1.経営成績等の概況 …………………………………………………………………………………… 2
(1)当期の経営成績の概況 ………………………………………………………………………… 2
(2)当期の財政状態の概況 ………………………………………………………………………… 6
(3)当期のキャッシュ・フローの概況 …………………………………………………………… 6
(4)今後の見通し …………………………………………………………………………………… 7
(5)継続企業の前提に関する重要事象等 ………………………………………………………… 8
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方 ………………………………………………………… 8
3.連結財務諸表及び主な注記 ………………………………………………………………………… 9
(1)連結貸借対照表 ………………………………………………………………………………… 9
(2)連結損益計算書及び連結包括利益計算書 ……………………………………………………11
(3)連結株主資本等変動計算書 ……………………………………………………………………13
(4)連結キャッシュ・フロー計算書 ………………………………………………………………15
(5)連結財務諸表に関する注記事項 ………………………………………………………………16
(継続企業の前提に関する注記) …………………………………………………………………16
(会計方針の変更) …………………………………………………………………………………16
(セグメント情報) …………………………………………………………………………………16
(1株当たり情報) …………………………………………………………………………………18
(重要な後発事象) …………………………………………………………………………………18
当社は、創薬事業においてはアンメット・メディカル・ニーズの高い未だ有効な治療方法が確立されていない疾患を中心に、特にがん、免疫・炎症疾患を重点領域として画期的な新薬の開発を目指して研究開発に取り組み、また、創薬支援事業においては新たなキナーゼ阻害薬創製のための製品・サービスを製薬企業等へ提供するため営業活動に取り組んでおります。
当連結会計年度のセグメント別の事業活動は以下のとおりです。
①創薬事業
創薬事業においては、がん領域で2つのキナーゼ阻害剤(CDC7阻害剤AS-0141、BTK阻害剤AS-1763)の臨床試験を実施しており、免疫・炎症疾患領域ではBTK阻害剤AS-0871の臨床試験を実施中です。また、当社が創出した新規脂質キナーゼDGKα阻害剤のプログラムについて導出先である米国ギリアド・サイエンシズ社(以下「ギリアド社」)が研究開発を進めており、AS-1763の中華圏での臨床開発は中国バイオノバ・ファーマシューティカルズ(以下「バイオノバ社」)が進めています。住友ファーマ株式会社とは、精神神経疾患を標的とした創薬プログラムの共同研究を行っています。また、2022年2月に当社が創製したSTING(Stimulator of Interferon Genes)アンタゴニストを米国フレッシュ・トラックス・セラピューティクス社(旧社名 ブリッケル・バイオテック社、以下「FRTX社」)に導出しており、同社が研究開発を進めています。
臨床試験段階にある3つの医薬品候補化合物の進捗は以下のとおりです。
BTK阻害剤AS-0871(免疫・炎症疾患)
オランダで健康成人を対象として実施中のAS-0871の第1相臨床試験は、2021年中に完了した単回投与用量漸増(SAD)試験および2021年12月から開始した反復投与用量漸増(MAD)試験で構成されています。SAD試験では簡易製剤を用いましたが、MAD試験は今後の臨床試験で使用するために開発した新製剤を投与します。MAD試験はこの新製剤を用いた相対的バイオアベイラビリティを評価するBAパート、反復投与時の安全性、忍容性、薬物動態、薬力学的作用を評価するMADパートで構成されています。BAパートではカプセル製剤および2022年に新たに開発したタブレット型製剤を用いた試験を行いました。その結果、タブレット型製剤がより良い薬物動態を示したため、2023年1月末から当該タブレット型製剤を用いてMADパートを開始しています。
BTK阻害剤AS-1763(血液がん)
AS-1763は、まず健康成人を対象としたSADパートおよび新製剤を用いたBAパートをオランダで実施しました。その結果を基に、現在米国において患者を対象としたフェーズ1b試験の準備をしています。米国でのフェーズ1b試験は治療歴を有する慢性リンパ性白血病(CLL)・小リンパ球性リンパ腫(SLL)およびB細胞性非ホジキンリンパ腫(B-cell NHL)の患者を対象としており、2022年5月に米国FDA(Food and Drug Administration)から当該試験を米国で実施するために必要な新薬臨床試験開始届(Investigational New Drug (IND) application)の承認を得ています。その後、米国内の治験実施施設について、当該臨床試験実施可否等に関する調査を開始し、現在、その中から選定した治験実施施設との契約等の準備を行っています。最初の患者登録(FPI, First Patient In)は2023年第1四半期を予定しています。
CDC7阻害剤AS-0141(固形がん)
AS-0141は日本国内で切除不能進行・再発または遠隔転移を伴う固形がん患者を対象とした第1相臨床試験を2021年から実施しています。第1相臨床試験は用量漸増パートおよび拡大パートの2段階に分かれており、用量漸増パートでは、加速漸増デザイン (accelerated titration design)を採用しています。コホート6(300 mg BID)まで用量漸増後、Grade 2以上の有害事象(AE)が発現したため3+3デザインに移行しました。現在、最大耐用量(MTD)および推奨用量を決定するために3+3デザインで用量漸増パートを引き続き実施しています。
キナーゼ以外を標的とした次世代パイプラインとして、2021年末に前臨床開発段階にステージアップしたSTINGアンタゴニストは、2022年2月にFRTX社と締結した当該STINGアンタゴニストに関する全世界における開発・商業化に関するライセンス契約に基づき、同社が研究開発を進めています。本ライセンス契約の対価として、当社はFRTX社から契約一時金2百万ドル(227百万円)を受領したほか、開発、申請・承認などの進捗に応じたマイルストーンおよび販売マイルストーンを最大で258百万ドル(約335億円、1ドル130円で換算)受け取ることになります。さらに、当社は上市後の売上高に応じた1桁半ばから10%の料率の段階的ロイヤリティを受け取ることができます。
また、当社は、AS-1763の中華圏(中華人民共和国および台湾)における開発・商業化の権利をバイオノバ社に供与しており、同社は、CCL・SLLおよびB-cell NHLの患者を対象としたフェーズ1試験を中国で実施するためのIND申請を行い、3月に中国国家薬品監督管理局(National Medical Products Administration, NMPA)から治験開始の承認を取得しました。このIND承認を受け、当社はバイオノバ社から最初のマイルストーン・ペイメント50万ドル(58百万円)を受領いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の創薬事業の売上は286百万円(前連結会計年度比74.6%減)となりました。臨床試験費用を中心に研究開発へ積極的に投資したことにより、同事業の研究開発費は1,760百万円(前年同期比2.7%増)であり、営業損失は1,722百万円(前連結会計年度は820百万円の営業損失)となりました。なお、前連結会計年度はギリアド社からマイルストーン・ペイメントを受領しており、前連結会計年度比での大幅な業績変動の要因となっています。
②創薬支援事業
創薬支援事業では、自社開発品であるキナーゼタンパク質の販売が米国および中国において好調に推移し、売上高は過去最高の1,100百万円となりました。当社は顧客からの需要が高いビオチン化キナーゼタンパク質の品揃えの強化を図っておりますが、このビオチン化キナーゼタンパク質が米国での売上増に寄与しました。また、創薬事業におけるギリアド社とのライセンス契約に関連し、同社による当該プログラムの開発をサポートするため、当社の脂質キナーゼ阻害剤に関する創薬基盤技術を一定期間、独占的に同社に供与したことから、当連結会計年度の売上にはこれに関連した売上も含まれています。
なお、当社はロシアおよびウクライナでの営業活動は行っておらず、当連結会計年度においてロシア・ウクライナ情勢による直接的な影響はありませんでした。3月末以降、欧州における物流の混乱が欧州向けの製品出荷に影響を及ぼしましたが、物流会社の変更などにより物流の課題は解消しています。また、新型コロナウィルス感染拡大で厳しい外出制限が行われた中国においても、製品出荷への影響が一時的にありましたが、輸送ルートの変更や外出制限の解除などにより物流の問題は解消し、5月以降の売上は順調に推移しました。
当連結会計年度における創薬支援事業の売上高は1,100百万円(前連結会計年度比23.7%増)、営業利益は452百万円(前連結会計年度比56.7%増)となりました。売上高の内訳は、国内売上が218百万円(前連結会計年度比6.7%増)、北米地域は627百万円(前連結会計年度比22.2%増)、欧州地域は72百万円(前連結会計年度比11.1%減)、その他地域は182百万円(前連結会計年度比103.2%増)です。
以上の結果、2022年12月期の連結売上高は1,386百万円(前連結会計年度比31.3%減)となりました。地域別の売上は、連結ベースで国内売上高が218百万円(前連結会計年度比6.7%増)、海外売上高は1,167百万円(前連結会計年度比35.6%減)となりました。損益面につきましては、営業損失が1,269百万円(前連結会計年度は531百万円の営業損失)、経常損失は1,278百万円(前連結会計年度は522百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,349百万円(前連結会計年度は534百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
<研究開発の概況>
当社は、主にキナーゼを標的とした低分子の分子標的薬の創製研究および創製した医薬品候補化合物の臨床開発を行うために、研究開発に積極的に先行投資を行っております。さらに、キナーゼ阻害薬等を創製するための基盤となる技術である「創薬基盤技術」をさらに強化するための研究開発も行うとともに、長年培ってきたこの創薬基盤技術を駆使し、他の製薬企業やアカデミア等に対し顧客ニーズの高いキナーゼ関連製品・サービスを創り出し続けるための研究開発も行っております。
当連結会計年度において当社グループが支出した研究開発費の総額は1,882百万円であり、事業別の概況は以下のとおりであります。
①創薬事業
当社は、がん、免疫・炎症疾患を重点領域としてキナーゼ阻害薬を中心に低分子医薬品の創薬研究開発を行なっています。2022年12月末現在で、がん領域においては2つのキナーゼ阻害剤(AS-0141、AS-1763)の臨床開発を実施しており、さらに2つの創薬標的キナーゼについて阻害剤の研究開発を進めています。また当社が創出した新規脂質キナーゼ阻害剤のプログラムについて導出先であるギリアド社が研究開発を進めており、AS-1763の中華圏での臨床開発はバイオノバ社が進めています。免疫・炎症疾患領域ではAS-0871の臨床試験を実施しています。また当社が創製し、2021年末に前臨床開発段階にステージアップしたSTINGアンタゴニストについては、導出先のFRTX社が開発を進めています。重点領域以外では、住友ファーマと共同で、精神神経疾患を標的とした創薬プログラムの研究開発をしており、また国際貢献の一環として、三大感染症のひとつであるマラリアに対する新薬創出を目指した研究開発も実施しております。この他、次世代パイプラインの構築を目的として複数の探索研究を実施しています。
[当社のパイプライン一覧]
がん領域
がん以外の疾患領域
主な創薬プログラムの研究開発の概況は以下のとおりです。
BTK阻害剤 AS-0871(免疫・炎症疾患)
BTKは血液がんだけでなく、自己免疫疾患やアレルギー疾患の治療標的分子としても注目されていますが、これまでに同適応疾患を対象として承認されたBTK阻害薬はありません。AS-0871は当社が創製した非共有結合型BTK阻害剤で、BTKに対して非常に高い選択性を示すことから、現在、免疫・炎症疾患を対象に開発を進めています。
AS-0871のフェーズ1試験はオランダで、健康成人男女を対象としたSAD試験およびMAD試験の2つの試験として実施しています。このうちSAD試験はすでに完了しており、全ての用量で安全性、忍容性および良好な薬物動態プロファイルが確認されています。また、薬力学的評価の結果から血中の好塩基球およびB細胞の活性化を100mg以上の用量で強く持続的に阻害することが確認されています。SAD試験に続き、2021年12月から新製剤を用いたフェーズ1試験のMAD試験を開始しています。当該MAD試験は新製剤を用いた相対的バイオアベイラビリティを評価するBAパート、反復投与時の安全性、忍容性、薬物動態、薬力学的作用を評価するMADパートの2つのパートで構成されています。このうちBAパートでは新たに開発した複数の製剤(カプセルおよびタブレット)での相対的バイオアベイラビリティを比較した結果、タブレット型製剤がより良い薬物動態を示しました。当該結果を基に、タブレット型製剤を選択し、2023年1月末からMADパートを開始しています。
BTK阻害剤 AS-1763(血液がん)
イブルチニブを代表とする第1世代の共有結合型BTK阻害薬は、CLLを含む成熟B細胞腫瘍の有効な治療薬として幅広く使われていますが、これらBTK阻害薬に対する薬剤耐性が深刻な問題となってきています。近年、耐性患者においてC481S変異したBTKが高頻度に見い出され、この変異が第1世代BTK阻害薬の共有結合を妨げ阻害活性を低下させることが主な薬剤耐性の原因と考えられています。このような背景からBTK C481S耐性変異に対する新しい治療方法の開発が非常に望まれています。当社が創製した非共有結合型BTK阻害剤AS-1763は野生型BTKだけでなく、変異型BTKにも高い阻害効果を示すことから、第1世代の共有結合型BTK阻害薬耐性患者を対象とした次世代型BTK阻害剤として開発を進めています。
AS-1763のフェーズ1試験は、ヒトでの安全性、薬物動態等の検討を早期に行うため、まず健康成人を対象として、簡易製剤を用いたSADパートおよび新製剤を用いたBAパートをオランダで実施しました。当該SADパートにおいて、AS-1763の安全性、忍容性および良好な薬物動態プロファイルが確認されています。また、BAパートでは新製剤の良好な薬物動態を確認しています。
当該フェーズ1試験結果を基にして、米国において患者を対象としたフェーズ1b試験を計画し、当該試験開始に必要な新薬臨床試験開始届(IND application)を米国FDAに提出し、2022年5月に承認を得ています。フェーズ1b試験は、治療歴を有するCLL・SLLおよびB-cell NHLの患者を対象としており、用量漸増パートと用量拡大パートの2つのパートから構成されています。用量漸増パートでは、最大耐用量(MTD)及び用量制限毒性(DLT)を決定することを主目的とし、副次的に安全性、忍容性、薬物動態、さらに有効性についても評価します。用量拡大パートでは、用量漸増パートで推奨された複数の用量で症例を追加し、安全性、有効性、薬物動態を調査し、フェーズ2試験の推奨用量(RP2D)を決定することを目的としています。IND申請承認後は、米国内の治験実施施設について、当該臨床試験実施可否等に関する調査を開始し、現在、その中から選定した治験実施施設との契約等の準備を行っています。最初の患者登録(FPI)は2023年第1四半期を予定しています。
当社は、AS-1763の中華圏(中華人民共和国および台湾)における開発・商業化の権利を中国バイオノバ社に供与しており、同社は、CLL、SLLおよびB-cell NHLの患者を対象としたフェーズ1試験を中国で実施するためのIND申請を行い、3月に中国国家薬品監督管理局(National Medical Products Administration, NMPA)から治験開始の承認を取得しました。このIND承認を受け、当社はバイオノバ社から最初のマイルストーン・ペイメント50万ドル(58百万円)を受領しております。当社は、中華圏における今後のAS-1763(BN102)の開発進捗に伴い、バイオノバ社から最大で約205百万ドル(約266億円、1ドル130円で換算)を受け取ることができ、さらに、AS-1763(BN102)の中華圏における上市後の売上高に応じた最大2桁の料率の段階的ロイヤリティを受け取ります。
CDC7阻害剤 AS-0141
AS-0141は、当社が創製した選択的CDC7キナーゼ阻害剤でファースト・イン・クラスが期待される経口投与可能な低分子化合物です。様々ながん種の細胞増殖を強く阻害し、各種ヒト腫瘍移植動物モデルにおいて優れた抗腫瘍効果を示しています。2021年上期に、日本国内において切除不能進行・再発又は遠隔転移を伴う固形がん患者を対象としたフェーズ1試験を開始しました。フェーズ1試験は、用量漸増パート及び拡大パートの2段階に分かれており、用量漸増パートでは、薬剤の投与量を増やしながら安全性と忍容性を評価し、また薬物動態や薬力学についても調べます。本パートで決定した最大耐用量と推奨用量に基づき、拡大パートでは、より多くの患者で本剤の安全性及び有効性を評価いたします。
用量漸増パートでは加速漸増デザインを採用し、DLT評価期間中にGrade 2以上のAEが発現するまで各コホート1名の登録で増量し、Grade 2以上のAEが発現した場合、以降は3+3デザインの用量漸増に移行する計画としております。現在実施中の用量漸増パートにおいて、コホート5(用量レベル:250 mg BID)までGrade 2以上のAEは観察されませんでしたが、コホート6(用量レベル:300 mg BID)においてGrade 2以上のAEが発現したため、計画通り3+3デザインに移行いたしました。その後、3名中2名でDLTが発現したため、300 mg BIDにおいてMTDを超えたと判断し、今後、用量を下げて症例を追加し、MTDを決定する予定です。今回投与した20 mg BIDから300 mg BIDまで、概ね良好な薬物動態を示していることから、MTD、薬物動態及び薬力学的評価の結果を考慮して、拡大パートで用いる臨床推奨用量を決定する予定です。
ギリアド社に導出した低分子阻害薬の創薬プログラム
2019年6月に、米国のギリアド社と、当社が創製した新規がん免疫療法の低分子阻害薬およびその創薬プログラムの開発・商業化にかかる全世界における独占的な権利を供与する契約を締結しています。契約締結時に一時金として20百万ドル(約21億円)を受領したほか、開発状況や上市などの進捗に応じて追加的に最大で450百万ドル(約585億円、1ドル130円で換算)のマイルストーン・ペイメントを受け取ることになり、さらに、本プログラムにより開発された医薬品の上市後の売上高に応じたロイヤリティを受け取ります。ギリアド社は、2021年12月に本創薬プログラムを次の開発ステージに進めることを決定し、当社はライセンス契約に基づいた最初のマイルストーン・ペイメントを受領しております。ギリアド社は2022年4月に開催した「Gilead Sciences Oncology Deep Dive」の中で、同プログラムから創出したGS-9911に関して、重要な新規プログラムであるとして紹介しています。
住友ファーマとの共同研究プログラム
2018年3月に住友ファーマ株式会社と精神神経疾患を標的とした共同研究契約を締結しており、当該共同研究の進捗状況から2021年12月に本契約の共同研究期間を2025年3月27日まで延長することを両社で合意しております。本研究では、沢山の知的財産が生み出されており、当該疾患領域における新薬の創出を目指して共同研究を継続しております。本共同研究により見出されたキナーゼ阻害剤については、同社が、がんを除く全疾患を対象とした臨床開発および販売を全世界で独占的に実施する権利を有します。その対価として、当社は契約一時金および研究マイルストーンとして、最大8千万円を受領し、その後の研究開発の進展に伴い、進捗に応じて追加的に最大で約106億円のマイルストーン・ペイメントおよび売上高に応じたロイヤリティを受け取ることができます。
FRTX社に導出したSTINGアンタゴニスト
キナーゼ以外を標的とした次世代パイプラインとして当社が創製し、2021年末に前臨床開発段階にステージアップしたSTINGアンタゴニストは、2022年2月に全世界における開発・商業化の独占的な権利をFRTX社に供与するライセンス契約を締結いたしました。STINGシグナル経路は自然免疫において中心的な役割を担っており、STING経路による過剰なシグナル伝達は、全身性エリトマトーデスやリウマチなどの自己免疫疾患やインターフェロン過剰産生が特徴である希少遺伝子疾患のインターフェロン異常症など、アンメット・メディカル・ニーズが高い疾患を引き起こすことが知られています。本ライセンス契約の対価として、当社はFRTX社から契約一時金2百万ドル(227百万円)を受領したほか、開発、申請・承認などの進捗に応じたマイルストーンおよび販売マイルストーンを最大で258百万ドル(約335億円、1ドル130円で換算)受け取ることになります。さらに、当社は上市後の売上高に応じた1桁半ばから10%の料率の段階的ロイヤリティを受け取ることができます。
上記以外の創薬研究プログラムにつきましても、画期的な新薬創製に向けて様々な創薬研究プログラムを実施しております。これらの創薬プログラムにつきましても、早期ステージアップを目指して研究を継続してまいります。当連結会計年度における創薬事業に係る研究開発費は1,760百万円です。
②創薬支援事業
創薬支援事業の研究開発では、新たなキナーゼタンパク質製品の開発ならびにキナーゼタンパク質およびプロファイリング・スクリーニングサービスの品質および作業効率の向上が主要なテーマとなっております。当社製キナーゼタンパク質およびそれを用いた受託試験サービスは顧客から高品質との評価を得ており、今後さらなる信頼を獲得し売上拡大を図るため、一層の品質の向上に取り組むとともに、顧客ニーズに基づく新製品の開発にも取り組んでまいります。また、収益力の強化を目指した作業工程の改善にも取り組んでおります。当連結会計年度における創薬支援事業に係る研究開発費は122百万円です。
当連結会計年度末における総資産は4,266百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,166百万円の減少となりました。その内訳は、現金及び預金の減少438百万円、売掛金の減少1,061百万円、前渡金の増加285百万円等であります。
負債は624百万円となり、前連結会計年度末と比べて492百万円の減少となりました。その内訳は、前受収益の減少177百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少91百万円、長期借入金の減少119百万円等であります。
純資産は3,641百万円となり、前連結会計年度末と比べて673百万円の減少となりました。その内訳は、株式の発行による資本金及び資本剰余金の増加650百万円、親会社株主に帰属する当期純損失1,349百万円の計上等であります。
また、自己資本比率は85.0%(前連結会計年度79.3%)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ438百万円減少し、3,379百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により減少した資金は708百万円(前年は1,536百万円の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失1,323百万円の計上、売上債権の減少1,069百万円、前渡金の増加285百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は125百万円(前年は41百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出125百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により増加した資金は367百万円(前年は1,064百万円の増加)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出211百万円、新株予約権の行使による株式の発行による収入600百万円によるものであります。
当社の経営方針に基づく今後の見通しは、事業セグメント別に以下のとおりであります。
①創薬事業
当社は、引き続き、アンメット・メディカル・ニーズの高い未だ有効な治療方法が確立されていない疾患を中心に、特にがん、免疫・炎症疾患を重点領域とした画期的な新薬の開発を目指してまいります。比較的早期に有効性が確認できる「がん領域」は最大フェーズ2まで実施してパイプライン価値の向上を目指します。それ以外の疾患はフェーズ1試験もしくは前臨床試験まで実施し、早期にライセンスアウト(導出)することを基本方針としています。
上記方針に基づき、免疫・炎症疾患を対象としたBTK阻害剤AS-0871についてはフェーズ1試験を完了させた後、導出または共同研究契約によりフェーズ2以降の臨床試験を進める方針であり、フェーズ1試験と並行してパートナリング活動を開始しています。新規抗がん剤候補のBTK阻害剤AS-1763およびCDC7阻害剤AS-0141については、フェーズ2試験まで実施して有効性を確認したのちに導出する方針ですが、治験を継続しながらパートナリング活動も行っていく予定です。また、探索段階にある創薬プログラムにつきましても、画期的な新薬創製を目指し、早期ステージアップを目指して研究を推進いたします。
当社は、製薬企業と継続的に情報交換を行い、各パイプラインの導出の時期を見極めながらパートナリング活動を行っておりますが、導出一時金収入等の時期および対価を予想することは困難です。また、導出済みの創薬プログラムの開発状況に応じて受領するマイルストーン収入もその時期には不確定予想が含まれることから、2023年12月期の連結業績予想には創薬事業からの収入を含めておりません。一方、BTK阻害剤AS-0871およびAS-1763、CDC7阻害剤AS-0141の臨床試験費用へ積極的に先行投資を行うことから、2023年12月期の創薬事業の研究開発費は1,854百万円(前年同期比5.4%増)を計画しており、同事業の営業損失は2,111百万円(前期は1,722百万円の営業損失)と予想しております。
②創薬支援事業
当社の創薬支援事業は、当社の創薬基盤技術に基づくキナーゼ関連製品およびサービスの高い品質を強みとし、その創薬基盤技術を基にして顧客の要望に的確に応える学術サポートを通じて、世界的なシェアを拡大し、安定的な収益を獲得することを基本方針としています。この獲得した収益を創薬事業に投じることで研究開発のスピードアップに寄与することが、創薬支援事業の重要なミッションです。
地域別には、市場規模が大きくバイオベンチャーが次々誕生するなど成長を続ける北米での中期的かつ持続的な売上増、また日本国内での売上の維持拡大が重要と考えており、急成長しているその他地域の中国での売上拡大とともに注力してまいります。製品別では、当社のみが販売している機能性キナーゼタンパク質製品のビオチン化タンパク質や変異体キナーゼタンパク質の品ぞろえをさらに強化し、また、プロメガ社のNanoBRETTMテクノロジーを用いて細胞内でのキナーゼ阻害剤の作用を評価する受託試験サービスについても、ターゲットとなるキナーゼ数を追加し、サービスを拡大させる計画です。これら新製品、サービスを顧客に積極的に提案するとともに、顧客ニーズに合致した新製品、サービスをさらに開発し提供することで売上の拡大に取り組んでまいります。
当社は、2023年12月期の創薬支援事業の売上高を前年同期比18%減の902百万円、営業利益を同51.2%減の221百万円と予想しております。創薬支援事業における研究開発費は、新規製品・サービスの開発および既存製品・サービスの品質向上を目的として、113百万円を計画しております。
以上により、2023年12月期の連結業績を売上高902百万円(前年同期比34.9%減)、営業損失1,890百万円(前期は1,269百万円の営業損失)と予想しております。
なお、上記の予想は、決算短信作成時点における事業環境を前提に作成しており、実際の業績は様々な予期せざる要因により、これらの業績見通しとは異なる結果となる可能性があります。
当社は、創薬事業においてはがん、免疫・炎症疾患を重点領域とした画期的な新薬の開発を目指して研究開発に取り組み、創薬支援事業においては新たなキナーゼ阻害薬創製のための製品・サービスを製薬企業等へ提供しています。創薬支援事業では安定的な営業キャッシュ・フローを獲得している一方で、創薬事業においては研究開発への先行投資を積極的に行っております。
当社はBTK阻害剤AS-0871およびAS-1763、CDC7阻害剤AS-0141のフェーズ1臨床試験を実施しておりますが、これらの臨床試験が進捗していること、また円安や物価上昇が急速に進んでいることを考慮し、翌連結会計年度以降に必要となるフェーズ1試験実施のための費用を精査し、今後の資金計画を検討した結果、翌連結会計年度以降に先行投資として実施する研究開発に必要な資金が当連結会計年度末時点の手許資金では十分でない可能性があることから、当連結会計年度末において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象が存在していると判断しております。
このような状況を改善するため、今後当社は、導出済みの創薬パイプラインからのマイルストーン収入および新たなライセンス契約締結による導出一時金の獲得や、創薬支援事業からの営業キャッシュ・フローによる資金確保に努めてまいります。さらに、現在実施している新株予約権を用いた資金調達により研究開発に必要な資金を確保するとともに、必要に応じて新たな資金調達を検討してまいります。そのうえで、先行投資として実施する研究開発はこれらの資金調達の状況をみながら実施することから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社グループは、連結財務諸表の期間比較可能性及び企業間の比較可能性等を考慮し、当面は、日本基準で連結財務諸表を作成する方針であります。
なお、IFRSの適用につきましては、国内外の諸情勢を考慮の上、適切に対応していく方針であります。
前連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
該当事項はありません。
(収益認識に関する会計基準等の適用)
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用し、約束した財又はサービスの支配が顧客に移転した時点で、当該財又はサービスと交換に受け取ると見込まれる金額で収益を認識することとしております。
収益認識会計基準等の適用については、収益認識会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を、当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用しております。ただし、収益認識会計基準第86項に定める方法を適用し、当連結会計年度の期首より前までに従前の取扱いに従ってほとんどすべての収益の額を認識した契約に、新たな会計方針を遡及適用しておりません。また、収益認識会計基準第86項また書き(1)に定める方法を適用し、当連結会計年度の期首より前までに行われた契約変更について、すべての契約変更を反映した後の契約条件に基づき、会計処理を行い、その累積的影響額を当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減しております。
この結果、当連結会計年度の損益に与える影響はありません。また、利益剰余金の当期首残高に与える影響もありません。
(時価の算定に関する会計基準等の適用)
「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号 2019年7月4日。以下「時価算定会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用し、時価算定会計基準第19項及び「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号 2019年7月4日)第44-2項に定める経過的な取扱いに従って、時価算定会計基準等が定める新たな会計方針を、将来にわたって適用することとしております。なお、連結財務諸表に与える影響はありません。
1 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループでは、創薬基盤技術をベースに「創薬支援事業」及び「創薬事業」を展開しており、この2つの事業を報告セグメントとしております。
「創薬支援事業」では、キナーゼタンパク質の販売、アッセイ開発、プロファイリング・スクリーニングサービス等を行っております。「創薬事業」では、キナーゼ阻害薬等の研究開発を行っております。
2 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表作成において採用している会計処理の方法と概ね一致しております。
報告セグメントの利益又は損失は、営業損益ベースの数値であります。
3 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
(注) 1. セグメント資産の調整額3,714,276千円は、各報告セグメントに配分していない全社資産であります。その主なものは、提出会社の余資運用資産(現金及び預金)等であります。
2. セグメント利益又は損失の金額は、連結損益計算書の営業損失と一致しており差額はありません。
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(注) 1. セグメント資産の調整額3,208,242千円は、各報告セグメントに配分していない全社資産であります。その主なものは、提出会社の余資運用資産(現金及び預金)等であります。
2. セグメント利益又は損失の金額は、連結損益計算書の営業損失と一致しており差額はありません。
(注) 1. 潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。
2. 1株当たり当期純損失の算定上の基礎は、以下のとおりであります。
3. 1株当たり純資産額の算定上の基礎は、以下のとおりであります。
新株予約権の行使
当連結会計年度終了後、2023年2月10日までの間に新株予約権の権利行使がありましたが、その概要は以下の通りであります。