1.経営成績等の概況 ……………………………………………………………………………………2
(1)当期の経営成績の概況 …………………………………………………………………………2
(2)当期の財政状態の概況 …………………………………………………………………………4
(3)当期のキャッシュ・フローの概況 ……………………………………………………………4
(4)今後の見通し ……………………………………………………………………………………5
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方 …………………………………………………………6
3.連結財務諸表及び主な注記 …………………………………………………………………………7
(1)連結損益計算書及び連結包括利益計算書 ……………………………………………………7
(2)連結財政状態計算書 ……………………………………………………………………………9
(3)連結持分変動計算書 ……………………………………………………………………………11
(4)連結キャッシュ・フロー計算書 ………………………………………………………………12
(5)連結財務諸表に関する注記事項 ………………………………………………………………14
(継続企業の前提に関する注記) ……………………………………………………………14
(セグメント情報) ……………………………………………………………………………14
(1株当たり情報) ……………………………………………………………………………15
(重要な後発事象) ……………………………………………………………………………15
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)の業績は、以下の通りであります。
※ 会社の経常的な収益性を示す利益指標として「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しております。「コア営業利益」は、営業利益から非経常的な項目(減損損失、有形固定資産売却益など)を調整した利益となります。
売上収益は、4,267億円(前期比27.3%増)となり、過去最高の売上収益を達成しました。ゾコーバの売上を含めた国内医療用医薬品の売上収益は1,797億円(前期比101.7%増)となりました。また、海外子会社および輸出の売上収益は、セフィデロコル※の米欧での売上の伸長により、425億円(前期比23.7%増)となりました。さらに、HIVフランチャイズに関するロイヤリティー収入は、導出したHIVフランチャイズの売上が伸長しましたが、2021年度においてヴィーブよりギリアドとの特許侵害訴訟の和解に伴う一時金を受領したことにより、1,685億円(前期比3.2%減)となりました。
営業利益は、COVID-19に対する治療薬、ワクチンなどの最優先課題や注力プロジェクトへの投資による研究開発費の増加やZatolmilastのアルツハイマー型認知症での開発計画の見直しに伴う減損損失の計上などがありましたが、売上収益の増加に伴い1,490億円(前期比35.1%増)となりました。また、前述の減損損失などの特殊要因を除くコア営業利益は1,585億円(前期比43.3%増)でした。
税引前利益は2,203億円(前期比74.5%増)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前第1四半期に大阪国税局からの更正処分に対する取消請求訴訟の勝訴に関する還付金を受領した影響により、1,850億円(前期比62.0%増)にとどまりました。
2022年度は積極的に行ってきたCOVID-19関連事業に対する先行投資が収益化し、売上収益およびすべての利益項目において、創業来の最高業績を実現しました。2023年度は、感染症ビジネスのグローバル展開によるトップラインの成長と、中長期の成長に向けた新規事業・成長ドライバーの確立を最優先課題として取り組んでまいります。
※ 米国の製品名:Fetroja、欧州の製品名:Fetcroja
■COVID-19関連製品
COVID-19関連製品に関して、2022年11月22日に開催された薬事・食品衛生審議会にて、ゾコーバの緊急承認制度に基づく製造販売承認を取得しました。そして、速やかに国内の感染患者さまに本剤を広く提供できるよう、厚生労働省との間で締結した本剤の国内供給に関する基本合意書に基づき、日本政府が計200万人分のゾコーバを購入しました。その後、本剤の安定供給の見通しが立ったことから、2023年3月31日より一般流通を開始しました。これらの売上収益の計上により、COVID-19関連製品の売上収益は1,047億円となりました。
国内の医療用医薬品の売上収益は750億円(前期比15.8%減)となりました。インチュニブとビバンセの売上は、それぞれ192億円(前期比17.0%増)、14億円(前期比81.2%増)と伸長しました。一方で、サインバルタの売上収益は、後発品参入の影響により54億円(前期比65.8%減)となりました。インフルエンザ関連製品群に関しては、3年ぶりにインフルエンザが流行したことで昨年に比べ医療機関での処方数は伸長し売上収益は42億円と増加しましたが、第2四半期に発生したゾフルーザ、ラピアクタの返品により、売上収益はマイナス11億円となりました。COVID-19関連製品を除く感染症薬の売上収益に関しては、74億円(前期比37.2%減)となりました。
海外子会社および輸出の売上収益は、425億円(前期比23.7%増)となりました。米国での売上収益は、前第1四半期にFORTAMETの販売権などの移管に関する一時金を受領した影響を受けたものの、多剤耐性グラム陰性菌に効果を示すセフィデロコルが引き続き好調に推移し、セフィデロコルの売上収益は100億円(前期比59.5%増)となり、米国での売上収益は154億円(前期比12.2%増)となりました。欧州での売上収益は、セフィデロコルが好調に推移したことで、91億円(前期比81.4%増)となりました。また、セフィデロコルに関しては2022年度にスペインでの販売を新たに開始しました。引き続き、セフィデロコルの販売国とサブスクリプション型償還モデル※の採用国の拡大を通して、欧米事業の成長を進めてまいります。中国での売上収益は、COVID-19の流行に伴うロックダウンの影響を受けましたが、ジェネリック医薬品や南京工場における製造受託などの伸長により、120億円(前期比17.7%増)となりました。
※ 抗菌薬の処方量と切り離し、国が開発企業に対して固定報酬を支払う代わりに、必要なときに抗菌薬を受け取ることができるモデル
ヴィーブからのロイヤリティー収入は、2021年度にヴィーブのギリアドに対する特許侵害訴訟における和解に伴う一時金を受領していたことにより、1,685億円(前期比3.2%減)となりました。また、配当金に関しては、上記訴訟に伴う一時金をヴィーブが受領したことによる配当金の増加、前第4四半期に受領予定であったヴィーブからの配当金が第1四半期に期ずれしたことにより、612億円(前期比370.8%増)となりました。
ロシュからのロイヤリティー収入に関して、数年ぶりにグローバルでインフルエンザが流行したことに伴い、導出したゾフルーザの売上が伸長し、当期は9億円となりました。アストラゼネカからのロイヤリティー収入に関しては、クレストールの売上によるロイヤリティー収入を受領したことで、13億円(前期比15.4%増)となりました。
以上の結果から、2022年度のロイヤリティーおよび配当金収入全体は、2,359億円(前期比21.4%増)となりました。
2022年度は、研究開発に対して積極的な投資を行うとともに、COVID-19による環境変化に柔軟に対処することでCOVID-19治療薬、ワクチンだけでなく注力プロジェクトについてもほぼ予定通り進捗させました。
S-337395はRSウイルスのA型およびB型への広域かつ強力な抗ウイルス効果を有する治療薬を目指し、2022年度は非臨床試験を完了し、第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
COVID-19の次世代経口治療薬候補のS-892216は、より抗ウイルス効果が強く、患者さまが使いやすい医薬品を目指して第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
ワクチン事業への取り組みについては、次世代のCOVID-19ワクチンとして、粘膜免疫を誘導する経鼻ワクチンであるS-875670の開発に向けた取り組みを進展させ、非臨床試験を開始しました。
S-151128は高い安全性、オピオイドと同等以上の鎮痛効果が期待できる新規メカニズムの疼痛治療薬であり、第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
COVID-19の経口治療薬エンシトレルビル(ゾコーバ)については、2022年度、日本国内において緊急承認制度に基づく製造販売承認を取得しましたが、グローバル展開に向けて、複数のグローバル第Ⅲ相臨床試験や予防・小児適応拡大に向けた取り組みを開始しました。韓国ではアジアでの第Ⅲ相臨床試験のデータをもとにパートナーのILDONGが製造販売承認申請を実施し、台湾においてもグループ会社の台湾塩野義製薬份有限公司が緊急使用許可の承認申請を行いました。また、中国においても承認申請に向けてデータの提出を開始しました。さらに、欧米での展開に向け、第Ⅲ相臨床試験(SCORPIO-HR試験:入院を伴わないSARS-CoV-2感染患者が対象、STRIVE試験:入院を伴うSARS-CoV-2感染患者が対象)を米国NIHのサポートで開始しました。
COVID-19に対する遺伝子組み換えタンパクワクチンであるS-268019については、COVID-19の予防を適応として、国内における製造販売承認申請を行いました。また、青年・小児を対象とした第Ⅲ相臨床試験も引き続き実施中です。
レダセムチド(S-005151)については、ステムリムから導入した再生誘導医薬ペプチドであり、その作用機序から幅広い疾患への適応が期待されます。2022年度は栄養障害型表皮水疱症を対象とした追加第Ⅱ相臨床試験ならびに急性期脳梗塞を対象としたグローバル第Ⅱ相臨床試験を開始しました。また、変形性膝関節症、慢性肝疾患に対する医師主導治験についても進展しました。
S-309309については、肥満症を適応とした新規メカニズムの経口治療薬候補であり、2022年度は第Ⅰ相臨床試験の速報結果より、高い安全性および忍容性と良好なPKプロファイルが確認できたため、第Ⅱ相臨床試験を開始しました。
Resiniferatoxin(GRT7039)については、Grünenthalから2022年度に導入した変形性膝関節症に対する疼痛治療薬候補であり、強い鎮痛効果とその持続性、日常生活の改善など、現在の治療では満たされない患者さまのニーズに応えることを目指しております。現在、グローバル第Ⅲ相臨床試験を実施中です。
Olorofim(F901318)については、F2Gから2022年度に導入した治療選択肢が限られる侵襲性真菌感染症に対する治療薬候補です。F2Gが実施した第Ⅱ相臨床試験の中間結果にて高い有効性と忍容性を確認しており、現在第Ⅲ相臨床試験を実施中です。
S-365598については、超長時間作用型(3カ月以上に1回投与)の抗HIV薬となることが期待される第3世代のインテグラーゼ阻害薬候補です。2022年度はヴィーブが第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
当連結会計年度末の資産合計は1兆3,118億円で、前連結会計年度末に比べて1,611億98百万円増加しました。
非流動資産は、5,276億7百万円で、仕掛研究開発資産等の無形資産の増加やその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の増加等により前連結会計年度末に比べて362億11百万円増加となりました。流動資産は7,841億92百万円で、現金及び現金同等物、3ヶ月超の定期預金および債券(流動資産のその他の金融資産に含みます)の増減、その他の流動資産、営業債権の増減等の結果、前連結会計年度末に比べて1,249億86百万円増加しました。
資本については1兆1,218億78百万円となり、当期利益の計上と配当金の支払、自己株式の取得、在外営業活動体の外貨換算差額(その他の資本の構成要素に含みます)が増加した結果、前連結会計年度末に比べて1,285億92百万円増加しました。
負債については1,899億21百万円で、前連結会計年度末に比べて326億5百万円増加しました。
非流動負債は313億69百万円で、前連結会計年度末に比べて15億50百万円減少しました。流動負債は1,585億52百万円で、未払法人所得税の増加等により、前連結会計年度末に比べて341億55百万円増加しました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、その他流動資産増加の一方、税引前利益の増加、営業債権の減少、利息および配当金受取額の増加により、前連結会計年度に比べて757億99百万円多い1,778億67百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、無形資産の取得による支出増加の一方、定期預金や余資運用に係る有価証券の増減により、前連結会計年度に比べて479億11百万円少ない482億92百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や配当金の支払いの増加により、前連結会計年度に比べて475億8百万円多い841億23百万円の支出となりました。
これらを合わせた当連結会計年度の現金及び現金同等物の増減額は548億3百万円の増加となり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、3,092億24百万円となりました。
(注) 親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/資産合計
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
1.指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
4.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を払っている全ての負債を対象としております。
2024年3月期の業績につきましては、以下の通り見込んでおります。
■売上収益
売上収益については、インチュニブおよびビバンセの共同開発・商業化に関する武田薬品工業株式会社とのライセンス契約終了に伴いこれら製品を移管しますが、この移管による一時金を2023年度に受領しました。さらに、COVID-19の5類感染症への移行に伴い、より幅広い医療機関において診断・治療の機会が増加することが想定されます。インフルエンザ同様、早期診断・早期治療を誰もが受けられる社会の実現に貢献し、治療を必要とする患者さまへ広くゾコーバをお届けできるよう適切な情報提供活動を進めてまいります。また、アジアでのゾコーバの実用化に向けた取り組みの進展等により、海外事業の拡大を見込んでいます。
また、ヴィーブからのHIV関連製品のロイヤリティー収入は、2022年度に引き続きDovatoや長時間作用型治療薬Cabenuvaと予防薬Apretudeのさらなる売上増加による増収を見込んでいます。
これらの結果より、売上収益全体としては増収となる見込みです。
■利益
利益面では、国内におけるCOVID-19関連製品の販売や海外におけるゾコーバの自社販売体制構築に伴う販売費及び一般管理費の増加が見込まれます。研究開発費については、創業以来最高の研究開発費用を投じた前年からは減少するものの、COVID-19関連プロジェクトからそれ以外のプロジェクトの開発に比重を移し、成長ドライバーの育成を加速していく予定です。 金融収益については、ギリアドとの特許侵害訴訟の和解に伴う一時金をヴィーブが受領したことによる、2022年度での配当金の増加や、2021年度第4四半期に受領予定であったヴィーブからの配当金が2022年度第1四半期に期ずれしたことがそれぞれ影響し、減少となる見込みです。
以上から営業利益は増益、税引前利益および親会社の所有者に帰属する当期利益はそれぞれ減益の見通しです。
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社グループは財務諸表の国際的な比較可能性の向上や、グループ内の会計基準統一によるビジネスオペレーションの改善を目的に、国際財務報告基準(IFRS)を任意適用しております。
該当する事項はありません。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)および当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当社グループは、医療用医薬品の研究開発、仕入、製造、販売並びにこれらの付随業務を事業内容とする単一事業であります。製品別の販売状況、会社別の利益などの分析は行っておりますが、事業戦略の意思決定、研究開発費を中心とした経営資源の配分は当社グループ全体で行っており、従って、セグメント情報の開示は省略しております。
基本的1株当たり当期利益および希薄化後1株当たり当期利益の算定上の基礎は、以下の通りであります。
(注) 1.逆希薄化効果を有するため、希薄化後1株当たり当期利益の算定から除外した金融商品はありません。
2.2022年9月に当社はシオノギ感染症研究振興財団に係る三井住友信託銀行株式会社の信託口(再信託受託者:株式会社日本カストディ銀行(信託口))に当社株式3百万株を処分しておりますが、当該当社株式を自己株式として処理しています。そのため、基本的1株当たり当期利益および希薄化後1株当たり当期利益の算定において、期中平均普通株式数から当該株式数を控除しております。
(インチュニブ・ビバンセの共同開発・商業化に関するライセンス契約の終了に伴う一時金の受領)
当連結会計年度において、武田薬品工業株式会社(以下「武田薬品」という)と当社は、2011年11月にShire社(2019年に武田薬品と統合)と当社が締結した日本における共同開発・商業化に関するライセンス契約に基づき、武田薬品が注意欠陥/多動性障害治療剤インチュニブおよびビバンセに関して当社が保有する持分の一切を取得するオプション権を行使しました。今回の武田薬品のオプション権の行使により、インチュニブおよびビバンセの共同開発・商業化に関するライセンス契約は終了し、オプション権の行使に基づく資産の移管を2023年4月1日より開始しております。また、移管に伴う一時金を受領しております。
なお、当該契約に基づく一時金の受領に関する当社の財政状態および経営成績に与える影響は、現在精査中です。