1

キャッシュ・フロー対有利子

負債比率(年)

6.2

3.5

インタレスト・カバレッジ・

レシオ(倍)

27.5

25.7

(注)親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/総資産

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※ 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

※ キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しております。

 

(4)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当

 『中長期経営方針』に基づいて、創出されるフリー・キャッシュ・フローは、債務の削減へ優先的に充当することで、将来の成長投資への余力を高めてきましたが、2024年に3倍程度を目指すとしていたNet Debt/EBITDAは、2024年12月期で2.49倍まで低下しガイドラインを達成いたしました。

 こうした進捗を踏まえ、2024年12月期のフリー・キャッシュ・フローを株主還元の充実化に充当すべく、配当については、ガイドラインに掲げていた「2025年までに配当性向40%」の達成を一年前倒しすることとし、2024年12月期の配当性向を40%とする方針としております。本方針を実現するため、当期の期末配当は、連結財務状況等を勘案し、2024年8月に開示した配当予想を上方修正し、1株当たり27円とすることを予定しており、中間配当の22円と合わせて、年間では8.7円増配の49円の普通配当となる予定です。なお、本件は2025年3月26日開催予定の第101回定時株主総会に付議する予定です。

 当社は、2024年10月1日付で、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。当該株式分割を考慮し、当該効力発生日以前の1株当たりの配当金を調整のうえ、記載しております。

 次期の配当金は、1株当たり中間配当26円、期末配当26円の年間では3円増配の52円の普通配当となる予定です。

 

(5)戦略的現状と見通し

 2025年度は、地政学リスクはより複雑化するとともに、インフレによる経済減速リスクなどが懸念されます。そうした環境のなかで当社は、引き続き『中長期経営方針』に基づき、各地域におけるプレミアム戦略の推進やグローバルブランドの拡大展開に加えて、BAC※1への投資強化などによる事業ポートフォリオの強靭化を図ります。また、サステナビリティと経営の統合をはじめとしたコア戦略に加えて、グループガバナンス体制の一層の進化やグローバル調達機能の高度化など、各事業の総和を超える企業価値の向上に取り組みます。

 日本においては、酒類、飲料、食品事業の主力ブランドの強化に加え、高付加価値商品の展開を中心とした新たな価値提案により、成長基盤の拡大に取り組みます。また、各事業の枠を超えたシナジー創出による収益性向上に加えて、人的資本の高度化、サステナビリティへの取り組み推進などにより、持続的な成長に向けた経営基盤の強化を図ります。

 欧州においては、主要国におけるプレミアムビールやノンアルコールビールの強化に加えて、世界的なパートナーシップなどを活用した『Asahi Super Dry』と『Peroni Nastro Azzurro』の拡大展開により、グローバルブランドの認知度向上を図ります。また、サステナビリティの取り組みやDXを推進することにより、成長基盤を更に強化します。

 オセアニアにおいては、ビールの主力ブランドを中心とした商品ポートフォリオの再構築に加え、高付加価値なRTD※2の展開などによるプレミアム化の促進、飲料事業における成長領域への参入など酒類と飲料事業の強みを活かしたマルチビバレッジ戦略を推進します。また、DXの加速やサプライチェーンの効率化による収益構造改革や、サステナビリティを重視した新価値提案などにより、事業基盤を一層強化します。

 東南アジアにおいては、自社ブランドを中心とした主力ブランドへの投資強化や販売チャネルの最適化を推進し、マレーシアやシンガポールなど展開国における収益性向上を図ります。また、サステナビリティを経営の中心に据えることで、持続可能な事業基盤の構築を図ります。

 これらの取り組みにより、2025年度の売上収益は2兆9,700億円、事業利益※3は2,870億円、営業利益は2,620億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,775億円(調整後親会社の所有者に帰属する当期利益※4は1,775億円)を見込んでいます。

 なお、当社はこれまでに、日本・欧州・オセアニア・東南アジアでの4RHQ※5体制を基盤としてきましたが、2025年4月1日からオセアニアと東南アジアのRHQを統合し3RHQ体制へ変更します。オセアニアと東南アジア・南アジアでの酒類・飲料事業の統合を通じてマルチビバレッジ戦略を強化し、東アジアでの酒類事業は、日本の事業を担うアサヒグループジャパン株式会社の強固なブランド、開発力、サプライチェーンなどを活かすことで、これまで以上に競争優位性を高めていきます。

※1 BAC:Beer Adjacent Categoriesの略。低アルコール飲料、ノンアルコールビール、成人向け清涼飲料など、ビール隣接カテゴリーを指します。

※2 RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。

※3 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。

※4 調整後親会社の所有者に帰属する当期利益とは、親会社の所有者に帰属する当期利益から事業ポートフォリオ再構築及び減損損失など一時的な特殊要因を控除したものです。

※5 RHQ:Regional Headquarters(地域統括会社)を指します。

 

 

アサヒグループの業績予想       (単位:百万円)

 

 

業績予想

前期比

売上収益

2,970,000

1.0%

事業利益

287,000

0.7%

営業利益

262,000

△2.6%

親会社の所有者に

帰属する当期利益

177,500

△7.6%

調整後親会社の所有者

に帰属する当期利益

177,500

△3.0%

(注)上記の予想は現時点で入手可能な情報に基づいたものであり、実際の業績は今後様々な要因によって異なる可能性があります。

 

(6)事業等のリスク

1.アサヒグループのリスクマネジメント体制

 アサヒグループは、グループ全体を対象に、エンタープライズリスクマネジメント(ERM)を導入しています。この取り組みの中で、グループ理念「Asahi Group Philosophy」の具現化、並びに『中長期経営方針』の戦略遂行及び目標達成を阻害しうる重大リスクを、戦略、オペレーション、財務、コンプライアンス等の全ての領域から特定及び評価し、対応計画を策定、その実行及びモニタリングを継続的に実施することで、効果的かつ効率的にアサヒグループのリスク総量をコントロールしています。

 ERMを推進するにあたり、代表取締役社長兼Group CEO以下の業務執行取締役、Group CxO及び委員長が指名するFunctionのHeadで構成されるリスクマネジメント委員会を設置しています。ERMはグループ全体を対象とし、リスクマネジメント委員会の委員長である代表取締役社長兼Group CEOが実行責任を負います。

 アサヒグループ各社は、事業単位ごとにERMを実施し、リスクマネジメント委員会に取り組み内容を報告します。同委員会はそれらをモニタリングするとともに、委員自らがグループ全体の重大リスクを特定、評価、対応計画を策定し、その実行及びモニタリングを実施します。これらの取り組みは取締役会に報告され、取締役会はこれらをモニタリングすることで、ERMの実効性を確認します。

 

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2.アサヒグループ リスクアペタイト

 アサヒグループは、ERMを推進するとともに、『中長期経営方針』の目標達成のために、「とるべきリスク」と「回避すべきリスク」を明確化する「アサヒグループ リスクアペタイト」を制定しています。

 「アサヒグループ リスクアペタイト」は、アサヒグループのリスクマネジメントに関する「方針」です。ERMの運用指針及び意思決定の際のリスクテイクの指針となるものであり、リスクに対する基本姿勢を示す「リスクアペタイト ステートメント」と、実務的な活用を想定した、事業遂行に大きく影響する主要なリスク領域に対する姿勢(アペタイト)を示す「領域別リスクアペタイト」で構成されます。グループ戦略、リスク文化とリスク状況、及びステークホルダーの期待をもとに検討し、取締役会にて決定、グループ全体に適用され、実施状況はリスクマネジメント委員会でモニタリング、取締役会へ報告されます。本取り組みを通じて、アサヒグループ全体で適切なリスクテイクを促進していきます。

 

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3.アサヒグループのクライシスマネジメント体制

 アサヒグループでは、ERMにおけるグループ全体の重大リスクの中でも、人・モノ・カネ・情報等の経営資源遮断の危機があり「即時対応」する領域を「クライシスマネジメント」の対象としています。

 クライシスマネジメントの実効性を上げるため、平時から「事前の想定」を行い、クライシス時に混乱なく速やかに対応できるよう「緊急時の即応体制」を構築しています。事前の想定については、経営資源遮断の危機を想定した「リスクシナリオ」を作成し対応を準備しています。

 また、緊急時の即応体制については、クライシス類型に応じた対応主体を予め明確にし、危機発生時の初動における事実確認と重大性の評価を迅速・的確に実施し対応する体制を構築しています。

 

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4.主要リスク

 当社グループでは、「1.アサヒグループのリスクマネジメント体制」に記載の通り、代表取締役社長兼Group CEO以下の業務執行取締役、Group CxO及び委員長が指名するFunctionのHeadで構成されるリスクマネジメント委員会で、中長期経営方針の事業遂行及び目標達成を阻害しうる特に重大なリスクを特定及び評価し、以下の「(2)個別戦略リスク」として認識しています。

 加えて、それ以外に考えられる当社グループの事業等のリスクについても、「(1)全体リスク」及び「(3)その他リスク」に記載しています。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があります。

 また、前述の、当社グループリスクマネジメントの取り組みの中で、以下に記載する各リスクに対する対応策を含む種々の対応策をとりますが、それらの対策が有効に機能しない等によりリスクが解消できず、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(1)全体リスク

1)中長期経営方針について

 当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指して、2019年に「Asahi Group Philosophy(AGP)」を制定し、2022年、それに基づいて、また、その後のグループ内外の環境変化も踏まえて中長期経営方針を更新しました。「3.経営方針」に記載の通り、本方針では、3年程度を想定した主要指標のガイドラインや、財務・キャッシュ・フロー方針を示していますが、これらのガイドライン・方針は、策定時に当社グループが入手可能な情報や適切と考えられる一定の前提に基づき、将来の事象に関する仮定及び予想に依拠して策定されたものです。そのため、本「(6)事業等のリスク」に記載の各リスク等を含む様々な要因により変更を余儀なくされるものであり、当社グループの事業や業績が中期経営方針内の同ガイドライン・方針等を達成できない可能性があります。

 

2)事業環境について

 当社グループの売上収益において日本の占める割合は約46.4%(2024年12月期決算)となっています。今後の日本国内での景気の動向によって、酒類・飲料・食品の消費量に大きな影響を与える可能性があり、人口の減少、少子高齢化が進んでいくと、酒類・飲料・食品の消費量が減少する可能性があります。また、原材料・エネルギー価格の高騰やインフレの影響などにより、国内での競争環境がさらに激化することで当社売上数量・金額が低下するとともに、コスト構造の悪化を招き、当社グループ事業の収益性が想定より損なわれる可能性があります。

 日本の売上収益のうち、ビール類は4割を超えます。このような状況は、当社グループのビール類商品に対するお客様の信頼を反映したものであり、当社グループ国内酒類事業での効率的な利益創出に寄与していますが、消費者の嗜好性の変化、世代交代等により、お客様の支持を失ってしまうと、本商品群の売上が低下し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは海外での事業領域を拡大しており、2024年12月期決算での売上収益における欧州、オセアニア、東南アジアの占める割合は、約53.2%となっています。今後、欧州、オセアニア地域を中心とする当社グループが事業を展開する各国における景気の悪化、当該各国での競争環境の激化、消費者の嗜好の変化等、市場の需要動向が変化すること等により、当該地域における当社グループの売上収益の低下、利益率の悪化が生じる可能性があります。

 当社グループは、中長期経営方針に『ビールを中心とした既存事業の成長と新規領域の拡大』を掲げ、『アサヒスーパードライ』や『Peroni Nastro Azzurro』などのグローバルブランドをはじめとした高付加価値ブランドの価値向上や新市場の創造を目指すとともに、今後の環境変化も見据えた収益構造改革を加速することで、本リスクが顕在化した場合の業績及び財政状態への影響の低減を図っていきます。また、ビール類に加えて、RTDなども含めたBACのラインアップを充実させることで売上収益を増加させるとともに、飲料、食品事業においては、消費の多様化や健康志向の高まりなどに応え、新たな付加価値提案を行い、事業拡大を図っていきます。

 当社グループは、テクノロジーの発展が、人類に新たな技術力と自由な時間を与え、気候変動・資源不足といった地球規模の課題を抱える中、社会・経済だけではなく人類の幸福(Well-being)のあり方も変化していくものと想定しています。そうしたメガトレンドを踏まえて更新した「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」という方針のもと、変化しつつあるWell-beingへの迅速な対応、市場環境の変化を先取りした事業戦略の立案と展開、ならびに新たなオペレーティングモデルの構築を通じて、当社グループの戦略及び事業の競争力を強化していきます。

 

(2)個別戦略リスク

 当社リスクマネジメント委員会は、中長期経営方針の事業遂行及び目標達成を阻害しうる特に重大なリスクを以下の通り認識しています。その中で、中長期的に顕在化が懸念されるリスクを①、短中期的に顕在化が懸念されるリスクを②、及び継続的に顕在化を留意すべきリスクを③、とそれぞれ分類し記載しました。

 

① 中長期的に顕在化が懸念されるリスク

1)事業拡大について

 当社グループは、Schweppes Australia社の買収(2009年、買収額1,185百万豪ドル(適時開示の際に公表した金額、以下同じ))、カルピス社の買収(2012年、買収額920億円)、旧SAB Miller社の西欧ビール事業の取得(2016年、買収額2,550百万ユーロ)、中東欧ビール事業の取得(2017年、買収額7,300百万ユーロ)及びCUB事業の買収(2020年、買収額160億豪ドル)をはじめとして、国内外での事業領域拡大のため、積極的に外部の経営資源を獲得してきました。2020年6月には、CUB事業を取得する手続きを完了することで、日本、欧州に加え、オセアニア地域での事業を盤石にし、日本、欧州、オセアニアの3極を核としたグローバルプラットフォームを構築、成長基盤の拡大を実現しました。ここ数年は財務基盤の強化を優先し大型の買収は控えていましたが、今後条件が揃えば、成長のために、外部の経営資源を活用していきます。

 外部の経営資源獲得にあたっては、慎重に検討を行い、一定の社内基準をもとに、将来の当社グループの業績に貢献すると判断した場合のみ実行します。しかしながら、営業、人員、技術及び組織の統合ができずコスト削減等の期待したシナジー効果が創出できなかった場合、アルコールや砂糖の摂取に対する社会の価値観の変化や人口動態の変化等により、買収した事業における製品に対する継続的な需要を維持できない場合、買収した事業における優秀な人材を保持し又は従業員の士気を維持することができない場合、高付加価値ブランドの育成不振等、効果的なブランド及び製品ポートフォリオを構築することができない場合、並びに異なる製品ラインにおける販売及び市場戦略の連携(クロスセルの拡大)ができない場合等により、当社グループの期待する成果が得られない可能性があります。

 当社グループは、買収に伴い、相当額ののれん及び無形資産を連結財政状態計算書に計上しており、2024年12月末現在、のれん及び無形資産の金額はそれぞれ、連結総資産の40.8%(22,034億円)及び21.3%(11,504億円)を占めています。

 当社グループは、当該のれん及び無形資産につきまして、それぞれの事業価値及び将来の収益力を適切に反映したものと考えていますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が将来にわたって大きく損なわれると判断された場合、又はカントリーリスクの顕在化による金利高騰や市場縮小等により適用される割引率や長期成長率が大きく変動した場合等は、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、AGP及び中長期経営方針に基づいた価値創造経営により、事業の持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指しています。『ビールを中心とした既存事業の成長と新規領域の拡大』、や『持続的成長を実現するためのコア戦略の推進』とともに、『長期戦略を支える経営基盤の強化』の一環としてグループガバナンスの更なる実効性向上に向けた取り組みを実施することで、グループ戦略の実行と期待成果をより確実なものとします。

 

2)アルコール摂取に対する社会の価値観

 アルコールの摂取は人々の生活を豊かにしてきた一方で、その不適切な摂取は健康面あるいは社会的悪影響が指摘されています。世界保健機関(WHO)においては世界的な規模での酒類販売に関する規制が推奨されており、当社グループの予想を上回る規制強化が行われる可能性があります。将来、不適切な飲酒による酒類業界や当社グループのレピュテーション及びブランド価値を毀損する可能性や、行政による行動規制が重なると、アルコールに対する消費者の需要が縮小する可能性もあります。その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、アルコール飲料を製造・販売する企業としての社会的責任を果たすため、WHOが2022年5月に採択したグローバルアルコールアクションプラン2022-2030の中で掲げたグローバル目標「有害なアルコール使用20%低減」の達成に貢献する戦略の方向性を経営の中で議論し、地域ごとに貢献できる取り組みを進めています。グループ全体では、責任ある飲酒の取り組み促進のためにグループスローガン「Responsible Drinking Ambassador」を打ち出し、不適切な飲酒の撲滅に向けた活動を強化するとともに、社員に対する「責任ある飲酒」の研修の取り組みを推進してきました。今後さらに社会インパクトを創出する取り組みを強化していきます。また、新しい飲用機会の創出に向けた取り組みとして、2030年までにアサヒグループにおけるノンアルコール・低アルコールの販売構成比20%達成を目標に掲げ、アルコール起因の課題解決にも取り組んでいます。アサヒビール株式会社は2020年に「スマートドリンキング宣言」を発表し、商品ごとの純アルコール量の積極的な開示を開始しました。消費者が適正飲酒をスマートに実践できるようにするため、様々な度数の低アルコール飲料やノンアルコール飲料の商品開発とその販促強化を進めています。2022年にはノンアルコールや低アルコール飲料のメニューを100種提供し、飲む人も飲まない人も楽しめる『SUMADORI-BAR SHIBUYA(スマドリバー シブヤ)』を、2023年には、酔わなくても楽しめる新しい大人の嗜好品を提供するバー『THE 5th by SUMADORI-BAR』を展開するなど、新たな飲食店のあり方を提案しています。

 アルコールの有害な使用の低減による健康被害の予防をさらに推進するためには産業界が協力し合って課題解決に取り組むことも重要です。酒類事業を行う各地の関連法令遵守のほか、IARDをはじめとする業界団体や他業種の業界と協力・連携して販売や広告に関する自主基準を設け、責任あるマーケティングに取り組んでいます。2020年1月、IARDは加盟企業のCEOによる未成年者飲酒防止に向けた取り組みを推進する共同声明を発表しました。その中の一つとして、酒類に関するオンラインマーケティングが未成年者に届かないようにするデジタル・ガイディング・プリンシプル(DGP)の遵守率を2024年までに95%以上にすることを目標としました。当社グループは、IARDの目標設定を上回る100%の遵守を独自の目標として掲げ、2024年内にこれを達成しました。今後も当社は未成年者飲酒を防止するために、関連団体と協力しながら様々な取り組みを進めていきます。

※ IARD=International Alliance for Responsible Drinking(責任ある飲酒国際連盟)の略称。不適切な飲酒の撲滅と、責任ある飲酒を促進するという共通の目的のもとに、世界のビール、ワイン、スピリッツの製造業者である大手企業15社の加盟企業で構成される非営利団体。

 

3)技術革新による新たなビジネスモデルの出現

 当社グループが国内外で事業を展開する、酒類・飲料・食品業界は、その製造販売に関して、技術革新による競争環境の変化が比較的少ない安定した業界でしたが、最近では、低アルコール飲料、ノンアルコールビールテイスト飲料、BACによる新たな飲用シーンの提案ができるようになり、最新デジタル技術を活用して“変化するWell-Being”に応えることで新たな価値の提供、AI活用による各種業務の効率化、あるいはアルコール代替品等、技術革新による新たなビジネスモデルの可能性も示されています。さらに、2020年以降世界中へ拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークの急激な普及や、EC等のオンラインチャネル利用の加速等、それまで将来的に発生すると想定されていた変化が前倒しで出現しています。

 こうした環境変化や新たなビジネスモデルの出現により、当社グループ事業がコスト構造や顧客体験で劣後し、業界での主導権喪失や競争力の低下につながり、売上収益、事業利益の低下等、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。その一方で、当社グループがこのようなイノベーションを先導することによって、市場優位性獲得や、新規市場創出につなげることが期待できます。

 当社グループは、このような状況に対して、単なるリスク対応に留まることなく技術革新を先取りすることを目指して、中長期経営方針において「DX=BXと捉え、3つの領域(プロセス、組織、ビジネスモデル)でのイノベーションを推進」及び「R&D(研究開発)機能の強化による既存商品価値の向上・新たな商材や市場の創造」を掲げ、領域を特定した戦略的DX及びR&D投資を推進していきます。

 

 DX領域においては、グローバル調達プラットフォーム、グローバルサプライチェーンマネジメント、環境負荷等サステナビリティ情報の見える化といった生産性を向上するグローカル基盤を構築するとともに、新たな消費者データ、多様化・細分化する顧客ニーズの把握と新しい素材や製法による新たなビジネスモデルの開発、及びこれらのイノベーションを実現するためのデジタル技術やデータ活用スキルの習得とアジャイル型働き方の導入によるデジタルネイティブ組織への変革を推進します。

 R&Dにおいては、中長期的な社会環境や競争環境の変化を見据え、メガトレンドから策定した未来シナリオとこれまでの研究で蓄積してきた技術・知見・ノウハウを踏まえ、変化するアルコールに関する価値観に対応した新たな価値創造、消費者の身体と心の健康の実現、サステナビリティ実現に向けた環境・気候変動リスクの軽減、及び新規事業につながる非凡なシーズの開発を重点領域と位置づけ、新たな価値創造やリスク軽減に向けた商品・技術開発への投資を推進します。さらに、革新的技術を速やかに製品やサービスに落とし込むためにプロトタイピング機能やアジャイル開発能力の拡充を図り、RHQとの連携をより強化しながら、迅速な成果導出へとつなげていきます。

 また、米国サンフランシスコに投資運用会社を設立し、2023年1月から運用を開始したスタートアップ投資ファンドは、低アルコール飲料やノンアルコールビールテイスト飲料、成人向け清涼飲料など、将来大きく成長する可能性のある魅力的なブランドや、新たな販売手法や製造手法につながるテクノロジーを持った米国のスタートアップ企業にマイノリティ出資を行い、当社グループの市場優位性獲得や、新規市場創出につながるイノベーションに貢献することが期待できます。

※ DX=BX:デジタル・トランスフォーメーション = ビジネス・トランスフォーメーション

 

4)気候変動に関わるリスク

 地球温暖化による気候変動は、干ばつや洪水といった異常気象の激化を引き起こし、世界中の人々の生活や多様な生態系に大きな影響を与えています。「自然の恵み」を享受して事業を行うアサヒグループにとって、気候変動問題への対策は重要な課題と認識しています。

 当社グループは、「アサヒグループ環境ビジョン2050」の中で、「Beyondカーボンニュートラル」を2050年の世界のあるべき姿として掲げています。脱炭素社会に向けて、事業の枠を超えた社会全体におけるカーボン排出量が削減され、生物多様性が保全された世界を目指すため、バリューチェーンのCO2削減と生態系の保全の両立、CO2の排出量削減・吸収・回収の技術開発・展開などに取り組んでいきます。

 将来的な気候変動が業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性がある物理リスクを以下の通り認識しています。海外の生産拠点における干ばつが深刻化し、水需給が逼迫、水価格の高騰による操業コストが上昇する可能性があります。気温上昇(生育環境や労働環境の変化)・天候・自然災害・CO2濃度等が需給バランスや品質に影響し、主要な原材料価格が変動する可能性があります。さらに、必要な水資源が確保できない場合、操業停止による機会損失と工場移転費用が発生する可能性があります。異常気象の激甚化により、深刻な風水害及び土砂災害が発生することで生産ラインや物流が停止し、設備被害や機会損失、製品廃棄による損失が発生する可能性があります。

 また、将来的な気候変動を見据えた脱炭素社会への移行リスクを以下の通り認識しています。炭素税が導入され、特にPETボトル等の製品原材料への価格転嫁や生産拠点の操業コストが上昇する可能性があります。水ストレスの高い地域の生産拠点において取水制限を受けて操業が停止、機会損失が発生する可能性があります。エシカル志向の高まりにより、環境配慮が不十分な製品があった場合、その需要が低下し、当社グループの売上に影響を与える可能性があります。

 当社グループは、脱炭素社会の速やかな実現を目指し、CO2排出量ゼロを目指す中長期目標「アサヒカーボンゼロ」を設定しています。この中期目標として、Scope1,2においては、2025年に40%削減、2030年に70%削減、Scope3においても、2030年に30%削減(ともに2019年比)の目標を設定しています。その上で、長期目標として掲げていたScope1,2,3におけるCO2排出量ネットゼロの目標年を2040年へ前倒しし、今後更なる省エネルギー化や再生可能エネルギーの活用を推進していきます。また、グループ全体で水使用量削減に向けた取り組みを進めて、水リスクに対応していきます。

 気候変動によるリスクと機会に関連する事業インパクトの評価及び対応策の立案が、持続可能な社会の実現及び事業の持続可能性に不可欠であると認識し「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言への賛同を表明しています。

※ Scope1は、自社(工場・オフィス・車など)での燃料の使用によるCO2の直接排出、Scope2は、自社が購入した電気・熱・蒸気の使用によるCO2の間接排出、Scope3は、自社のバリューチェーンからのCO2の排出を指します。

 

5)プラスチック使用

 アサヒグループは、環境負荷低減に寄与しない容器包装への規制や、リサイクル素材やバイオ由来の素材の需要増加に伴うコスト増加、素材不足への対応が遅れることによる調達への影響、また、プラスチックに対する消費者の忌避感によって売上が減少する可能性を想定しており、そのリスク軽減に取り組む重要性を認識しています。

 当社グループは、「アサヒグループ環境ビジョン2050」において2050年の世界のありたい姿として掲げた「容器包装廃棄物のない社会」の実現に向けて、「3R+Innovation」のもと推進してきたプラスチックの課題への対応を継続し、2030年までにPETボトルを100%、リサイクル素材またはバイオ由来の素材などへ切り替えることを目標とします。また、リデュースの取り組みや、環境負荷低減に寄与する新容器の開発にも取り組んでいきます。缶、びん、樽、紙など、その他の容器包装資材についても、3Rの観点から、省資源・軽量化・リサイクル性向上に努めます。それに基づき、グループ各社において様々な取り組みを進めています。

 国内では、アサヒ飲料株式会社がリサイクルPET等リサイクル素材の使用、リデュースの推進、環境への配慮を前提とした新容器開発等に関する目標「容器包装2030」の達成に向けた取り組みを進めています。さらなる「ラベルレスボトル」製品の拡大やリサイクル素材活用拡大のために「ボトルtoボトル」の水平リサイクルを進めています。

 業界の枠を超えた連携体制により使用済のプラスチックを再資源化する会社に共同出資も行い、中長期的なPET調達に向けた取り組みも強化しています。

 また、2023年には飲料他社と共同で、複数の地方自治体との間で使用済みペットボトルを新たなペットボトルに再生する水平リサイクル「ボトルtoボトル」事業の連携協定を締結しました。各地で2024年から取り組みを開始し、プラスチック資源循環を推進しています。

 海外では、オーストラリアの子会社Asahi Beverages Pty Ltdが、業界の枠を超えたパートナーシップ構築を通じて、PETボトルのリサイクルを推進しています。リサイクル大手企業や容器メーカーと合弁会社を設立し、2022年にはニューサウスウェールズ州でリサイクルPET樹脂のさらなる生産と供給のための工場を稼働しました。さらに2023年にビクトリア州で2拠点目のリサイクル工場の操業を開始しました。オーストラリアではミネラルウォーターブランド『Cool Ridge』でキャップとラベルを除いて、100%リサイクルPET樹脂を利用したボトルへ移行しています。

 当社グループ全体として、プラスチックのリサイクル素材、バイオ由来の素材等のさらなる活用を推進していきます。

 

② 短中期的に顕在化が懸念されるリスク

1)主要原材料の調達リスク

 当社がグローバルに事業展開する酒類・飲料・食品の製造においては、原材料の調達に関し、市況悪化による価格高騰、気候変動や自然災害及びパンデミック等による納期遅延や供給停止に陥るリスクがあります。このようなリスクに直面した場合、製造コストが上昇し、また製造数量が計画を下回ることで、グループの業績及び財政に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 このようなリスクに対し、当社では、コモディティリスクマネジメントポリシーを確立し、このポリシーのもと、特定コモディティについては、ガードレールに基づくヘッジを実践する等、グループグローバルで標準化したコモディティ管理の取り組みを行っています。

 また、グループグローバル調達組織であるAsahi Global Procurement Pte. Ltd.が、コモディティ価格変動による影響の低減を目的に、グローバルリスクマネジメントコミッティを立ち上げ、グループの調達戦略をリードしています。

 

2)地政学的リスク

 現在、当社グループは20を超える国に拠点を構え、グローバルに事業を展開しています。世界経済全体の動向に加え、当社グループが事業活動を展開する国・地域における政治、経済、社会、法規制、自然災害等の要素が、各事業に影響を与える可能性があります。

 さらに、近年は、地政学的な要因が事業に影響を及ぼす可能性が高まっていると認識しています。例えば、ウクライナ情勢や中東情勢、台湾を巡る緊張の高まり、米国と中国の対立関係、自国第一主義の政策などの要因により、当社グループが事業を展開する複数の国・地域において、輸出入制限、新たな関税導入、差別的な措置、商品不買運動、技術の分断、データに関する規制等の具体的なリスクが想定され、同時に、今後の事業の強化やエリアの拡大を進める上でも影響を与える要素となります。地政学的な要因によりこれらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの中長期経営方針の実行や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 当社グループは、地政学的リスクに関する動向の情報収集と分析をもとに、リスクシナリオの策定及びリスクの把握を行い、その影響を低減するための適切な対策の検討を進めていきます。また、事業展開国・地域のカントリーリスクの調査、情報収集、評価をもとに、リスクを早期に認識し、顕在化する前に具体的かつ適切な対処をする取り組みも継続しています。

 

3)情報セキュリティ

 当社グループは、高い市場競争力を確保するため、事業活動の多くをITシステムに依存しています。停電、災害、ソフトウェアや機器の欠陥、あるいはサイバー攻撃によって、事業活動の混乱、機密情報の喪失、個人情報の漏洩、詐欺被害、EU一般データ保護規則(GDPR)等の各国法令違反が発生する可能性があります。

 このようなリスクが顕在化した場合、事業の中断、損害賠償請求やセキュリティ対策費用の増加等によるキャッシュアウト、GDPR違反による制裁金等により、当社グループの業績及び財政状態、並びに企業ブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。

 サイバー攻撃リスクの高まりへの対応としては2022年10月にグループ全体で遵守すべきサイバーセキュリティ基準を制定し、運用の徹底を図っています。当基準に準じて国内・海外グループ会社のサイバー攻撃対策状況を評価し、セキュリティ体制の維持及び向上に努めており、本件リスクが顕在化しないようにセキュリティの改善に取り組んでいます。また、当基準内でインシデント発生時の報告ルールを明示することでグループ全体でのインシデント情報を集約し、リスク対応の強化を目的とした体制整備も完了しています。

 当社グループは、ビジネスの多様な分野における生成AIの活用を積極的に推進しています。我々は、この技術が企業の競争力を高める重要な要素であると認識しており、その有効な活用を通じて、業務効率の向上とイノベーションの促進を図っています。一方で、生成AIの使用に伴うリスクに対処するため、国内・海外グループ会社に適用される包括的なガイドラインを制定しました。このガイドラインは、生成AIの安全かつ責任ある使用を確実にするための運用基準と注意事項を定めており、リスクの軽減と管理に努めています。

 また、オフィスのIT環境は高度なセキュリティ対策が施されていますが、工場などでの機器を制御し運用するシステムやその技術であるオペレーショナルテクノロジー(OT)環境はセキュリティ面で脆弱な場合があり、マルウェア等の攻撃対象となる可能性があります。当社グループは、当リスクの対策を定めた「OTセキュリティガイドライン」を制定、事業を展開している各地の生産拠点に導入しました。

 

4)多様で有能な人材の確保

 中長期経営方針の目標達成には、多様な価値観や専門性を持つ社員の貢献が不可欠です。そのため、当社グループは社員の多様性を尊重し、一人ひとりの成長を支援する人材育成プログラムへの投資を増やし、必要に応じて、経営幹部や一般社員を外部から採用する取り組みを進めています。しかし、グローバルな事業の成長に伴う人材需要の増加や必要なスキルの変化、高度化により、多様で有能な経営幹部や一般社員の確保、育成、定着が難しく、中長期経営方針の戦略実行に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは中長期経営方針で「目指す事業ポートフォリオの構築やコア戦略を支える高度な人的資本の確保」を掲げ、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進を通じて、戦略を支える経営基盤を強化し、従業員のエンゲージメントを高める企業文化を醸成しています。定期的にエンゲージメント調査を実施し、望ましい企業文化の実現度を確認しています。

 また、経営者候補の育成を計画的に進めるため、多様な人材の成長と活躍を促進する方針を明文化したグローバルタレントフィロソフィーやグループ全体で共通のコンピテンシーモデルを策定し、将来の経営幹部候補を育成するグローバルリーダーシッププログラムを実施し、人材パイプラインを拡充・強化しています。さらに、各地域の人材を可視化し、国籍や性別に関係なく適材適所で配置するためのタレントレビューを実施し、多様な有能な人材の活用を推進しています。新しいケイパビリティを獲得するために、社外からの人材登用も積極的に行っています。

 

③ 継続的に顕在化を留意するリスク

1)大規模自然災害

 2024年1月に能登半島で発生した地震が甚大な被害をもたらすなど、国内外問わず世界各地で地震、津波、台風、洪水等の自然災害に関連するリスクは年々高まっており、大規模災害が現実のものとなっています。このような大規模自然災害の発生により、従業員の被害、工場損壊、設備故障及びユーティリティー(電気、ガス、水)遮断により製造が停止、倉庫損壊及び保管製品破損により出荷が停止、並びに物流機能停止により原材料資材の調達及び製品の出荷が不能になる可能性があります。さらに、事務所施設の損壊、交通機関マヒによる従業員の通勤不能、及びシステム障害に伴う重要データの消失等もあわせて、事業活動が停止する可能性があります。事業活動の復旧に長期を要した場合、施設等の改修に多額の費用が発生した場合、消費マインドが落ち込んだ場合等、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 当社グループは、大規模災害が発生した際に、いち早く従業員及びその家族の安否を確認する仕組みを導入するとともに、大規模地震を含め災害リスクが高い日本においては、早急に被災地の被害状況を把握するため、災害時優先電話や災害用無線の配備をはじめとした緊急時通信体制の強化を進めています。そのうえで、定期的な訓練を実施することで、有事の対応力を強化するとともに、災害対応意識の啓発に努めています。

 また、生産工場では、建物倒壊対策のため、全建物を対象に耐震診断を実施しており、対策が必要な物件については、順次計画的に補強工事を実施しています。ボイラー、冷凍機等の大型エネルギー供給設備には大地震(震度5弱相当)を検知すると、安全に自動停止する機能が付属し、大型ビール工場では電力供給が遮断した場合でも、自家発電によりタンクを冷却させることで、半製品の大量腐敗を防止する等2次災害のリスク低減対策を進めています。

 また、主要グループ会社において、過去の防災対策の実績及び自然災害の経験を踏まえた「事業継続計画(BCP)」の策定を行い、主要商品の供給を継続するための需給調整機能を早急に復旧する体制を構築するとともに、受発注処理等に関する重要なデータを処理するサーバーセンターのバックアップセンターを設置する等、大規模な自然災害が起こった場合であっても被災地以外での事業活動が継続出来るように備えています。

 なお、大規模な災害等が発生した際には、代表取締役社長兼Group CEOを本部長とした「緊急事態対策本部」を設置して対応する危機管理体制を構築しており、平常時のリスクマネジメントにおいて、顕在化した際に即時対応を要するリスクを抽出し、その影響度と必要な対応を想定することで、危機発生時にクライシスマネジメントへ寸断なく移行できるよう準備しています。あわせて、危機の類型に応じてRHQと当社の役割を明確にするとともに、危機発生時の情報ラインの整流化を図り、グローバルなクライシスマネジメント体制の強化も進めています。

 これらの事前対策により災害による被害の最小化、当社グループの業績及び財政状態に対する影響の低減に努めています。

 

2)人権尊重に関わるリスク

 近年、企業による人権尊重の活動を義務付ける気運は高まり、ステークホルダーからの企業の人権デューデリジェンス活動への期待も一層強まっています。こうした動向を背景に、自社の事業活動に関連する人権リスクに対して適切な対策が講じられない場合は、法令違反や経済的損失などのリスクが増大し中長期経営方針の事業遂行及び目標達成を阻害する可能性があります。

 当社グループは、グローバルな企業グループとして、自社の事業活動が環境や人権に与える潜在的または実際的な影響を十分に認識しており、人権尊重をビジネスの基盤と位置付けています。2023年末には人権に関する最上位方針である「アサヒグループ人権方針」を改訂し、2024年以降、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」に準拠する取り組みを推進しています。さらに、人権方針を反映した事業活動の推進や全従業員の人権尊重への理解浸透も不可欠であるという認識のもと、活動を強化しています。

 当社グループは、サプライチェーンと自社従業員に関する人権デューデリジェンス、及び人権侵害への被害者への救済の仕組みの構築・運用を優先事項として取り組んでいます。

 サプライチェーンにおける人権デューデリジェンスについては、2023年に、2030年までに原材料一次サプライヤー(年間10万ドル以上取引のある既存の原材料及び包装資材のサプライヤー)へのリスクアセスメントを100%実施する目標を定め、2024年8月に「アサヒグループ責任ある調達プログラム」を策定し、原材料一次サプライヤーへのリスクアセスメントを段階的に進めています。

 自社従業員に関する人権デューデリジェンスについては、2030年までにすべての事業展開国(ディストリビューターを通じた輸出事業を除く)においてUNGPsに準拠した活動が実行されており、継続的にPDCAをモニタリングできている状態を目指しています。2024年は高リスク国の全生産拠点におけるリスクアセスメントとその一部で第三者現地監査を実施しました。これらの結果に基づく是正対応も着実に進めています。

 人権侵害の被害者への救済の仕組みの構築・運用については、2024年5月に事業展開国の現地語に対応可能な新しい内部通報制度「Speak Up」の運用を開始しました。24時間365日すべてのステークホルダーが通報しやすい環境を整備し、コンプライアンス問題や人権侵害を早期に認識して対応することを目指しています。

 

3)法規制とソフトローのコンプライアンス

 当社グループは事業の遂行にあたって、食品衛生法、製造物責任法、労働関連規制、贈収賄規制、競争法、GDPR等の個人情報保護規則、環境関連法規等の様々な法規制の適用を受けています。これらの法令が変更される、又は予期し得ない法律、規制等が新たに導入される等の理由による法令違反や社会規範に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、規制遵守対応のためのコストが増加し、又はお客様をはじめとしたステークホルダーの信頼を失うことにより、レピュテーションやブランド価値が毀損し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 当社グループは、事業活動を行う全ての国・地域において、適用される法令・ルールを遵守することを含め、「Asahi Group Philosophy」で示したステークホルダーに対する5つのPrinciplesに基づき、企業倫理・コンプライアンスを実践するための「アサヒグループ行動規範」を制定し、グループ全体での実践を推進しています。そして、代表取締役社長兼Group CEOが委員長を務め、代表取締役社長兼Group CEO以下の業務執行取締役、Group CxO及び委員長が任命したFunctionのHeadで構成される「コンプライアンス委員会」を設置し、グループ全体の企業倫理・コンプライアンスを推進・監督するとともに、「アサヒグループ行動規範」に関する社員の研修等を通じてコンプライアンスのレベルを高め、法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。

 

④ 個別戦略リスクのヒートマップ

 

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⑤ 個別戦略リスクの経営方針・戦略との関連性

 

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(3)その他リスク

1)品質について

 当社グループは、研究開発、調達、生産、物流、販売、お客様とのコミュニケーションに至る全てのプロセスにおいて、お客様の期待を超える商品・サービスを提供することで、お客様の満足を追求することをグループ品質基本方針とし、いずれのグループ会社も品質を通して、お客様との信頼関係を築くことに不断の努力を続けています。お客様の健康に密接に関連する事業を展開しているため、万一、不測の事態により、お客様の健康を脅かす可能性が生じたときは、お客様の安全を最優先に考え、迅速に対応します。

 しかしながら、万一、品質に問題が生じて、商品の安全性に疑義が持たれた場合には、商品の回収や製造の中止を余儀なくされ、その対応に費用や時間を要するだけでなく、お客様からの信頼を失う可能性があります。このような事象が発生した場合、中長期経営方針に掲げた「既存地域でのプレミアム化とグローバルブランドによる成長、展開エリアの拡大」の未達を含む、当社グループの業績及び財政状態、並びにレピュテーション及びブランド価値に対して影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、品質リスク低減を目的とした品質保証レベル向上の取り組みとして、サプライチェーンの全てのプロセスにおいて、品質に影響を与える業務や注意すべき事項を抽出し、その点検と是正による改善のPDCAサイクルをグローバル共通の仕組みとして展開しています。

 また、食の安全に関わる分野においては、研究開発部門を中心に微生物・農薬・カビ毒・重金属・樹脂・放射性物質等多岐にわたる最新の分析技術を開発しており、グループ内の連携によりグローバルでの品質保証活動を展開する体制・仕組みを通じて、技術面からグループ全体をサポートしています。

 さらに、各グループ会社の商品特性や製造工場の環境に応じて、国際的な品質・食品安全マネジメントシステムの考え方を取り入れ、必要に応じて外部認証取得しています。

 

2)財務リスク

為替変動:     当社グループはグローバルに事業を展開しているため為替リスクを負っています。このうち、海外子会社及び関連会社における資産や負債については円高が進行すると在外営業活動体の換算差額を通じて自己資本が減少するリスクがあります。このため、必要に応じて為替リスクのヘッジをする等の施策を実行していますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。また、海外連結子会社等の損益の連結純利益に占める割合が比較的高く、これらの収益の多くが外貨建てであり、当社の報告通貨が円であることから、外国通貨に対して円高が進むと、連結純利益にマイナスのインパクトを与えます。一方、本国で行う輸出入、及び外国間等の貿易取引から発生する、外貨建債権及び債務等は為替レートの変動によるリスクを有しておりますが、このリスクは為替予約等と相殺されるため影響は限定されます。

金利変動:     当社グループは銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース負債等の負債を保有しております。これらの資産及び負債に係る金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、金利リスクを回避する目的で、金利を実質的に固定化する金利スワップを利用することがあります。またヘッジ会計の要件を満たす取引については、ヘッジ会計を適用しております。

格付低下:     当社グループに対する外部格付機関による格付けが引き下げとなり、当社グループの資本・資金調達の取引条件の悪化、もしくは取引そのものが制限される場合には、当社グループの業務運営や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

保有資産の価格変動:当社グループが保有する土地や有価証券等の資産価値の下落や事業環境の変化等があった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3)税務リスク

 当社グループはグローバルに事業を展開しており、本国をはじめとする、各国の税制による適用を受けており、予期し得ない改正や税務当局からの更正処分を受けた場合、大幅なコストの増加、競争環境の悪化、事業活動の制限等が懸念され、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4)訴訟リスク

 当社グループは、事業を遂行していくうえで、訴訟を提起される可能性があります。万一当社グループが訴訟を提起された場合、また訴訟の結果によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

2.企業集団の状況

 

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3.経営方針

(1)グループ理念

 アサヒグループは、純粋持株会社であるアサヒグループホールディングス株式会社のもと、日本、欧州、オセアニア、東南アジアを核として主に酒類、飲料、食品事業を展開しています。

 グループ理念「Asahi Group Philosophy(AGP)」に基づき、未来のステークホルダーからも信頼されるグループを目指しています。AGPは、Mission、Vision、Values、Principlesで構成され、グループの使命やありたい姿に加え、受け継がれてきた大切にする価値観とステークホルダーに対する行動指針・約束を掲げています。また、AGPを補完するコーポレートステートメントとして、「Make the world shine “おいしさと楽しさ”で、世界に輝きを」を策定し、AGPの社会的な価値や意義を表明しています。

 

 

 

 

 

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(2)中長期経営方針

 AGPの実践に向けて、『中長期経営方針』では、長期戦略のコンセプトとして「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」ことを掲げています。

 目指す事業ポートフォリオの実現に向けた取り組みを推進するとともに、サステナビリティと経営の統合、DX (デジタル・トランスフォーメーション)やR&D(研究開発)といったコア戦略の一層の強化を図ります。また、人的資本の高度化やグループガバナンスの進化など戦略基盤を強化することにより、持続的な成長と全てのステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指しています。

1.『中長期経営方針』:長期戦略の概要

 

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※ BX:ビジネス・トランスフォーメーションの略

 

2.目指す事業ポートフォリオ

 長期戦略における事業ポートフォリオでは、人々のウエルビーイングの変化に応えていくなかでの「リスクと機会」を捉え、ビールを中心とした既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスの拡大を目指しています。

 既存事業については、主力ブランドを中心としたプレミアム戦略の推進などにより、各地域において販売単価の向上を実現したほか、『Asahi Super Dry』と『Peroni Nastro Azzurro』を中心とした世界的なパートナーシップの強化などにより、グローバル5ブランド全体で販売数量は前年比5%増加しました。

 新規領域については、各地域でのノンアルコールや低アルコールカテゴリーの取り組みを推進するなど、BACへの投資強化による新市場拡大を図りました。また、新たな成長ドライバーの探索を目指して設立した米国投資運用会社の本格的な稼働に加えて、酵母・乳酸菌技術を活用した新たな領域拡大やデジタル技術を活かした新サービスの開発に取り組みました。

 今後もビールを中心に培ってきたケイパビリティや事業基盤を活かし、BACや新商材・新サービスの領域で成長機会を拡大することで、最適な事業ポートフォリオを構築していきます。

※ BAC:Beer Adjacent Categoriesの略。低アルコール飲料、ノンアルコールビール、成人向け清涼飲料など、ビール隣接カテゴリーを指します。

 

 

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3.コア戦略 ―サステナビリティ戦略―

 アサヒグループは、サステナビリティと経営の統合を掲げ、持続的な成長とさまざまなステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指していきます。

 事業成長と社会価値の創出の最大化を目指して、重点方針を定めているほか、経営課題として取り組む領域を特定したマテリアリティ・取り組みテーマを設定し、適切で実効性のある取り組みにつなげています。

 

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 また、マテリアリティの取り組みテーマ(特に重点テーマ)ごとに、Group CEOが委員長を務める「グローバルサステナビリティ委員会」で戦略やグローバル目標を議論・決議し、その内容をグループ全体に落とし込んでいます。

 

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※1 2019年比

※2 現時点の最新科学に基づき、Science Based Targetsイニシアチブ(SBTi)のネットゼロ定義に準拠

※3 ビール類、RTD、ノンアルコール飲料

※4 ノンアルコール飲料の定義は、各国の法規制に準じます。

※5 アルコール度数3.5%以下の飲料を指します。

※6 ディストリビューターを通じた輸出事業を除く事業展開国の当社グループ従業員

※7 原材料・包装資材の年間取引金額10万米ドル以上の既存サプライヤー

 

 

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 気候変動問題は、「自然の恵み」を享受して事業を行うアサヒグループにとって重要な環境課題です。

 アサヒグループは、脱炭素社会の実現のため、2040年までにCO2排出量ネットゼロを目指す「アサヒカーボンゼロ」を設定しています。2024年には、この脱炭素の目標がパリ協定で示された1.5度目標と科学的に整合するものとして、国際的イニシアチブのSBTi(Science Based Targets Initiative)からSBTネットゼロ認定を取得しました。取り組みの一環として、アサヒ飲料株式会社群馬工場やマレーシアの工場への太陽光発電設備の導入、オランダにおけるグリーン熱(温水)を使用した地域のエネルギーネットワークの構築などを進めました。

 今後も、2040年までにバリューチェーン全体でのCO2排出量ネットゼロの達成に向けて、再生可能エネルギーの積極的な活用や製造方法の刷新に加え、原材料や輸送配送といった排出規模の大きい領域を中心に、サプライヤーや取引先と共創してサプライチェーン全体の脱炭素化を加速していきます。

 

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※ 2024年の実績は、2025年6月頃に開示予定

 

 

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TCFD・TNFDを統合した分析によるリスクと機会の特定

 アサヒグループは、すべての自然を考慮した重要リスク・機会の特定・評価、対応策の検討をするため、TCFD※1・TNFD※2を統合したアプローチを取り、共通のシナリオをもとに、事業、社会(気候・自然)という観点から分析し、相互作用によって発生するリスクを特定、事業・自然へのインパクトを可視化するとともに、相乗効果も期待できる機会・対応策を特定し、2024年6月にその内容を開示しました。

 気候変動への対応では、アサヒグループにとって最も大きな気候変動のリスクとして、炭素税導入を特定しました。分析の結果、リスク対応のために、Scope1,2及びScope3内の「原料・資材、輸送」由来のCO2排出量削減が急務であると判明しました。

※1 気候関連財務情報開示タスクフォースを指し、企業の気候関連のリスク・機会と財務上の影響について開示するフレームワークを示しています。

※2 自然関連財務情報開示タスクフォースを指し、企業の自然資本及び生物多様性関連のリスク・機会を適切に評価し、開示するフレームワークを示しています。

 

【リスクの特定】

 

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【機会・対応策】

 機会・対応策として、戦略、取り組み、目標をタイムラインで示しました。具体的な削減策の例として、Scope1,2では再生可能エネルギーの活用や製造方法の刷新、ヒートポンプ技術の導入などによりCO2排出量を削減します。また、Scope3では、原材料(容器包装、農産物原料など)や輸送配送といった排出規模の大きい領域を中心に、削減策をサプライヤーや取引先と共創して取り組むことで、サプライチェーン全体の脱炭素化を加速します。製造方法の抜本的な見直しや新技術の実証試験を加速させることは、コスト競争力向上と更なる効率化を推進させる機会になるとも捉えています。

 

 

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 容器包装は、品質保持や輸送強度の担保とともに、デザインや表示によるコミュニケーション手段としての機能を果たしています。一方、不適切に廃棄されたプラスチック製の容器包装による、海洋汚染や生態系への影響が、喫緊の社会課題となっています。

 アサヒグループは、2030年に向けて、PETボトルのリサイクル素材又はバイオ由来の素材等への100%転換を推進しています。取り組みの一環として、豪州では、他企業とともに合弁会社を設立し、PETボトルのリサイクル工場を建設し、運営しています。また、日本国内の各自治体と飲料各社と連携して、回収されたPETボトルを新たなPETボトルに再生する水平リサイクルを開始しています。

 今後も、業界団体と積極的に連携し、サプライヤーとの技術の共同開発に取り組むとともに、容器の使い捨てという消費行動の変革を目指した取り組みも実施していきます。また、缶、びん、樽、紙など、その他の容器包装資材についても、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の観点から、省資源・軽量化・リサイクル性向上に努めます。

 

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※1 2024年の実績は、2025年6月頃に開示予定

※2 リユース可能、リサイクル可能(研究段階でのリサイクル可能性を含む)、堆肥化可能、熱回収可能など

 

 

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 アサヒグループは、「酒類を取り扱う企業グループとしての飲酒に関する基本方針」のもと、不適切な飲酒を撲滅し、アルコールが起因の社会課題の解決に取り組んでいます。さらに、人と酒類の関係の革新に挑戦し、人々の豊かな生活の一翼を担う酒類文化の健全な発展に寄与しながら、不適切な飲酒による社会課題の解決に取り組み、アルコール起因の課題が減少している社会の実現を目指しています。

 不適切飲酒の撲滅に向けては、世界規模で「責任ある飲酒」を推進するため、国際NPOであるIARD(International Alliance for Responsible Drinking)に加盟、世界の大手酒類メーカーと協働して不適切飲酒撲滅の推進などに取り組んでいます。

 また、日本国内においては、ノンアルコール飲料による飲酒抑制効果に関する筑波大学との共同研究成果を医療機関に共有し、ノンアルコール飲料を活用した飲酒量のコントロールを提案するなどの取り組みを実施しています。

 新たな飲用機会の創出によるアルコール関連問題の解決に向けては、2030年までに主要な酒類商品に占めるノンアルコール・低アルコール飲料の販売量構成比20%以上という目標に向けて、ノンアルコール・低アルコール飲料を積極的に展開しています。

 今後も、適正飲酒の普及に向けて、さまざまな取り組みを推進し、酒類文化の健全な発展に貢献するとともに、アサヒグループの知見と技術を結集して新たな革新的な商品を展開し、飲む人はもちろん飲まない人や飲めない人も楽しめる、新たな飲用機会を創出していきます。

 

 

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※ 2024年の実績は、2025年6月頃に開示予定

 

 

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 アサヒグループは、グローバルに事業を展開する企業として、人権の尊重を私たちの事業活動における基盤に位置付け、自らの事業活動によって影響を受ける人々の人権を尊重することを責務として認識しています。

 2023年12月に人権尊重の取り組みをさらに強化することを目的に、「アサヒグループ人権方針」を改定しました。本方針は人権に関する最上位の方針として、アサヒグループのすべての事業活動の基盤となるものです。

 2030年までに自社従業員100%及び直接材一次サプライヤー100%において、人権デューデリジェンスを実施し、各事業会社、機能部門が継続的にPDCAをモニタリングできていることを目標として、人権デューデリジェンスの実施、従業員・ビジネスパートナーなどへの人権尊重教育の徹底、人権侵害の被害者救済の仕組み構築に取り組んでいます。

 その一環として、2024年5月にグローバル内部通報制度の運用を開始しました。従業員や取引先だけでなく第三者も通報できるよう通報制度を一本化し、通報者は24時間365日、事業展開国の現地語で匿名通報が可能となりました。この制度によりすべてのステークホルダーが通報しやすい環境を整備し、コンプライアンス問題や人権侵害を早期に認識・対応することを目指しています。

 今後も「アサヒグループ人権方針」に従い、人権尊重にコミットし取り組むことで、グローバルでの持続可能な社会の実現に貢献します。

 

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 調達・生産・販売などの事業活動を通じてさまざまなコミュニティに支えられてきたアサヒグループは、改めて「つながり」を見直して進化させることが重要だと考え、マテリアリティ「コミュニティ」の活動スローガンを「RE:CONNECTION」と定めて取り組みを推進するとともに、希薄化した「つながり」を見直し、新しい「つながり」をつくることを目指しています。

 コミュニティ戦略において、重点活動を「持続可能な農産業」、基本活動を「従業員が参画するコミュニティ支援活動」と定め、コミュニティとのつながりの強化に取り組んでいます。

 

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 アサヒグループは、人々の健康維持に貢献するため、グループが持つ知見、独自素材、技術を駆使した取り組みを推進しています。

 ビール事業における酵母や発酵技術、アサヒ飲料株式会社における『カルピス』の100年を超える乳酸菌研究などで培われた技術力などを活用し、現代人が抱えるさまざまな健康課題の解決を目指す商品を開発・販売しています。

 また、食に携わる企業として、子どもから高齢者までのあらゆる世代の健康に貢献する社会活動も行っています。さらに、WHO(世界保健機関)による砂糖消費量減少の呼び掛けなどに対応し、砂糖の摂取量が多いオセアニアや東南アジアなどの飲料事業において、ノンシュガー・ローシュガー商品群を拡充しています。

 今後も、これまでに培ったさまざまな技術や知見を活用し、商品・サービスを通じて人々の健康に貢献していきます。

 

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4.コア戦略 ―DX戦略―

 アサヒグループのDXは単なるデジタライゼーションではなく、生き残りをかけた経営改革であると認識しており、DX=BXと捉え、「Business」「Process」「Organization」の領域において、三位一体でイノベーションを推進しています。

 

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①Business Innovation

 一人ひとりのウエルビーイングの形を捉え、パーソナライゼーションモデルの実現を目指します。また、デジタル技術でサステナビリティに関する課題を解決し、人々のサステナブルな生活の実現に向けた取り組みを推進していきます。

 

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②Process Innovation

 グローバル調達で規模の経済を実現し、調達コストやリスクを最適化するとともに、サプライチェーン、サステナビリティチームとIT組織が協働し、当社のサステナビリティに関わるあらゆる情報・データを収集・集計するための最適なソリューションの導入に向け、取り組んでいます。

 

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③Organization Innovation

 デジタルネイティブ組織への変革を目指し、各機能・組織がIT/データ活用スキルを当たり前のスキルとして持つ「IT/データ活用の民主化」を目指します。また、アジャイルな働き方の導入を同時に進めていきます。

 

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※ 柔軟性と迅速性を重視し変化に素早く対応する働き方

 

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5.コア戦略 ―R&D戦略―

 R&D戦略においては、中長期的な社会環境や競争環境の変化を見据え、メガトレンドからバックキャストで導いた未来シナリオとこれまでの研究で蓄積してきた技術・知見・ノウハウを踏まえ、以下の4つを重点領域として位置付け、新たな価値創造やリスク軽減に向けた商品・技術開発に取り組んでいます。また、海外を含む拠点間での技術シナジーの醸成、異分野とのオープンイノベーション活用による新たな価値創造にも積極的に取り組んでいます。

 

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①アルコール関連

 アルコールに対するニーズの多様化や社会の変化に対応し、BAC領域において新たな価値を創造するための研究開発に取り組んでいます。長年培ってきた酵母育種、発酵プロセス、調香、官能評価などの技術をベースとしつつ、心理学、脳科学、AI(人工知能)などの最先端の技術を獲得し組み合わせることで、嗜好性や機能性のみならず、環境影響及びコストといった側面における優位性を追求しています。

 中長期的な市場トレンドをグローバル・ローカルの両面から捉えて技術課題に落とし込み、研究から製品化に至るまでの一連の開発機能を強化することで更なる研究成果の導出を目指します。

 

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②ヘルス&ウェルネス

 消費者の健康志向の高まりに対し、身体や心の健康をサポートするソリューションを提供することで、人々の健康維持増進への貢献に取り組んでいます。

 健康な人の免疫機能の維持に役立つ「L-92乳酸菌」や、心理的なストレスを和らげ、睡眠の質(眠りの深さ)を高める機能や腸内環境を整える機能を持つ「ガセリ菌CP2305株」など、オリジナルの機能性乳酸菌についてグローバル活用に向けた取り組みを進めています。「ガセリ菌CP2305株」による睡眠の質と腸内環境の改善機能については、豪州において、現地当局への表示届出が受理されました。

 今後、日本国内のみならず海外においても人々の健康で豊かな生活をサポートするヘルス&ウェルネス研究を強化し、新しい価値提案を目指します。

 

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③サステナビリティ

 環境・エネルギー分野における技術実装、気候変動に伴う原料コスト影響の最小化、容器包装の環境負荷低減などのサステナビリティに関する研究開発を通じ、社会的責務を果たすとともに、持続的な社会の発展に貢献しています。

 環境分野においては、缶、びん、PETボトルなどの使い捨て容器の使用が廃止される未来を見据え、使い捨て容器を使用しなくても強炭酸が楽しめるサーバー『EXTRA BURST』を開発しました。アサヒ飲料株式会社は2024年からオフィスやホテル向けのサービスを開始し、2025年内に家庭用サーバーの展開を目指します。さらに、繰り返し使用可能な専用タンブラーと併用することで、PETボトルなどの使い捨て容器と比較して大幅に環境負荷を低減した、サステナブルな飲料提供を目指しています。

 本取り組み以外に、グリーンエネルギー技術や副産物利用技術の開発にも力を入れており、今後も環境負荷低減の実効性向上を目指します。

 

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④新規事業

 中長期的に目指す事業ポートフォリオの実現に向け、グループ内外の技術とビジネスモデルとの掛け合わせ等により、新規事業につながる非凡なシーズの創出に取り組んでいます。

 アサヒグループがこれまでに活用してきた酵母や乳酸菌などの微生物関連技術に、AI・デジタル技術をはじめとした、さまざまな次世代技術を新たな視点をもって組み合わせることで、これまでにない新価値を創出し、新規事業を開拓していきます。

 これらを実現するために、グローバル視点で革新的な外部技術を取り入れ、異分野技術の融合を積極的に推進することでイノベーション創出を目指します。

 

6.人的資本の高度化

 アサヒグループでは、「ありたい企業風土の醸成」、「継続的な経営者人材の育成」及び「必要となるケイパビリティ※1の獲得」の3つの取り組みを通じ、経営基盤を強化し、競争優位の源泉となる「人的資本の高度化」を実現することで、従業員と会社が共に成長し、中長期的な企業価値の向上を推進しています。

 2024年には、人的資本の高度化に向けたアサヒグループの取り組みをまとめた『People & Culture Report※2』を初めて発行するとともに、人的資本の高度化がどのような事業・社会インパクトを生み出し、アサヒグループの企業価値向上につながるかの価値連鎖を構造化した連関図を作成しました。この連関図を活用することで、アサヒグループの人的資本経営の全体像を見える化し、人材戦略の効果検証や優先度を明確にすることで、価値創造を最大化するための意思決定に役立てていきます。

※1 戦略を実現するために必要な組織的能力

※2 詳細は、以下の当社ウェブサイトに掲載

 

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https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/asahigroup-doc/company/policies-and-report/pdf/people_culture2024.pdf

 

 

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(注)「人材戦略と財務価値への連関」の詳細については、上記『People & Culture Report』の13ページに掲載しています。

 

①ありたい企業風土の醸成

 アサヒグループを取り巻く複雑化・多様化する様々な課題の解決に向けて、これまでとは異なる多様な経験や発想が不可欠になっています。このような状況を踏まえ、「ピープルステートメント」を基に、「セーフティ&ウエルビーイング(S&W)」、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)、「学習する組織」及び「コラボレーション」の取り組みを通じ、“学び、成長し、そして共にやり遂げる”風土醸成の具現化を図っています。

 「S&W」では、「グローバルS&Wカウンシル」において、グループ全体のビジョンや戦略の構築、取り組み目標の設定、教育研修の拡充、快適な職場づくりに向けた取り組みを推進しています。また、新たに策定したグローバルS&Wビジョンを従業員に浸透・定着させるためのセッションを全地域で開催し、安全やウエルビーイングに関する対話を促し、従業員一人ひとりが安全やウエルビーイングの文化の発展に貢献する機会を創出しています。

 「DE&I」では、コアメッセージとして「shine AS YOU ARE」を掲げ、全世界の従業員への浸透を図っています。また、2030年までに経営層※1の女性比率を40%以上※2とする目標を掲げており、その実現に向けて、人事制度の見直しや昇格、研修、採用等のガイドライン整備を進め、経営層の女性比率向上を推進しています。

 「学習する組織」、「コラボレーション」では、「AGP」、「Kando※3」、「Supply Chain」の3つの分野で世界各地のベストプラクティスを共有するAwardsを各地域及びグローバルで開催し、互いに学び合い称え合うことで、共に成長できる場の構築に取り組んでいます。

※1 役員及び各機能部門をリードする職責を担うアサヒグループの社内グレード21以上の従業員が対象

※2 当社、各地域統括会社及び日本国内主要事業会社が対象

※3 期待を超える商品やサービスにより、お客様に感動を与えた活動のこと

 

②継続的な経営者人材の育成

 事業環境の変化がさらに加速する中、持続的な成長を実現するべく、継続的に経営者人材を輩出できる仕組みの強化に取り組んでいます。

 人材育成の基盤として、アサヒグループにおける「優れたリーダーシップ」を明確に定めた「グローバルリーダーシップコンピテンシーモデル」を策定しました。本モデルは、世界中のあらゆるレベルの従業員に求められるグローバル共通のリーダーシップを示し、採用や人材育成に活用しています。これにより、ビジネスとカルチャーの両面で優れた成果を生み出す将来のグローバルリーダーの育成を推進しています。

 また、経営者人材のサクセッション・プランの一環として、キーポジションを担う人材を対象とした「グローバルタレントレビュー」を毎年実施しています。これにより、グループ全体の優秀な人材を可視化し、国や地域を超えた中長期的な適所適材の配置や人材育成などを進め、これまで以上に層の厚いリーダー人材のパイプライン形成に取り組んでいます。

 

③必要となるケイパビリティの獲得

 人的資本の高度化を実現するためには、『中長期経営方針』における「目指す事業ポートフォリオ戦略」、「コア戦略」及び「戦略基盤強化」の観点から必要なケイパビリティを獲得することが不可欠です。そのため、グループ内人材の活用や、専門性に秀でた外部人材の獲得に加え、パートナーシップやアライアンスなどによる社外リソースの活用を推進しています。また、会社の持続的な成長を実現するために必要なケイパビリティを特定するためのグローバルな取り組みを開始し、目指すべき成長余白を明確化し、人的資本への投資を通じて、成長を加速させていきます。

 また、ケイパビリティの獲得とその獲得したケイパビリティを発揮できる基盤づくりとして、グローバルグレーディングなどのグローバル共通人事制度の整備や、異動処遇に関するグローバル共通のガイドラインを示した「グローバルモビリティポリシー」の制定を行いました。これらの取り組みを通じて、グループ全体での人材育成、地域を超えた人材配置の推進、さらには採用競争力の強化を図っています。

 

(3)中期的なガイドライン

 主要指標のガイドライン及び財務方針は、2024年までの進捗や資本市場との対話を踏まえ、改めて2030年までを目処として以下のとおり更新しました。

 主要指標については、収益性において、EPSのCAGR(年平均成長率)として「一桁台後半から二桁」をコミットするとともに、事業利益においても、成長戦略の加速などにより金額と利益率の持続的な向上を図っていきます。収益性の指標は、利益成長と資本政策が反映されるEPSに一本化し、資本市場との目線を合わせたうえで、更なるエンゲージメントを促進します。また、株価のバリュエーション改善には、収益性だけでなく資本効率の向上を図る必要があり、今後は、ROEとROIC※1を主要指標として追加します。

 財務方針については、引き続き、財務健全性を確保(Net Debt/EBITDA※2:2.5~3倍程度)しつつ、成長投資を優先してまいりますが、財務戦略の柔軟性が高まったことを踏まえ、資本効率の向上や株主還元の充実にも資本を配分していきます。また、株主還元については、より安定的な増配を継続すべく、DOE※34%を目指して累進配当※4を実施するとともに、機動的に自己株式取得を行っていきます。

 引き続き、規律ある成長投資により、事業ポートフォリオの強靭化やコア戦略を力強く推進するとともに、財務戦略による資本効率の向上、資本市場とのエンゲージメントによる資本コスト低減などに取り組み、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指していきます。

※1 税引後事業利益を、純有利子負債と親会社の所有者に帰属する持分(ただし、在外営業活動体の換算差額とその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品への投資の公正価値の変動などを控除したもの)の合計で除して算出。

※2 Net Debt/EBITDA(EBITDA純有利子負債倍率)=(金融債務-現預金)/EBITDA。ただし、劣後債の50%はNet Debtから除いて算出。

※3 配当総額を、親会社の所有者に帰属する持分合計で除して算出。

※4 累進配当とは、1株当たりの配当金額を毎年増配又は横ばいの水準で配当し続けることです。

 

■主要指標のガイドライン

 

2030年までのガイドライン

2024年実績

EPS

(調整後EPS※1

・CAGR(年平均成長率):一桁台後半~二桁

(CAGR(年平均成長率):一桁台後半~二桁)

EPS:126.66円

(調整後EPS:120.65円)

ROE

(調整後ROE※2

・11%以上 ※株主資本コスト:8%程度

(14%以上)

7.5%

(10.7%)

ROIC

・10%以上

※WACC(加重平均資本コスト):5.5~6%程度

6.9%

※1 調整後EPSは、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を控除して算出しています。

※2 調整後ROEは、調整後親会社の所有者に帰属する当期利益(親会社の所有者に帰属する当期利益から、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を控除したもの)を親会社の所有者に帰属する持分合計(ただし、在外営業活動体の換算差額とその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品への投資の公正価値の変動などを控除したもの)で除して算出しています。

 

■財務方針

 

2030年までのガイドライン

2024年実績

株主還元

・DOE:4%以上を目指した累進配当

・機動的な自己株式取得

2.9%

財務健全性

・Net Debt/EBITDA:2.5~3倍程度を維持

2.49倍

 

(4)対処すべき課題

 中長期的な外部環境としては、テクノロジーの発展が人類に新たな技術力と自由な時間を与え、気候変動・資源不足といった地球規模の課題を抱える中、社会・経済だけではなく人類の幸福(Well-being)のあり方も変化していくものと想定されます。

 そうしたメガトレンドを踏まえて更新した『中長期経営方針』に基づき、各地域統括会社は、既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスを拡大していきます。さらに、サステナビリティと経営の統合などコア戦略の一層の強化により、グループ全体で企業価値の向上に努めていきます。

<地域統括会社の中期重点戦略>

[日本]

① 変化を先読みする商品ポートフォリオ最適化とシナジー創出による日本事業のポテンシャル拡大

② ニーズの多様化に対応したスマートドリンキングなどの推進、高付加価値型サービスの創造

③ カーボンニュートラルなど社会課題の事業による解決、日本全体でのサプライチェーン最適化

[欧州]

① グローバル5ブランドの拡大と強いローカルブランドを軸としたプレミアム戦略の強化

② ノンアルコールビールやクラフトビール、RTDなど高付加価値商品を軸とした成長の加速

③ 再生エネルギーの積極活用や循環可能な容器包装の展開など環境負荷低減施策の推進

[オセアニア]

① 酒類と飲料を融合したマルチビバレッジ戦略の推進、統合シナジーの創出

② BACなど成長領域でのイノベーションの推進、健康・Well-beingカテゴリーの強化

③ 新容器・包装形態などサステナビリティを重視した新価値提案、SCM改革の推進

[東南アジア]

① マレーシアの持続成長と自社ブランドの強化など、域内6億人超の成長市場での基盤拡大

② 植物由来商品など新セグメントの拡大による最適なプレミアムポートフォリオの構築

③ 環境配慮型容器の展開などによる持続可能性の確保や原材料調達での地域社会との共創

 

4.会計基準の選択に関する基本的な考え方

 アサヒグループは、財務情報の国際的な比較可能性の向上や開示の充実により、株主・投資家の皆さまをはじめとしたステークホルダーに対して、より有用性の高い情報を提供し利便性を高めることを目的として、2016年度より、国際会計基準(以下「IFRS会計基準」という。)を適用しております。

 

5.連結財務諸表及び主な注記

(1)連結財政状態計算書

 

 

(単位:百万円)

 

前年度

(2023年12月31日)

当年度

(2024年12月31日)

資産

 

 

流動資産

 

 

現金及び現金同等物

59,945

83,961

営業債権及びその他の債権

465,633

440,335

棚卸資産

267,317

271,430

未収法人所得税等

2,930

4,844

その他の金融資産

10,469

17,079

その他の流動資産

40,655

40,237

流動資産合計

846,953

857,891

非流動資産

 

 

有形固定資産

888,070

935,441

のれん及び無形資産

3,283,948

3,353,896

持分法で会計処理されている投資

11,081

11,369

その他の金融資産

151,168

143,540

繰延税金資産

48,544

41,469

確定給付資産

36,515

44,100

その他の非流動資産

19,629

15,694

非流動資産合計

4,438,960

4,545,514

資産合計

5,285,913

5,403,405

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前年度

(2023年12月31日)

当年度

(2024年12月31日)

負債及び資本

 

 

負債

 

 

流動負債

 

 

営業債務及びその他の債務

714,781

720,870

社債及び借入金

389,848

451,129

未払法人所得税等

26,263

31,280

引当金

17,429

21,381

その他の金融負債

113,642

135,634

その他の流動負債

134,984

150,012

流動負債合計

1,396,950

1,510,308

非流動負債

 

 

社債及び借入金

1,020,950

828,047

確定給付負債

17,242

14,394

繰延税金負債

233,190

238,593

その他の金融負債

143,156

129,642

その他の非流動負債

8,642

8,367

非流動負債合計

1,423,181

1,219,044

負債合計

2,820,131

2,729,353

 

 

 

資本

 

 

資本金

220,044

220,044

資本剰余金

161,867

162,216

利益剰余金

1,282,432

1,418,660

自己株式

△1,190

△31,214

その他の資本の構成要素

797,393

899,094

親会社の所有者に帰属する持分合計

2,460,548

2,668,801

非支配持分

5,233

5,250

資本合計

2,465,781

2,674,051

負債及び資本合計

5,285,913

5,403,405

 

(2)連結損益計算書及び連結包括利益計算書

連結損益計算書

 

 

 

(単位:百万円)

 

注記

 前年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

 当年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

売上収益

 

2,769,091

2,939,422

売上原価

 

△1,770,157

△1,841,741

売上総利益

 

998,933

1,097,681

販売費及び一般管理費

※1

△735,252

△812,559

その他の営業収益

 

8,300

25,204

その他の営業費用

 

△26,981

△41,273

営業利益

 

244,999

269,052

金融収益

 

14,118

18,176

金融費用

 

△18,121

△20,787

持分法による投資損益

 

875

548

税引前利益

 

241,871

266,990

法人所得税費用

 

△75,840

△73,808

当期利益

 

166,031

193,181

 

 

 

 

当期利益の帰属:

 

 

 

親会社の所有者

 

164,073

192,080

非支配持分

 

1,957

1,100

合計

 

166,031

193,181

 

 

 

 

基本的1株当たり利益(円)

 

107.94

126.66

希薄化後1株当たり利益(円)

 

107.92

126.63

 

連結包括利益計算書

 

 

(単位:百万円)

 

 前年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

 当年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

当期利益

166,031

193,181

 

 

 

その他の包括利益

 

 

純損益に振り替えられることのない項目

 

 

その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品への投資の公正価値の変動

13,370

5,680

確定給付制度に係る再測定

10,599

6,669

純損益に振り替えられる可能性のある項目

 

 

キャッシュ・フロー・ヘッジ

△1,599

12,512

ヘッジコスト

53

△66

在外営業活動体の換算差額

271,916

89,211

持分法適用会社に対する持分相当額

133

242

その他の包括利益合計

294,473

114,248

当期包括利益合計

460,504

307,430

 

 

 

当期包括利益合計の帰属:

 

 

親会社の所有者

458,266

306,301

非支配持分

2,238

1,129

 

(3)連結持分変動計算書

前年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

区分

親会社の所有者に帰属する持分

資本金

資本剰余金

利益剰余金

自己株式

その他の資本の構成要素

その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品への投資の公正価値の変動

確定給付制度

に係る再測定

キャッシュ

・フロー・

ヘッジ

2023年1月1日現在の残高

220,044

161,793

1,165,542

1,178

35,667

2,577

当期包括利益

 

 

 

 

 

 

 

当期利益

 

 

164,073

 

 

 

 

その他の包括利益

 

 

 

 

13,370

10,626

1,600

当期包括利益合計

164,073

13,370

10,626

1,600

非金融資産等への振替

 

 

 

 

 

 

752

所有者との取引

 

 

 

 

 

 

 

剰余金の配当

 

 

57,761

 

 

 

 

自己株式の取得

 

 

 

25

 

 

 

自己株式の処分

 

0

 

13

 

 

 

企業結合による変動

 

 

 

 

 

 

 

連結子会社の売却による変動

 

 

 

 

 

 

 

株式報酬取引

 

74

 

 

 

 

 

その他の資本の構成要素から利益剰余金への振替

 

 

10,578

 

48

10,626

 

その他の増減

 

 

0

 

 

 

 

所有者からの拠出及び所有者への分配合計

74

47,183

12

48

10,626

所有者との取引合計

74

47,183

12

48

10,626

2023年12月31日現在の残高

220,044

161,867

1,282,432

1,190

49,086

224

 

 

 

 

 

 

 

 

区分

親会社の所有者に帰属する持分

非支配持分

資本合計

その他の資本の構成要素

親会社の

所有者に

帰属する

持分合計

ヘッジ

コスト

在外営業

活動体の

換算差額

その他の

資本の構成

要素合計

2023年1月1日現在の残高

478

476,765

514,532

2,060,734

2,210

2,062,945

当期包括利益

 

 

 

 

 

 

当期利益

 

 

164,073

1,957

166,031

その他の包括利益

53

271,742

294,192

294,192

281

294,473

当期包括利益合計

53

271,742

294,192

458,266

2,238

460,504

非金融資産等への振替

 

 

752

752

 

752

所有者との取引

 

 

 

 

 

 

剰余金の配当

 

 

57,761

16

57,778

自己株式の取得

 

 

25

 

25

自己株式の処分

 

 

13

 

13

企業結合による変動

 

 

800

800

連結子会社の売却による変動

 

 

 

株式報酬取引

 

 

74

 

74

その他の資本の構成要素から利益剰余金への振替

 

 

10,578

 

その他の増減

 

 

0

0

0

所有者からの拠出及び所有者への分配合計

10,578

57,700

784

56,916

所有者との取引合計

10,578

57,700

784

56,916

2023年12月31日現在の残高

425

748,508

797,393

2,460,548

5,233

2,465,781

 

当年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

区分

親会社の所有者に帰属する持分

資本金

資本剰余金

利益剰余金

自己株式

その他の資本の構成要素

その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品への投資の公正価値の変動

確定給付制度

に係る再測定

キャッシュ

・フロー・

ヘッジ

2024年1月1日現在の残高

220,044

161,867

1,282,432

1,190

49,086

224

当期包括利益

 

 

 

 

 

 

 

当期利益

 

 

192,080

 

 

 

 

その他の包括利益

 

 

 

 

5,680

6,684

12,512

当期包括利益合計

192,080

5,680

6,684

12,512

非金融資産等への振替

 

 

 

 

 

 

1,998

所有者との取引

 

 

 

 

 

 

 

剰余金の配当

 

 

66,374

 

 

 

 

自己株式の取得

 

81

 

30,023

 

 

 

自己株式の処分

 

0

 

0

 

 

 

企業結合による変動

 

 

 

 

 

 

 

連結子会社の売却による変動

 

289

 

 

 

 

 

株式報酬取引

 

140

 

 

 

 

 

その他の資本の構成要素から利益剰余金への振替

 

 

10,521

 

3,836

6,684

 

その他の増減

 

 

 

 

 

 

 

所有者からの拠出及び所有者への分配合計

349

55,853

30,023

3,836

6,684

所有者との取引合計

349

55,853

30,023

3,836

6,684

2024年12月31日現在の残高

220,044

162,216

1,418,660

31,214

50,929

10,738

 

 

 

 

 

 

 

 

区分

親会社の所有者に帰属する持分

非支配持分

資本合計

その他の資本の構成要素

親会社の

所有者に

帰属する

持分合計

ヘッジ

コスト

在外営業

活動体の

換算差額

その他の

資本の構成

要素合計

2024年1月1日現在の残高

425

748,508

797,393

2,460,548

5,233

2,465,781

当期包括利益

 

 

 

 

 

 

当期利益

 

 

192,080

1,100

193,181

その他の包括利益

66

89,409

114,220

114,220

28

114,248

当期包括利益合計

66

89,409

114,220

306,301

1,129

307,430

非金融資産等への振替

 

 

1,998

1,998

 

1,998

所有者との取引

 

 

 

 

 

 

剰余金の配当

 

 

66,374

1,112

67,487

自己株式の取得

 

 

30,105

 

30,105

自己株式の処分

 

 

0

 

0

企業結合による変動

 

 

 

連結子会社の売却による変動

 

 

289

 

289

株式報酬取引

 

 

140

 

140

その他の資本の構成要素から利益剰余金への振替

 

 

10,521

 

その他の増減

 

 

 

所有者からの拠出及び所有者への分配合計

10,521

96,049

1,112

97,161

所有者との取引合計

10,521

96,049

1,112

97,161

2024年12月31日現在の残高

492

837,917

899,094

2,668,801

5,250

2,674,051

 

(4)連結キャッシュ・フロー計算書

 

 

 

(単位:百万円)

 

注記

 前年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

 当年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

営業活動によるキャッシュ・フロー

 

 

 

税引前利益

 

241,871

266,990

減価償却費及び償却費

 

147,992

157,935

減損損失

 

2,183

6,829

受取利息及び受取配当金

 

△7,450

△7,574

支払利息

 

14,269

18,437

持分法による投資損益(△は益)

 

△875

△548

関係会社株式売却損益(△は益)

 

△1,604

固定資産除売却損益(△は益)

 

3,564

△15,396

営業債権の増減額(△は増加)

 

△23,608

39,067

棚卸資産の増減額(△は増加)

 

△24,447

1,550

営業債務の増減額(△は減少)

 

32,898

△13,585

未払酒税の増減額(△は減少)

 

2,984

7,384

確定給付資産負債の増減額(△は減少)

 

1,073

199

その他負債の増減額(△は減少)

 

46,395

5,165

その他

 

△10,367

20,032

小計

 

426,484

484,883

利息及び配当金の受取額

 

7,624

10,106

利息の支払額

 

△12,646

△15,691

法人所得税の支払額

 

△73,914

△75,574

営業活動によるキャッシュ・フロー

 

347,547

403,723

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

注記

 前年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

 当年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

投資活動によるキャッシュ・フロー

 

 

 

有形固定資産の取得による支出

 

△89,580

△108,325

有形固定資産の売却による収入

 

11,710

32,884

無形資産の取得による支出

 

△20,248

△27,932

投資有価証券の取得による支出

 

△1,292

△2,236

投資有価証券の売却による収入

 

3,387

7,929

連結の範囲の変更を伴う子会社株式等の取得による支出

※2

△3,551

△21,448

連結の範囲の変更を伴う子会社株式等の売却による収入

 

485

条件付対価の決済による支出

 

△18,574

その他

 

434

△22

投資活動によるキャッシュ・フロー

 

△117,713

△118,665

 

 

 

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

 

 

 

短期借入金の増減額(△は減少)

 

△200,705

△19,960

リース負債の返済による支出

 

△24,555

△30,038

長期借入による収入

 

50,000

長期借入の返済による支出

 

△43,062

△44,677

社債の発行による収入

 

150,000

235,002

社債の償還による支出

 

△100,000

△332,632

自己株式の取得による支出

 

△25

△30,023

配当金の支払

 

△57,761

△66,374

デリバティブの決済による収入

 

18,230

その他

 

△635

△2,309

財務活動によるキャッシュ・フロー

 

△226,746

△272,784

現金及び現金同等物に係る為替変動による影響

 

20,004

11,743

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

 

23,093

24,016

現金及び現金同等物の期首残高

※1

37,438

59,945

連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

 

△586

現金及び現金同等物の期末残高

※1

59,945

83,961

 

(5)連結財務諸表注記

(継続企業の前提に関する注記)

 該当事項はありません。

 

(報告企業)

 アサヒグループホールディングス株式会社(以下「当社」という。)は日本に所在する企業であります。当社及び子会社(以下総称して「当社グループ」という。)は、酒類、飲料及び食品の製造・販売等を行っております。

 

(作成の基礎)

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第1条の2に掲げる指定国際会計基準特定会社の要件を全て満たすことから、同第312条の規定により、IFRS会計基準に準拠して作成しております。

 当社グループの連結財務諸表は、「重要性がある会計方針」に記載している金融商品等を除き、取得原価を基礎として作成しております。

 IFRS会計基準に準拠した連結財務諸表の作成にあたり、一部の重要な事項について会計上の見積りを行う必要があります。また、当社グループの会計方針を適用する過程において、経営者が自ら判断を行うことが求められます。

 当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円により表示されております。なお、当社グループの連結財務諸表において、百万円未満の端数は切り捨てて表示しております。

 

(重要性がある会計方針)

(1)連結

(ⅰ)子会社

 子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、投資先に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合には、当社グループは投資先を支配していると判断しております。

 子会社の財務諸表は、支配開始日から支配終了日までの間、連結財務諸表に含まれております。子会社の財務諸表は、当社グループが適用する会計方針と整合させるため、必要に応じて調整しております。

 グループ会社間の債権債務残高、取引、及びグループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表作成にあたり消去しております。

 なお、決算日が異なる子会社の財務諸表は、連結決算日現在で実施した仮決算に基づく財務諸表を使用しております。

 

(ⅱ)関連会社及び共同支配企業

 関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有している企業をいいます。当社グループが他の企業の議決権の20パーセント以上を保有する場合、当社グループは当該他の企業に対して重要な影響力を有していると推定しております。共同支配企業とは、取決めに対する共同支配を有する当事者が当該取決めの純資産に対する権利を有している共同支配の取決めをいいます。

 関連会社及び共同支配企業に対する持分は、持分法を用いて会計処理しております(持分法適用会社)。これらは、当初認識時に取得原価で認識し、それ以後、当社グループの重要な影響力又は共同支配が終了する日まで、持分法適用会社の純資産に対する当社グループの持分の変動を連結財務諸表に含めて認識しております。当社グループの投資には、取得時に認識したのれんが含まれております。

 

 関連会社及び共同支配企業の会計方針が、当社グループが採用した方針と異なる場合には、一貫性を保つため必要に応じて調整しております。

 

(ⅲ)企業結合

 企業結合は取得法を用いて会計処理しております。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定されます。

 のれんは、移転した企業結合の対価、被取得企業の非支配持分の金額及び取得企業が以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計額が、取得日における識別可能資産及び引受負債の正味価額を上回る場合に、その超過額として測定しております。下回る場合は、純損益として認識しております。当社グループは、非支配持分を公正価値で測定するか、又は識別可能な純資産の認識金額の比例持分で測定するかを個々の取引ごとに選択しております。発生した取得費用は費用として処理しております。なお、支配獲得後の非支配持分の追加取得については、資本取引として処理し、当該取引からのれんは認識しておりません。

 また、共通支配下の企業又は事業が関わる企業結合(すべての結合企業又は結合事業が最終的に企業結合の前後で同じ当事者によって支配され、その支配が一時的でない企業結合)については、帳簿価額に基づき会計処理しております。

 

(2)金融資産

(ⅰ)当初認識及び測定

 当社グループは、契約の当事者となった時点で金融資産を認識しております。通常の方法で売買される金融資産は取引日に認識しております。金融資産は事後に償却原価で測定される金融資産又は公正価値で測定される金融資産に分類しております。

 純損益を通じて公正価値で測定される金融資産は公正価値で当初認識しております。その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産及び償却原価で測定される金融資産は、取得に直接起因する取引コストを公正価値に加算した金額で当初認識しております。ただし、重大な金融要素を含んでいない営業債権は取引価格で当初認識しております。

(a)償却原価で測定される金融資産

 当社グループの事業モデルの目的が契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有すること、また、契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じるという条件がともに満たされる場合にのみ、償却原価で測定される金融資産に分類しております。

 

(b)公正価値で測定される金融資産

 上記の2つの条件のいずれかが満たされない場合は公正価値で測定される金融資産に分類されます。

 当社グループは、公正価値で測定される金融資産については、純損益を通じて公正価値で測定しなければならない売買目的で保有する資本性金融商品を除き、個々の金融商品ごとに、その他の包括利益を通じて公正価値で測定するという取消不能の指定を行うかを決定しております。指定を行わなかった資本性金融商品は、純損益を通じて公正価値で測定しております。

 デリバティブについては「(14)デリバティブ及びヘッジ会計」に記載しております。

 

(ⅱ)事後測定

 金融資産は、それぞれの分類に応じて以下のとおり事後測定しております。

(a)償却原価で測定される金融資産

 実効金利法による償却原価で測定しております。

(b)公正価値で測定される金融資産

 期末日における公正価値で測定しております。

 公正価値の変動額は、金融資産の分類に応じて純損益又はその他の包括利益で認識しております。

 なお、その他の包括利益を通じて公正価値で測定すると指定された資本性金融商品から生じる受取配当金については純損益で認識し、公正価値が著しく下落した場合又は処分を行った場合は、その他の包括利益累計額を利益剰余金に振り替えております。

 

(ⅲ)認識の中止

 金融資産は、投資からのキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利が消滅したとき又は当該投資が譲渡され、当社グループが所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを移転したときに認識を中止します。

 

(3)金融資産の減損

 当社グループは、償却原価で測定される金融資産の回収可能性に関し、期末日ごとに予想信用損失の見積りを行っております。

 当初認識後に信用リスクが著しく増大していない金融商品については、12ヶ月以内の予想信用損失を損失評価引当金として認識しております。当初認識後に信用リスクが著しく増大している金融商品については、全期間の予想信用損失を損失評価引当金として認識しております。ただし、営業債権については、常に全期間の予想信用損失で損失評価引当金を測定しております。

 信用リスクが著しく増大している金融資産のうち、減損している客観的証拠がある金融資産については、帳簿価額から損失評価引当金を控除した純額に実効金利を乗じて利息収益を測定しております。

 金融資産の全部又は一部について回収ができず、又は回収が極めて困難であると判断された場合には債務不履行と判断しております。

 減損の客観的な証拠が存在するかどうかを判断する場合に当社グループが用いる要件には以下のものがあります。

・発行体又は債務者の重大な財政的困難

・利息又は元本の支払不履行又は延滞などの契約違反

・借手の財政的困難に関連した経済的又は法的な理由による、そうでなければ当社グループが考えないような、借手への譲歩の供与

・借手が破産又は他の財務的再編成に陥る可能性が高くなったこと

・当該金融資産についての活発な市場が財政的困難により消滅したこと

 

 金融資産の全体又は一部を回収するという合理的な予想を有していない場合は、当該金額を金融資産の帳簿価額から直接減額しております。以後の期間において損失評価引当金の変動は、減損利得又は減損損失として純損益に認識します。

 

(4)棚卸資産

 棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い額で認識しております。原価は、商品、製品及び半製品については主として総平均法、原材料及び貯蔵品については主として移動平均法を用いて算定しております。商品、製品及び半製品の取得原価は、原材料費、直接労務費、その他の直接費及び関連する製造間接費(正常生産能力に基づいている)から構成されます。正味実現可能価額は、通常の事業の過程における予想売価から関連する見積販売費を控除した額であります。

 

(5)売却目的で保有する資産又は処分グループ

 継続的な使用ではなく、売却により回収が見込まれる資産又は処分グループのうち、売却する可能性が非常に高く、かつ現在の状態で即時に売却可能である場合には、売却目的で保有する資産又は処分グループとして分類しております。売却目的で保有する資産又は処分グループの一部である資産は減価償却又は償却は行いません。売却目的で保有する資産又は処分グループは、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のうち、いずれか低い方の金額で測定しております。

 

(6)有形固定資産

 建物及び構築物、機械装置及び運搬具、工具、器具及び備品並びに土地は、主に製造・加工設備、本店設備で構成されております。有形固定資産は、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。取得原価には、当該資産の取得に直接関連する費用、解体、除去及び設置していた場所の原状回復費用並びに資産計上すべき借入費用が含まれます。

 取得後支出は、当該項目に関連する将来の経済的便益が当社グループに流入する可能性が高く、かつ、その費用を合理的に見積ることができる場合には、当該資産の帳簿価額に含めるか又は適切な場合には個別の資産として認識しております。取り替えられた部分についてはその帳簿価額の認識を中止しております。その他の修繕及び維持費は、発生した会計期間の純損益として認識しております。

 土地は減価償却しておりません。他の資産の減価償却額は、各資産の取得原価を残存価額まで以下の主な見積耐用年数にわたって定額法で配分することにより算定しております。

建物及び構築物   3年から50年

機械装置及び運搬具 2年から15年

工具、器具及び備品 2年から20年

 有形固定資産の残存価額、耐用年数及び減価償却方法は各期末日に見直し、必要があれば修正しております。処分に係る利得又は損失は、対価と帳簿価額を比較することで算定し、純損益として認識しております。

 

(7)のれん及び無形資産

(ⅰ)のれん

 のれんは、毎期減損テストを実施し、取得原価から減損損失累計額を控除した額が帳簿価額となります。のれんの減損損失は戻入れを行いません。事業の売却による損益には、その事業に関連するのれんの帳簿価額が含まれております。

 のれんは企業結合から便益を受けることが期待される資金生成単位又は資金生成単位グループに配分されます。

 

(ⅱ)商標権

 個別に取得した商標権は、取得原価により表示しております。企業結合により取得した商標権は、取得日の公正価値により認識しております。商標権については、耐用年数が確定できないものを除き一定の耐用年数を定め、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上されます。償却額は、商標権の取得原価を主に20年から40年の見積耐用年数にわたって定額法で配分することにより算定しております。

 

(ⅲ)ソフトウェア

 ソフトウェアは、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した額を帳簿価額として認識しております。

 当社グループ独自のソフトウェアの設計及びテストに直接関連する開発費は、信頼性をもって測定可能であり、技術的に実現可能であり、将来経済的便益を得られる可能性が高く、当社グループが開発を完成させ、当該資産を使用する意図及びそのための十分な資源を有している場合にのみ無形資産として認識しております。

 これらの要件を満たさないその他の開発費は、発生時に費用として認識しております。過去に費用として認識された開発費は、その後の会計期間において資産として認識されることはありません。

 ソフトウェアは、主として5年の見積耐用年数にわたり定額法により償却しております。

 ソフトウェアの保守に関連する費用は、発生時に費用認識しております。

 

(ⅳ)その他無形資産

 その他無形資産は、取得原価に基づき認識しております。企業結合により取得し、のれんとは区別して識別された無形資産の取得原価は企業結合日の公正価値で測定しております。その他無形資産については一定の耐用年数を定め、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上されます。しかし、一部の無形資産(借地権等)は事業を継続する限り基本的に存続するため、耐用年数が確定できないと判断し、償却しておりません。償却額は、各その他無形資産の取得原価を見積耐用年数にわたって定額法で配分することにより算定しております。

 

 無形資産の残存価額、耐用年数及び償却方法は各期末日に見直し、必要があれば修正しております。

(8)リース

(ⅰ)借手としてのリース

 当社グループは、リースの開始日に使用権資産とリース負債を認識します。使用権資産は、取得原価で当初測定しております。この取得原価は、リース負債の当初測定額に、開始日又はそれ以前に支払ったリース料を調整し、発生した当初直接コストと原資産の解体及び除去、原資産又は原資産の設置された敷地の原状回復の際に生じるコストの見積りを加え、受領済みのリース・インセンティブを控除して算定します。当社グループは、連結財政状態計算書において、使用権資産を「有形固定資産」及び「無形資産」に、リース負債を「その他の金融負債」に含めて表示しております。

 当初認識後、使用権資産は、開始日から使用権資産の耐用年数の終了時又はリース期間の終了時のいずれか早い方の日まで、定額法により減価償却します。使用権資産の見積耐用年数は、自己所有の有形固定資産と同様に決定します。さらに、使用権資産は、該当ある場合、減損損失によって減額され、特定のリース負債の再測定に際して調整されます。

 リース負債は、開始日時点で支払われていないリース料をリースの計算利子率又は計算利子率を容易に算定できない場合には当社グループの追加借入利子率で割り引いた現在価値で当初測定しております。通常、当社グループは割引率として追加借入利子率を用いております。

 また、当社グループは、短期リース及び少額資産のリースにつき、認識の免除規定を適用しております。

 

(ⅱ)貸手としてのリース

 当社グループが貸手となるリースについては、リース契約時にそれぞれのリースをファイナンス・リース又はオペレーティング・リースに分類します。

 それぞれのリースを分類するにあたり、当社グループは、原資産の所有に伴うリスクと経済価値が実質的にすべて移転するか否かを総合的に評価しております。移転する場合はファイナンス・リースに、そうでない場合はオペレーティング・リースに分類します。この評価の一環として、当社グループは、リース期間が原資産の経済的耐用年数の大部分を占めているかなど、特定の指標を検討します。

 当社グループが中間の貸手である場合、ヘッドリースとサブリースは別個に会計処理します。サブリースの分類は、原資産ではなくヘッドリースから生じる使用権資産を参照して判定します。ヘッドリースが上記の免除規定を適用して会計処理する短期リースである場合、サブリースはオペレーティング・リースとして分類します。当社グループは、連結財政状態計算書において、当該サブリースに係る貸手のファイナンス・リースを「営業債権及びその他の債権」及び「その他の非流動資産」に含めて表示しております。

 

(9)非金融資産の減損

 のれん及び耐用年数が確定できない無形資産は償却の対象ではなく、毎期減損テストを実施しております。その他の非金融資産は、事象の発生あるいは状況の変化により、その帳簿価額が回収できない可能性を示す兆候がある場合に、減損について検討しております。資産の帳簿価額が回収可能価額を超過する金額については減損損失を認識しております。回収可能価額とは、資産の処分コスト控除後の公正価値と、使用価値のいずれか高い金額であります。減損を評価するために、資産は個別に識別可能なキャッシュ・フローが存在する最小単位(資金生成単位)に分けられます。のれんを除く減損損失を認識した非金融資産については、減損損失が戻入れとなる可能性について、各期末日に再評価を行います。

 

(10)引当金

 当社グループは過去の事象の結果として現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために資源の流出が必要となる可能性が高く、その金額について信頼性をもって見積ることができる場合に引当金を認識しております。

 同種の債務が多数ある場合、決済に要するであろう資源の流出の可能性は同種の債務全体を考慮して決定しております。同種の債務のうちある一つの項目について流出の可能性が低いとしても、引当金は認識されます。

 引当金は、現時点の貨幣の時間価値の市場評価と当該債務に特有なリスクを反映した税引前の割引率を用いて、債務の決済に必要とされると見込まれる支出の現在価値として測定しております。時の経過による引当金の増加は利息費用として認識しております。

 

(11)従業員給付

(ⅰ)退職後給付

 グループ会社は、さまざまな年金制度を有しております。当社グループは確定給付制度を採用し、一部の連結子会社において退職給付信託を設定しております。当該制度に加えて、一部の連結子会社は確定拠出制度及び退職金前払制度を導入しております。

 確定給付制度は、確定拠出制度以外の退職後給付制度であります。確定拠出制度は、雇用主が一定額の掛金を他の独立した企業に拠出し、その拠出額以上の支払について法的又は推定的債務を負わない退職後給付制度であります。

 確定給付制度においては、制度ごとに、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を見積り、当該金額を割り引くことによって確定給付制度債務の現在価値を算定しております。確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額を確定給付負債(資産)として認識しております。確定給付制度債務は予測単位積増方式により算定しております。割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき決定しております。制度への拠出金は、定期的な数理計算により算定し、通常、保険会社又は信託会社が管理する基金へ支払を行っております。

 計算の結果、当社グループにとって確定給付制度が積立超過である場合は、制度からの将来の払戻額又は制度への将来拠出額の減額の形で享受可能な経済的便益の現在価値を限度として確定給付資産を測定しております。経済的便益の現在価値の算定に際しては、当社グループの制度に対して適用されている最低積立要件を考慮しております。経済的便益については、それが制度存続期間内又は年金負債の決済時に実現可能である場合に、当社グループは当該経済的便益を享受することが可能であるとしております。

 当社グループは、確定給付制度から生じる確定給付負債(資産)の純額の再測定をその他の包括利益に認識し、直ちに利益剰余金に振り替えております。

 なお、確定拠出制度への拠出は、従業員がサービスを提供した期間に、従業員給付費用として純損益で認識しております。

 

(ⅱ)短期従業員給付

 短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として認識しております。賞与については、当社グループが従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的又は推定的債務を負っており、かつ、その金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しております。

 

(12)収益

 当社グループは、下記の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しております。

ステップ1:顧客との契約を識別する

ステップ2:契約における履行義務を識別する

ステップ3:取引価格を算定する

ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する

ステップ5:企業が履行義務の充足時に収益を認識する

 

 当社グループは、物品の販売については、通常は物品の引渡時点において顧客が当該物品に対する支配を獲得することから、履行義務が充足されると判断しており、当該物品の引渡時点で収益を認識しております。また、収益は、返品、リベート及び割引額を差し引いた純額で測定しております。

 取引の対価は履行義務を充足してから主に1年以内に受領しているため、実務上の便法を使用し、重要な金融要素の調整は行っておりません。

 顧客に約束した財を移転する前に、当社グループがその財を支配している場合には本人として取引を行っているものと考え、移転する特定された財と交換に権利を得ると見込んでいる取引の総額を収益として認識しております。

 

(13)外貨換算

(ⅰ)機能通貨及び表示通貨

 当社グループの各企業の財務諸表に含まれる項目は、その企業が業務を行う主要な経済環境における通貨(「機能通貨」)を用いて測定しております。連結財務諸表は日本円により表示されており、これは当社グループの表示通貨であります。

 

(ⅱ)取引及び取引残高

 外貨建取引は、取引日の為替レートを用いて、機能通貨に換算しております。取引の決済から生じる外国為替差額並びに外貨建の貨幣性資産及び負債を期末日の為替レートで換算することによって生じる外国為替差額は、純損益において認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて測定される金融資産及び適格キャッシュ・フロー・ヘッジ、在外営業活動体に対する純投資ヘッジから生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しております。

 

(ⅲ)在外営業活動体

 表示通貨とは異なる機能通貨を使用しているすべての在外営業活動体の業績及び財政状態は、以下の方法で表示通貨に換算しております。なお、在外営業活動体には、超インフレ経済の通貨を使用している会社は存在しません。

(a)資産及び負債は、期末日現在の決算日レートで換算

(b)収益及び費用は、平均レートで換算(ただし、当該平均レートが取引日における換算レートの累積的な影響の合理的な概算値とはいえない場合は除く。この場合は収益及び費用を取引日レートで換算)

(c)結果として生じるすべての為替差額はその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素である在外営業活動体の換算差額に累積

 在外営業活動体の部分的処分又は売却時には、その他の包括利益に認識された為替差額は売却に伴う利得又は損失の一部分として純損益で認識しております。

 

(14)デリバティブ及びヘッジ会計

 デリバティブはデリバティブ契約を締結した日の公正価値で当初認識を行い、当初認識後は期末日ごとに公正価値で再測定を行っております。再測定の結果生じる利得又は損失の認識方法は、デリバティブがヘッジ手段として指定されているかどうか、また、ヘッジ手段として指定された場合にはヘッジ対象の性質によって決まります。

 当社グループは一部のデリバティブについてキャッシュ・フロー・ヘッジ(認識されている資産もしくは負債に関連する特定のリスク又は可能性の非常に高い予定取引のヘッジ)のヘッジ手段として指定を行っており、一部の外貨建借入金及び外貨建社債については、在外営業活動体に対する純投資のヘッジ手段として指定を行っております。

 当社グループは、取引開始時に、ヘッジ手段とヘッジ対象との関係並びにこれらのヘッジ取引の実施についてのリスク管理目的及び戦略について文書化しております。また、当社グループはヘッジ開始時及び継続的に、ヘッジ取引に利用したデリバティブ又はデリバティブ以外のヘッジ手段がヘッジ対象のキャッシュ・フロー又は在外営業活動体に対する純投資の為替の変動を相殺するために有効であるかどうかについての評価も文書化しております。

 ヘッジの有効性は継続的に評価しており、ヘッジ対象とヘッジ手段との間に経済的関係があること、信用リスクの影響が経済的関係から生じる価値変動に著しく優越するものではないこと並びにヘッジ関係のヘッジ比率が実際にヘッジしているヘッジ対象及びヘッジ手段の数量から生じる比率と同じであることのすべてを満たす場合に有効と判定しております。

 キャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ手段として指定され、かつ、その要件を満たすデリバティブの公正価値の変動のうち有効部分は、その他の包括利益で認識しております。非有効部分に関する利得又は損失は、直ちに純損益として認識しております。

 その他の包括利益を通じて認識された利得又は損失の累積額は、ヘッジ対象から生じるキャッシュ・フローが純損益に影響を与える期に純損益に振り替えております。しかし、ヘッジ対象である予定取引が非金融資産(例えば、棚卸資産又は有形固定資産)の認識を生じさせるものである場合には、それまでその他の包括利益に繰り延べていた利得又は損失を振り替え、当該資産の当初の取得原価の測定に含めております。繰り延べていた金額は最終的には、棚卸資産の場合には売上原価として、また、有形固定資産の場合には減価償却費として認識されます。

 

 ヘッジ手段の失効又は売却等によりヘッジ会計の要件をもはや満たさなくなった場合には、将来に向かってヘッジ会計の適用を中止しております。ヘッジされた将来キャッシュ・フローがまだ発生すると見込まれる場合は、その他の包括利益に認識されている利得又は損失の累積額を引き続きその他の包括利益累計額として認識しております。予定取引の発生がもはや見込まれなくなった場合等は、その他の包括利益に認識していた利得又は損失の累積額を直ちに純損益に振り替えております。

 在外営業活動体に対する純投資の為替変動リスクをヘッジする目的で保有するデリバティブ及び借入金等のデリバティブ以外のヘッジ手段は、在外営業活動体に対する純投資のヘッジとして、為替変動額をヘッジ効果が認められる範囲内でその他の包括利益として認識しております。デリバティブ及びデリバティブ以外のヘッジ手段に係る為替変動額のうち、ヘッジの非有効部分及びヘッジ有効性評価の対象外の部分については純損益として認識しております。

 純投資ヘッジにより、その他の包括利益として認識した利得又は損失の累積額は、在外営業活動体の処分時に純損益に振り替えております。

 

(15)グループ通算制度の適用

 当社及び国内の100%出資子会社は、グループ通算制度を適用しております。

 

(連結損益計算書関係)

※1 販売費及び一般管理費の内訳は以下のとおりであります。

 

 

(単位:百万円)

 

 前年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

 当年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

販売促進費

110,243

113,192

広告宣伝費

100,286

111,361

運搬費

104,909

117,162

従業員給付費用

203,234

232,497

減価償却費及び償却費

75,270

83,246

その他

141,308

155,098

合計

735,252

812,559

 

(連結キャッシュ・フロー計算書関係)

※1 現金及び現金同等物の期末残高と連結財政状態計算書に掲記されている科目の金額との関係

 前年度及び当年度の連結財政状態計算書における現金及び現金同等物の残高と連結キャッシュ・フロー計算書上の現金及び現金同等物の残高は一致しております。

 

 現金及び現金同等物の内訳は以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

 

前年度

(2023年12月31日)

当年度

(2024年12月31日)

現金及び預金

59,945

83,961

合計

59,945

83,961

 

※2 株式の取得により新たに連結子会社となった会社の資産及び負債の主な内訳

前年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

 重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

当年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)

 株式の取得により新たにOctopi Brewing, LLC 他1社を連結したことに伴う連結開始時の資産及び負債の主な内訳並びに、当該会社株式等の取得価額と取得による支出(純額)との関係は次のとおりであります。

流動資産

2,862百万円

非流動資産

20,466 〃

のれん

7,073 〃

流動負債

△1,824 〃

非流動負債

△6,766 〃

株式等の取得価額

21,812百万円

現金及び現金同等物

△363 〃

差引:取得による支出

21,448百万円

 

(セグメント情報等)

(1)一般情報

 当社グループは、経営陣のレビューを受け戦略的意思決定において活用されている報告書に基づき事業セグメントを決定しております。

 当社グループの事業セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、経営陣が経営資源の配分の決定等のために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

 当社は、グループ全体の戦略策定及び経営管理に特化するGlobal Headquartersと、各地域の特性に合わせた酒類、飲料製品等の製造・販売の戦略を策定・実行する地域統括会社であるRegional Headquarters(RHQ)から構成される経営体制を構築しています。当社は、各RHQを管掌する責任者を配置し、グローバル戦略を踏まえた各地域における事業戦略の策定等を統括しています。

 したがって、当社グループは、酒類、飲料製品等の製造・販売を基礎としたRHQの所在地域別のセグメントから構成されており、「日本」、「欧州」、「オセアニア」、「東南アジア」の4つの事業を報告セグメントにしております。

報告セグメント

主な製品及びサービス

日本

酒類、飲料、食品、薬品の製造・販売

欧州

酒類の製造・販売

オセアニア

酒類・飲料の製造・販売

東南アジア

飲料の製造・販売

 経営陣は、セグメント利益又は損失の測定結果に基づいて、事業セグメントの実績を評価しております。

 

前年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

日本

欧州

オセアニア

東南アジア

その他

(注)

調整額

連結

売上収益

 

 

 

 

 

 

 

 

対外部売上収益

1,353,194

687,637

649,513

57,204

21,542

2,769,091

2,769,091

セグメント間売上収益

9,656

1,088

2,641

602

13,988

13,988

売上収益合計

1,362,850

688,725

652,154

57,806

21,542

2,783,080

13,988

2,769,091

セグメント利益又は損失(△)

111,266

59,437

89,673

1,009

5,174

266,561

21,562

244,999

セグメント資産

1,036,548

2,006,197

2,084,718

54,872

15,226

5,197,564

88,349

5,285,913

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

 

減価償却費及び償却費

52,278

58,616

32,923

1,850

481

146,150

1,841

147,992

減損損失

1,492

691

2,183

2,183

持分法による投資損益

427

446

1

875

875

持分法で会計処理されている投資

5,910

3,632

1,541

11,083

1

11,081

非流動資産に追加される支出

(金融商品及び繰延税金資産を

除く)

61,401

65,166

19,501

895

510

147,475

1,814

149,290

(注) 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、韓国酒類事業、飼料事業他を含んでおります。

 

 セグメント利益又は損失(△)の調整額△21,562百万円には、各報告セグメントに配分していない全社費用△21,732百万円、セグメント間取引消去等169百万円が含まれております。全社費用は、主として純粋持株会社である当社において発生するグループ管理費用であります。セグメント間の内部取引における価額は、外部顧客との取引価額に準じております。

 セグメント資産の調整額88,349百万円には、各報告セグメントに配分していない全社資産108,735百万円、セグメント間の債権と債務の相殺消去額等△20,385百万円が含まれております。全社資産は、主として純粋持株会社である当社における資産であります。

 

当年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

日本

欧州

オセアニア

東南アジア

その他

(注)

調整額

連結

売上収益

 

 

 

 

 

 

 

 

対外部売上収益

1,354,296

779,790

713,436

65,430

26,469

2,939,422

2,939,422

セグメント間売上収益

8,578

1,214

1,957

708

0

12,459

12,459

売上収益合計

1,362,874

781,005

715,394

66,138

26,470

2,951,882

12,459

2,939,422

セグメント利益又は損失(△)

136,272

65,822

81,844

1,783

3,844

289,568

20,516

269,052

セグメント資産

1,058,548

2,067,203

2,101,196

53,853

18,651

5,299,453

103,951

5,403,405

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

 

減価償却費及び償却費

51,971

66,580

34,938

1,885

538

155,914

2,021

157,935

減損損失

5,318

1,500

10

6,829

6,829

持分法による投資損益

275

489

216

548

548

持分法で会計処理されている投資

6,071

3,956

1,354

11,382

12

11,369

非流動資産に追加される支出

(金融商品及び繰延税金資産を

除く)

69,042

66,798

30,095

1,259

1,026

168,222

2,491

170,714

(注) 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、韓国酒類事業、飼料事業他を含んでおります。

 

 セグメント利益又は損失(△)の調整額△20,516百万円には、各報告セグメントに配分していない全社費用△28,018百万円、セグメント間取引消去等7,502百万円が含まれております。全社費用は、主として純粋持株会社である当社において発生するグループ管理費用であります。セグメント間の内部取引における価額は、外部顧客との取引価額に準じております。

 セグメント資産の調整額103,951百万円には、各報告セグメントに配分していない全社資産145,924百万円、セグメント間の債権と債務の相殺消去額等△41,972百万円が含まれております。全社資産は、主として純粋持株会社である当社における資産であります。

 

(2)製品及びサービスに関する情報

 「(1)一般情報」に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

(3)地域に関する情報

 地域に関する情報は、対外部収益は顧客の所在地を基礎とし、非流動資産は資産の所在地を基礎として日本及び海外に分類しております。

 

対外部売上収益

(単位:百万円)

 

 

前年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

当年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

日本

1,340,989

1,340,385

海外

1,428,101

1,599,037

うち、オーストラリア

601,978

664,636

合計

2,769,091

2,939,422

 

非流動資産

(単位:百万円)

 

 

前年度

(2023年12月31日)

当年度

(2024年12月31日)

日本

453,441

455,258

海外

3,738,207

3,849,774

うち、オーストラリア

1,873,337

1,895,076

うち、チェコ及びスロバキア

811,556

824,410

合計

4,191,649

4,305,033

 

(4)主要な顧客に関する情報

 外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

(1株当たり情報)

(1)基本的1株当たり利益及び希薄化後1株当たり利益

 

前年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

当年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

基本的1株当たり利益(円)

107.94

126.66

希薄化後1株当たり利益(円)

107.92

126.63

 

(2)基本的1株当たり利益及び希薄化後1株当たり利益の算定の基礎

 

前年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

当年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

親会社の所有者に帰属する当期利益(百万円)

164,073

192,080

基本的加重平均普通株式数(株)

1,520,042,544

1,516,547,421

希薄化効果の影響(株):

 

 

役員向け株式交付信託

250,623

321,579

希薄化効果の影響調整後加重平均普通株式数(株)

1,520,293,167

1,516,869,000

希薄化効果を有しないため、

希薄化後1株当たり当期利益の算定に

含まれなかった潜在株式の概要

(注) 当社は、2024年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。前年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、基本的1株当たり利益及び希薄化後1株当たり利益を算定しております。

 

(重要な後発事象)

 該当事項はありません。

 

6.その他

 

 添付の「2024年 決算補足資料」をご覧ください。